実はそんなにもがいていない(脚本)
〇池のほとり
恋香「あとで連絡しておくから、あきらは気にしなくて大丈夫だよ」
あきら「うん、それもだけど、さっき恋香はボートに乗ってたのにもう一回乗るの?」
恋香「だって、私が乗りたかったのって足漕ぎのスワンボートだし」
あきら「ああ、恋香好きそうだよね。 ・・・麦わら帽子、似合ってるよ。 リボンもいいね」
恋香「うん、だって選んでくれた人がデザイナーの卵だからねっ」
あきら「残念、もう卵じゃないんだ」
恋香「本当に? おめでとう!」
あきら「ううん、そうじゃなくて、デザイナーは後輩に託すことにしたの。 今は小さなアパレルショップの店長だよ。 会社を興したんだ」
恋香「わあ、すごいね。 今度行ってもいい?」
あきら「当然」
二人は手を取り合いはしゃいだ。
???「あのー、ボートには乗らないのかい?」
和やかな空気を壊すのを申し訳なさそうな様子でおじさんが声をかける。
恋香「あ、ごめんなさい」
あきら「乗ります」
「今度はスワンボートで」
END