49 いけにえ(脚本)
〇空
ミスリル「グルゥ? グハァ?(どうした姉貴? 少し反応が遅れてきたぞ?)」
アデライーデ「なんのぉ、まだまだ!」
ミスリル「グハァ! グルルア!(フハハッ! 頑張れ頑張れ!)」
ミスリルが空のドーカの包囲網を半壊し──
〇草原
イスランド兵3「大型、撃破を確認!!」
ドミニク将軍「ドミニク隊の砲を下げろ! 点検急げ!」
シャーキン将軍「シャーキン隊、前へ! ドミニク隊とぶつかるなよ!」
地上のドーカは空ほどの数は居ない様で、軍は順調な進攻を行っていた
ドミニク将軍「左翼か?」
イスランド兵3「大型、多数出現! 数・・・4!!」
シャーキン将軍「砲の位置が悪い── フリードリヒに遊撃を要請する 接敵する部隊は距離を保って下がれ!」
ドミニク将軍「勇士隊へ伝令ーーっ!!」
〇荒地
フリードリヒ「指揮は一時預ける、前に出過ぎないでくれ」
レミア「行ってらっしゃ~い」
レミア「・・・・・・」
オスカー「ハッ! 首輪も無いのに尻尾を振って、お行儀の良い犬みたいな勇者サマじゃねえかよ・・・」
レミア「わんわん~、ってね~」
オスカー「ハハッ! ・・・よーし、行くか」
レミア「えっ!? 進むの? でも、進み過ぎるなって・・・」
オスカー「オーイ、お前・・・バカかよ? まさかアイツみたいに行儀良く『待て』でもしている積もりだったのかよ?──」
オスカー「ここでボーナスを稼がないと、俺達は何時までもドゥランノの犬だぜ?」
レミア「で、でもさ、もしかして、『魔王』なんてのが出て来たら・・・」
オスカー「ハァー・・・ 現状、魔王は居ない──」
オスカー「それが軍の結論だ──つまり──」
レミア「え? うっ・・・えっと?」
オスカー「ハァー・・・ 仮に魔王が出たら、それは軍の責任だ──」
オスカー「もしも魔王なんて出て来たら、後続の軍に擦り付けりゃあ良いんだよ 俺達の方が速く動けるんだからな」
レミア「あっ! そっかあ♪ さすがオスカー! あったま良い~!!」
オスカー「フッ、これぐらいではしゃぐなよ──」
オスカー「お前らも聞こえたな? 勇士隊は──」
色違いのドーカ「ぷびい」
オスカー「・・・・・・」
レミア「・・・・・・えっ、と?」
オスカーが背後の勇士隊を振り返ると、見慣れた隊士ではなく、見慣れない色の──
人の背丈ほどしかない、小さなドーカと目が合った
オスカー「オイ? 誰か、つまんねぇ変装でもしたのか?」
レミア「えっと・・・私は聞いて、無い、かな~」
〇荒地
オスカー「オイッ!!? お前! 何がおきた!?」
オスカーが側に立つ勇士隊員の肩を揺すると──
腹に大きな穴の空いた勇士隊員「・・・・・・・・・・・・」
オスカー「・・・・・・あっ」
レミア「ヒッ、ヒイイッ!?」
腹に大きな穴の空いた勇士隊員「ぉーーーー」
オスカーが肩を掴んだ為に、奇跡的なバランスで立っていた勇士隊員は体勢が乱れ、ゆっくりと後ろに倒れ──
色違いのドーカ「ぁむぅ──」
オスカー「うおおっ!?」
レミア「ヒッ!? たべたぁ!!!?」
色違いのドーカ「ふひっ! ぷぴ!」
進化した色違いのドーカ「・・・・・・」
オスカー「・・・成長、した?」
色違いのドーカの体が震え、これまで僅かにも感じなかった魔力が──
薄気味の悪い魔力が滲み出し、それらが一瞬で止まると、色違いのドーカは小さなままに大型の様な姿となっていた
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