三毒森

深都 英二

煩悩(脚本)

三毒森

深都 英二

今すぐ読む

三毒森
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇森の中
  風が止むと、森を覆っていた深い霧が晴れ、辺り一面に光が降り注いだ。
  結界があった場所には、巨大な封印石が一つ残されていた。
ミラクル幸運 (霊媒師)「終わったか・・・」
吉良 晴明 (陰陽師)「やったぞ!」
伍代 炫 (呪術師)「なんとか封印できたみたいですね」
内海 太蔵 (怪異伝承研究センター教授)「っ・・・」
内海 太蔵 (怪異伝承研究センター教授)「ん・・・気を失っていたのか?」
飛田 甚平 (オカルト雑誌編集長)「内海教授!大丈夫ですか!?」
内海 太蔵 (怪異伝承研究センター教授)「ああ・・・大丈夫だ」
内海 太蔵 (怪異伝承研究センター教授)「はっ!」
内海 太蔵 (怪異伝承研究センター教授)「封印石はどこだ!」
飛田 甚平 (オカルト雑誌編集長)「三毒なら、無事封印できましたよ!」
内海 太蔵 (怪異伝承研究センター教授)「何だって!」
内海 太蔵 (怪異伝承研究センター教授)「なんてことだ・・・せっかくの研究材料が・・・」
飛田 甚平 (オカルト雑誌編集長)「何を言ってるんですか!」
飛田 甚平 (オカルト雑誌編集長)「あんたの勝手な行動のせいで、どれだけ大変だったか!」
内海 太蔵 (怪異伝承研究センター教授)「何?どういうことだ?」
雨笠 栗栖 (妖怪ミステリー小説家)「何も覚えてないんですか?」
内海 太蔵 (怪異伝承研究センター教授)「封印石を持ってたところまでは覚えているんだが・・・」
雨笠 栗栖 (妖怪ミステリー小説家)「教授は悪霊に取り憑かれて、死にかけたんですよ」
内海 太蔵 (怪異伝承研究センター教授)「何だって・・・!」
雨笠 栗栖 (妖怪ミステリー小説家)「このお三方が教授を助けたんです。おかげで僕らも助かりました」
  内海はふらふらと立ち上がり、申し訳なさそうに深々と頭を下げた。
内海 太蔵 (怪異伝承研究センター教授)「本当にすまなかった・・・」
ミラクル幸運 (霊媒師)「まったく・・・人騒がせな人だ」
吉良 晴明 (陰陽師)「研究熱心なのはいいですが、ほどほどにしてくださいね」
伍代 炫 (呪術師)「まあまあ。三毒も封印できて、みんな無事だったし」
伍代 炫 (呪術師)「よかったじゃないですか!」
飛田 甚平 (オカルト雑誌編集長)「いや〜!一時はどうなるかと思いましたが、やっぱり能力者のみなさんすごいですね!」
雨笠 栗栖 (妖怪ミステリー小説家)「みなさん、ありがとうございました!」

〇山道
飛田 甚平 (オカルト雑誌編集長)「いやー念願の三毒森!すごかったですね」
雨笠 栗栖 (妖怪ミステリー小説家)「この経験は、僕のミステリー作家人生において素晴らしい経験になりましたよ」
飛田 甚平 (オカルト雑誌編集長)「あーあ。雑誌で特集できたら大バズり間違いなしなのに・・・」
雨笠 栗栖 (妖怪ミステリー小説家)「『三毒森で見たことや、封印に関する情報等は一切外部に漏洩しないこと』」
雨笠 栗栖 (妖怪ミステリー小説家)「怪異特別対策機関の決まりごとですから、仕方ないですね」
飛田 甚平 (オカルト雑誌編集長)「はぁ・・・残念・・・」
雨笠 栗栖 (妖怪ミステリー小説家)「世の中には、禁足地のままにしておかなきゃいけない場所もあるってことですよ」
飛田 甚平 (オカルト雑誌編集長)「そうですね。残念だけど、思い出の中に留めておくことにします」
伍代 炫 (呪術師)「あー腹へったな」
吉良 晴明 (陰陽師)「おい・・・」
伍代 炫 (呪術師)「ん?何ですか?」
吉良 晴明 (陰陽師)「その・・・何て言うか・・・」
吉良 晴明 (陰陽師)「助かった・・・礼を言う」
吉良 晴明 (陰陽師)「あの時、お前のとっさの判断がなければ、今頃どうなっていたか・・・」
伍代 炫 (呪術師)「あれ?やっと俺のこと認めてくれました?」
吉良 晴明 (陰陽師)「っ・・・!」
伍代 炫 (呪術師)「あはは!冗談ですよー!」
伍代 炫 (呪術師)「吉良さんが呪霊を拘束してくれていたおかげで、狙いやすかったです」
伍代 炫 (呪術師)「色々ありましたが、封印できてよかったですね」
伍代 炫 (呪術師)「もぐもぐ・・・」
吉良 晴明 (陰陽師)「お前はいつも何か食ってるな」
伍代 炫 (呪術師)「あ、吉良さんも食います?」
吉良 晴明 (陰陽師)「え?」
伍代 炫 (呪術師)「これ、うまいっすよ」
吉良 晴明 (陰陽師)「・・・いらん!」
内海 太蔵 (怪異伝承研究センター教授)「色々とすまなかったね」
ミラクル幸運 (霊媒師)「危うく死にかけましたよ」
内海 太蔵 (怪異伝承研究センター教授)「本当にすまなかった・・・」
ミラクル幸運 (霊媒師)「でも、内海教授には助けていただいた恩がありますし」
ミラクル幸運 (霊媒師)「三毒を研究したいという教授の思いも理解できます」
ミラクル幸運 (霊媒師)「三毒も封印できましたし、何より教授が無事でよかったです」
内海 太蔵 (怪異伝承研究センター教授)「ミラクル幸運さん・・・」
ミラクル幸運 (霊媒師)「あ、くれぐれもヘルメットのことは内密に」
ミラクル幸運 (霊媒師)「あと、ヘルメットを外した私の『中身』のことも」
内海 太蔵 (怪異伝承研究センター教授)「ああ、あれは見てはいけなかったのか」
内海 太蔵 (怪異伝承研究センター教授)「わかっています。口外しませんよ」
雨笠 栗栖 (妖怪ミステリー小説家)「伍代さん、お疲れさまでした!」
雨笠 栗栖 (妖怪ミステリー小説家)「やっぱりすごかったなあ!」
伍代 炫 (呪術師)「いえいえ、みんなの力ですよ」
伍代 炫 (呪術師)「じゃあ、封印祝いに焼肉食いに行きましょっか!」
雨笠 栗栖 (妖怪ミステリー小説家)「ああ、その約束だったね!」
伍代 炫 (呪術師)「じゃ、センセーのおごりで!」
雨笠 栗栖 (妖怪ミステリー小説家)「いいよ!伍代さんには助けてもらったし」
伍代 炫 (呪術師)「え、マジで?」
伍代 炫 (呪術師)「やった!」
雨笠 栗栖 (妖怪ミステリー小説家)「僕、こう見えても売れっ子作家だからね」
伍代 炫 (呪術師)「ちなみに俺、10人前ぐらい食いますよ」
雨笠 栗栖 (妖怪ミステリー小説家)「・・・え?」

〇森の中
  こうして、三毒森にまた平穏が訪れた。
  彼らの活躍が表沙汰になることはなく、三毒森は変わらず禁足地とされた。

〇壁
  三毒は、人間の煩悩から生まれた悪霊。
  人間から煩悩が消えない限り、その存在も永遠に消えることはない。
  再び三毒の封印が解かれる時。
  それは・・・
  人間次第だ──

ページTOPへ