51 何者(脚本)
〇荒地
???「うええええええええええぇんん!!!!!!」
フリードリヒ「赤ん坊みたいに泣いているだけなのか? ソレにしては、凄まじい力だね」
???「う゛ぇ、うええええええええぇんん!!!!!!」
フリードリヒ「正気で無いなら、ソレはソレで好都合だ」
フリードリヒは鎧に覆われた左半身を前に構え、左の手を胸の高さにかざす
フリードリヒ「『衝角─しょうかく─』」
フリードリヒの魔法の言葉を受け、半身を覆う鎧が液体の様な波打つ振る舞いを見せる
そして鎧は瞬く間にその姿を崩し、左手へと移動する──
移動した先、左手の先でブルリと震えながら鎧は新たな姿を得た
その姿は、捻じくれた巨大な角を前面に持つ大盾
角の長さは、フリードリヒの全身を隠せる大盾よりも更に長い
フリードリヒは、重量バランスの狂った大盾を軽々と構え──先端を得体の知れぬ女へと向け、駆け出した
フリードリヒ「よしよーし そのまま良い子で泣いてておくれよ」
???「うわああああ──」
フリードリヒ「泣き止むのかい?」
だがフリードリヒは、突進を止めない
???「────」
???「──キャッキャ!」
フリードリヒ「──ほら、かたいかたーい」
土ぼこりを置き去りに疾走するフリードリヒは、盾の角を女へと突き刺す
???「アハハ!」
魔法よりも、矢よりも、決死の槍よりも速い盾の突き──しかし、ソレは女の右片手で止められる
フリードリヒ「さあ、力比べだ── 『螺旋角─らせんかく─』」
女の片手に掴まれた角が回転を始める──
???「うー?」
回転は徐々に加速し、フリードリヒは角で女を上から押し潰す様に圧力を掛ける
踏み締める両足は乾いた地面にヒビを入れた
???「だーうー?」
高速で回転する角を掴む女の手は既にズタズタで、青黒い血の様な液体を辺りにとび散らかせているのだが──
フリードリヒ「──押し切れ無いか」
女の眼前より先へは進めない
???「あー・・・ういーどいぃー?」
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