52 思い遣りある少年の思惑(脚本)
〇荒地
???「アハハハハ──」
フリードリヒを指差し笑う女は、ふと、己の手を見詰め──
???「あー・・・」
???「あぁむっ!」
──噛み付いた
???「むじゅ! ふじゅ!」
フリードリヒ「く、食って、いる?」
???「ん~♪」
女は肘の手前までを食べて、満足そうに口を離した
切断面からはダラダラと青黒い血が溢れる
フリードリヒ「自分を食べて満足できるなら、人間を襲わないで欲しいんだけれど・・・」
???「やー!」
女が左手を振りかぶりフリードリヒへと飛び掛かる
フリードリヒ「──聖凱ッ!!」
フリードリヒの盾は魔法の言葉を受け、左半身の鎧へと瞬時に戻る
???「ウーッ!!」
女は振りかぶった左手の指を揃えて伸ばす
──『抜き手』と呼ばれる急所突きの所作である
フリードリヒ(防ぎきれるか分からない、弾く!)
女に合わせて放つ裏拳は、完全に抜き手を捉えた──だが、しかし──
フリードリヒ(動かない!?)
フリードリヒ「だったら!!!!」
フリードリヒ「オオオオッ!!!!」
重なった裏拳を支点に──己の身体を動かす
フリードリヒ「らああっ!!!!」
そして女の強引な抜き手はフリードリヒから反れ、大地に亀裂を入れるのみに留まる
フリードリヒ「フッ、フーッ!! なんとか! 弾けた!!」
???「さすがぁ、ゆぅしゃーこぅほー」
フリードリヒ「ハーッ、どういたしまして!」
フリードリヒ(コイツ、知性を獲得しつつあるのか? 今の抜き手は少し、武術への心得を感じたぞ・・・)
フリードリヒ(時間を掛けると、更に強くなる?)
???「こんどぉはぁ!! なぐうおっ!!!!」
今度女は、振りかぶった左手を強く握り締める
フリードリヒ「ソイツはご勘弁!!」
構えるフリードリヒに向かい、女は先程よりもコンパクトで速い動きで飛び掛かる──
???「『落実─らくじつ─』ッ!!!!」
???「ウギッ!?!?」
両者に、予期せぬ横槍
マリリン「ハイ!! ドーーーーン!!!!!!」
マリリン「マァリリィンッ!!!! 降☆臨!!!!!!」
ミスリルが、地上にマリリンを投げた
〇空
──直前の上空にて──
アデライーデ「──と、いうワケで、残り三百程度の飛行型をミスリルが相手している間に──」
アデライーデ「フリードリヒを守る為にマリリンの投下、アタシの降下で対処する──良いかい?」
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