三毒森

深都 英二

遭遇(脚本)

三毒森

深都 英二

今すぐ読む

三毒森
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇けもの道
内海 太蔵 (怪異伝承研究センター教授)「うっ・・・」
ミラクル幸運 (霊媒師)「内海教授、大丈夫ですか?」
内海 太蔵 (怪異伝承研究センター教授)「しばらく気を失っていたようだ」
内海 太蔵 (怪異伝承研究センター教授)「君は大丈夫か?」
ミラクル幸運 (霊媒師)「私は霊媒師。これしき何の問題もありません」
内海 太蔵 (怪異伝承研究センター教授)「・・・そうか」
ミラクル幸運 (霊媒師)「そういえば、他の人の姿が見当たりませんね」
内海 太蔵 (怪異伝承研究センター教授)「たしかに。はぐれてしまったのか・・・?」
内海 太蔵 (怪異伝承研究センター教授)「おーい!誰かいるかー!」
  内海は叫んでみたが、内海の声は深い霧の中に吸い込まれていった。
  周りを見渡しても木々が生い茂っているだけで、人の姿は見当たらない。
内海 太蔵 (怪異伝承研究センター教授)「スマホも圏外だし・・・みんなどこへ行ってしまったんだ」
ミラクル幸運 (霊媒師)「これも三毒の呪いですかね」
内海 太蔵 (怪異伝承研究センター教授)「・・・ずいぶんと冷静だね」
ミラクル幸運 (霊媒師)「霊媒師なんで」
ミラクル幸運 (霊媒師)「このぐらいで動揺していたら、やっていけないですよ」
内海 太蔵 (怪異伝承研究センター教授)「さすがだな」
内海 太蔵 (怪異伝承研究センター教授)「とりあえず進むか。どこかで合流できるだろう」
ミラクル幸運 (霊媒師)「そうしましょう」
ミラクル幸運 (霊媒師)「元々はペアで分かれて、手分けして三毒森を調査する予定でしたしね」
  しばらく歩くと、数メートル先の木の陰に、一人の女がうずくまっているのが見えた。
内海 太蔵 (怪異伝承研究センター教授)「おや?」
ミラクル幸運 (霊媒師)「女の人がいますね」
  女は二人の姿に気づくと
謎の女「助けてください!」
  そう叫びながら駆け寄ってきた。
  走っている途中で足がもつれ、倒れかけた女を内海が思わず抱き止めた。
内海 太蔵 (怪異伝承研究センター教授)「おっと!大丈夫ですか?」
謎の女「ありがとうございます・・・」
  女は、かなり衰弱していた。
  女は思わず見とれてしまうほど美しく、目にはうっすらと涙を浮かべている。
  体は小刻みに震え、何かに怯えているようだった。
内海 太蔵 (怪異伝承研究センター教授)「こんなところで、一体何を・・・」
謎の女「数日前に友達とこの森に入ったんですが、出られなくなってしまったんです・・・」
謎の女「友達ともはぐれてしまって・・・」
ミラクル幸運 (霊媒師)「ちょっと待ってください」
ミラクル幸運 (霊媒師)「そもそも、ここは禁足地」
ミラクル幸運 (霊媒師)「普通は入ることさえも躊躇うはず。何で入ったんですか?」
謎の女「危険な森ってことは知っていたんですが、つい興味本位で入ってしまって・・・」
  ミラクル幸運は、小声で内海に話しかけた。
ミラクル幸運 (霊媒師)「内海さん・・・なんかこの人怪しくないですか・・・?」
内海 太蔵 (怪異伝承研究センター教授)「君、なんて失礼なことを言うんだ!」
内海 太蔵 (怪異伝承研究センター教授)「こんなキレイな女性が困っているというのに!」
ミラクル幸運 (霊媒師)「・・・エロじじいめ」
内海 太蔵 (怪異伝承研究センター教授)「ん?何か言ったか?」
ミラクル幸運 (霊媒師)「いや、別に」
  ミラクル幸運が女をよく観察すると、女は真っ白なワンピース姿で、ハイヒールを履いていた。
  明らかに、森の散策には似つかわしくない格好だった。
  さらに、森の中にいるのにも関わらず、女の服や靴には不自然なほど汚れが一つもついていなかった。
ミラクル幸運 (霊媒師)「この女・・・!」
  ドンッ!
  ミラクル幸運が女を突き飛ばした。
内海 太蔵 (怪異伝承研究センター教授)「おい!何をしている!」
ミラクル幸運 (霊媒師)「内海教授。その女から離れてください」
内海 太蔵 (怪異伝承研究センター教授)「何を言ってるんだ」
ミラクル幸運 (霊媒師)「まだ分かりませんか?」
ミラクル幸運 (霊媒師)「その女・・・」
ミラクル幸運 (霊媒師)「──人間じゃない」
内海 太蔵 (怪異伝承研究センター教授)「・・・え?」

次のエピソード:想定外

成分キーワード

ページTOPへ