探偵は書庫に眠る。

ぷちり

第1話・猫好きの少女(脚本)

探偵は書庫に眠る。

ぷちり

今すぐ読む

探偵は書庫に眠る。
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇黒
  ──とある学校の地下書庫。
  そこには、どんな小さな謎も解決する
  
  『探偵』が眠るという──

〇古書店
  ──────ガタッ
八野宮 育(やのみや はぐむ)「これが地下書庫・・・」
八野宮 育(やのみや はぐむ)「ホントにいるのかしら、 ここに・・・」
  ────誰だ?
八野宮 育(やのみや はぐむ)「あっ、あのっ 解いてほしい〝謎〟を もってきたんですけど・・・」
八野宮 育(やのみや はぐむ)「あ、あなたは・・・!」
  海堂くん!
海堂 未樹(かいどう みき)「なんだ、 はぐむ先生じゃないですか」
八野宮 育(やのみや はぐむ)「もしかして、地下書庫の『探偵』って あなたなの?」
海堂 未樹(かいどう みき)「ああ、まぁ・・・ 俺はただここで本に埋もれてる だけですけどね」
八野宮 育(やのみや はぐむ)「う、埋もれてる・・・?」
海堂 未樹(かいどう みき)「ところで、何か 用があったんじゃないんですか?」
八野宮 育(やのみや はぐむ)「あっ!えっと、 君に解いてほしい〝謎〟があって──」
  探偵は書庫に眠る。
  
  ──第1話・猫好きの少女──
海堂 未樹(かいどう みき)「猫好きの少女が、突然 犬を飼い始めた・・・?」
八野宮 育(やのみや はぐむ)「そうなの!」
八野宮 育(やのみや はぐむ)「私のご近所さんで、かれんちゃんっていう 女の子なんだけど」
八野宮 育(やのみや はぐむ)「猫が大好きだったのに、 最近ワンちゃんを飼い始めたみたいで・・・」
海堂 未樹(かいどう みき)「・・・本当に小さな謎ですね」
八野宮 育(やのみや はぐむ)「だって、気になって 仕方がないんだもの・・・!」
八野宮 育(やのみや はぐむ)「こんなどうでもいいこと、 誰に相談したらいいか分からないし・・・」
海堂 未樹(かいどう みき)「────どうでもいい?」
八野宮 育(やのみや はぐむ)「・・・えっ」
海堂 未樹(かいどう みき)「この世にどうでもいいことなんて、 一つもないんだ」
八野宮 育(やのみや はぐむ)「!!」
海堂 未樹(かいどう みき)「その小さな謎の解明、 承りましょう」
八野宮 育(やのみや はぐむ)「あっ、ありがとう!!」

〇田舎の教会
  シャルルー!
  ワンッ ワンッ
かれん「こっちだよー!」
海堂 未樹(かいどう みき)「あれが、はぐむ先生の ご近所さんですか?」
八野宮 育(やのみや はぐむ)「そう!カワイイでしょ?」
海堂 未樹(かいどう みき)(猫柄の服・・・)
八野宮 育(やのみや はぐむ)「かれんちゃーん!」
かれん「あっ!はぐむおねーさん!」
八野宮 育(やのみや はぐむ)「こんにちは 今日もシャルルと一緒ね?」
かれん「うんっ!そうだよー!」
かれん「シャルルー!」
シャルル「ワンッ!」
八野宮 育(やのみや はぐむ)「わー可愛い♡」
かれん「でしょでしょ!」
海堂 未樹(かいどう みき)(飼い犬のはずなのに 首輪が無い・・・)
八野宮 育(やのみや はぐむ)「かれんちゃんは、いつから シャルルと仲良くなったの?」
かれん「えっとね、おとといくらい前に 仲良くなったんだよ!」
八野宮 育(やのみや はぐむ)「そうなんだ! どこで会ったのかな?」
かれん「えっ!えっと・・・」
八野宮 育(やのみや はぐむ)「?」
  ニャ〜
八野宮 育(やのみや はぐむ)「海堂くん!」
かれん「今のネコ、おにいちゃん?」
海堂 未樹(かいどう みき)「そうだよ」
かれん「すごーい!じょーず!!」
海堂 未樹(かいどう みき)「ありがとう 君はネコが好きなんだね」
かれん「うんっ!! ネコのぬいぐるみとかコップとか もってるんだよ!」
かれん「この前、ママがくれた キーホルダーも──」
かれん「!」
かれん「えっと・・・」
シャルル「ワンッ!ワンッ!」
かれん「あっ、シャルルが呼んでるから もう行くね!」
八野宮 育(やのみや はぐむ)「行っちゃった・・・」
海堂 未樹(かいどう みき)「キーホルダーか・・・」
八野宮 育(やのみや はぐむ)「どうしたの?」
海堂 未樹(かいどう みき)「ちょっと、後を追ってみましょう」
八野宮 育(やのみや はぐむ)「えっ!あっ、海堂くん!」

〇森の中
  ザッ・・・ザッ・・・
かれん「うーん ここにもない・・・」
  かれんちゃん!
八野宮 育(やのみや はぐむ)「ここが二人の遊び場なのね」
海堂 未樹(かいどう みき)(あちらこちらに穴があいている・・・)
  ザッ・・・ザッ・・・
八野宮 育(やのみや はぐむ)「シャルル、夢中で穴を掘ってるわね」
八野宮 育(やのみや はぐむ)「何か探しているのかしら?」
かれん「や、その・・・!」
海堂 未樹(かいどう みき)「探しているのは ネコのキーホルダーでしょう」
「!!」
八野宮 育(やのみや はぐむ)「かれんちゃん、キーホルダーを なくしちゃったの・・・?」
かれん「・・・・・・」
かれん「・・・うん」
八野宮 育(やのみや はぐむ)「それで、シャルルに 探してもらっていたのね?」
かれん「えっとね・・・たぶん シャルルが知ってると思うの」
かれん「シャルルとここで会ったときに なくしちゃったから・・・」
海堂 未樹(かいどう みき)「でも、これだけ穴を掘っても 見つからない・・・」
八野宮 育(やのみや はぐむ)「かれんちゃん、その時に シャルルと遊んでいたのかしら?」
かれん「ううん!シャルルに ごはんをあげたんだよ」
かれん「いっしょうけんめい食べてたから、 かれんはボールとか取りに行ったの」
海堂 未樹(かいどう みき)「食べていた・・・もしかして」
  ワンッ
かれん「シャルル?どうしたの・・・」
シャルル「クゥン・・・」
海堂 未樹(かいどう みき)「先生、この近くに動物病院は!?」
八野宮 育(やのみや はぐむ)「えっ!この近く・・・ あるのは知ってるけれど」
海堂 未樹(かいどう みき)「すぐにシャルルを連れて行きましょう!」
海堂 未樹(かいどう みき)「シャルルがネコを飲み込んでいる・・・!」

〇病室の前
八野宮 育(やのみや はぐむ)「・・・はい・・・なるほど・・・」
八野宮 育(やのみや はぐむ)「・・・わかりました、 ありがとうございます」
かれん「おねーさん! シャルルは・・・?」
八野宮 育(やのみや はぐむ)「心配ないって言ってたわ キーホルダーも出てきたそうよ」
かれん「あ・・・よかった・・・」
八野宮 育(やのみや はぐむ)「かれんちゃん!」
かれん「わたし・・・シャルルが食べたなんて 思ってなくて・・・」
かれん「シャルルに探してもらおうって 思って・・・ずっと・・・」
かれん「わたし・・・シャルルに 大変なことしてたんだ・・・!」
八野宮 育(やのみや はぐむ)「かれんちゃん・・・」
かれん「シャルル、もう・・・ 遊んでくれないよね・・・」
  それは、本人に聞いてみたら
  どうかな?
八野宮 育(やのみや はぐむ)「海堂くん!」
海堂 未樹(かいどう みき)「呼んでみて、かれんちゃん」
かれん「・・・・・・」
かれん「シャルルー!!!」
シャルル「ワンッ!」
かれん「シャルル!!」
かれん「ごめんね!かれん、シャルルのこと 気づいてあげられなかった・・・」
シャルル「クゥ〜ン・・・」
かれん「お腹がちゃんと治ったら、 また・・・遊んでくれる?」
シャルル「ワンッ!ワンッ!」
かれん「シャルル・・・!」
八野宮 育(やのみや はぐむ)「かれんちゃん、これ あなたのものね?」
かれん「あっ!シャルル!!!」
八野宮 育(やのみや はぐむ)「シャルル・・・?」
かれん「よかったぁ・・・ ワンちゃんもキーホルダーも 仲良しになれる!」
海堂 未樹(かいどう みき)「・・・なるほど」
八野宮 育(やのみや はぐむ)「どういうこと?」
海堂 未樹(かいどう みき)「ネコのキーホルダーに 「シャルル」と名前を付けた」
海堂 未樹(かいどう みき)「それをなくしたときに 一緒にいた犬だから、同じ名前で 呼んでいたんでしょう」
八野宮 育(やのみや はぐむ)「そういうことね・・・」

〇シックなカフェ
八野宮 育(やのみや はぐむ)「はー! 謎も解けて、紅茶も美味しくて スッキリ!」
海堂 未樹(かいどう みき)「・・・なんで俺まで お茶しなきゃならないんですか」
八野宮 育(やのみや はぐむ)「そりゃあ、だって 依頼を達成してもらったんだから お礼をしたいのよ」
海堂 未樹(かいどう みき)「別に喫茶店のメニューで 好きなもの特にないですよ」
八野宮 育(やのみや はぐむ)「いいのいいの! とりあえず、これ食べてみて!」
海堂 未樹(かいどう みき)「・・・焼き芋・・・?」
八野宮 育(やのみや はぐむ)「ここの喫茶店、出来たて絶品なの!」
八野宮 育(やのみや はぐむ)「ほらほらっ、海堂くんもどーぞ」
海堂 未樹(かいどう みき)「・・・・・・有難くいただきます」
海堂 未樹(かいどう みき)「・・・はぐむ先生は なぜ俺を知ってたんですか?」
八野宮 育(やのみや はぐむ)「ん、だって海堂くん 英語の成績よろしくないでしょ?」
八野宮 育(やのみや はぐむ)「国語とか数学とか他の科目は いつも満点なのに、 私の英語だけ点数が低いなんて」
八野宮 育(やのみや はぐむ)「そりゃ、覚えちゃうわよ」
海堂 未樹(かいどう みき)「なるほど」
八野宮 育(やのみや はぐむ)「海堂くん、あの地下書庫にいるなら 本をたくさん読んでいるんでしょう?」
八野宮 育(やのみや はぐむ)「得意な科目以外だって 出来そうなものだけど」
海堂 未樹(かいどう みき)「・・・・・・本は読んでいますが、」
海堂 未樹(かいどう みき)「あまり真剣に・・・ 読んでいないもので」
八野宮 育(やのみや はぐむ)「?」

〇古書店
海堂 未樹(かいどう みき)「────── ────── ────・・・・・・」
海堂 未樹(かいどう みき)「・・・出来た頃に戻れるのなら、」
海堂 未樹(かいどう みき)「・・・戻りたいさ」

〇黒
  探偵は書庫に眠る。
  ──第1話 完──

次のエピソード:第2話・似てない双子

コメント

  • 小さい謎、しかし気になって仕方ないもの、その背景にはいろんなストーリーが隠されているもの、そういった謎解きは魅力的です。気になるヒキだったので、次話も気になります。

  • 謎解き、いいですねえ。
    確かに猫好きな人が犬を飼い始めたら色々詮索してしまうかもしれません!
    一つ一つ1話完結で謎解きができ、スッキリする続編も読みたいです!

  • 小さな謎解きというのは斬新ですね。猫好きが犬を飼い始めたというのは面白かったです。

コメントをもっと見る(6件)

成分キーワード

ページTOPへ