#01俺引っ越すわ!【イヤーンレベル ★★☆☆☆】(脚本)
〇マンションの共用廊下
夕方帰宅、桃花自宅マンション廊下。
桃花「あれ?お隣さん引っ越し?」
〇綺麗な部屋
桃花「ただいま~。あれ?珍しい」
桃花「礼音うちに来てないのね」
〇散らかった部屋
桃花「礼音いる? 弁当買ってきたけど?一緒に・・・」
桃花「って、どうしたの? 片付け?」
礼音「桃花? 俺引っ越すわ」
桃花「は?急に何?」
礼音「ちょっと前から考えてて」
忙しそうに荷物をまとめる礼音
礼音「ちょうど月末でキリがいいと思って」
桃花「そんな急に・・・。」
礼音「大丈夫。 近くだから。」
〇綺麗な部屋
礼音「どうした? 弁当おいしくないの?!!」
桃花「いや、おいしいよ。」
箸が進まない桃花。
桃花「あと2~3日でこういうのも 終わりなのかな~って。」
礼音「こういうの?」
桃花「そう、こうやって一緒に食べたり、 バカ 言い合ったり。」
桃花「・・・。 私達離れるのって初めてじゃない?」
礼音「あれ~?もしかして・・・ さみしくなっちゃった?」
桃花「そ、そんなんじゃないけど・・・」
礼音「そんなんじゃないけど?何?」
うつむく桃花。
嬉しそうに桃花をみつめる礼音
礼音「やっぱりね~ 俺がいないと桃花だめなんだなあ~」
桃花「また!そうやってからかって!! そんなんじゃないから」
沈黙
礼音「じゃあさ 次の3つのうち、 どれか言ったら引っ越すのをやめる。」
桃花「やめる?」
礼音「1。礼音は誰よりもカッコイイ って 心を込めて言う」
桃花「はあ?」
礼音「2。引っ越さないで私のそばにいて って 俺の目をしっかり見ていう」
桃花「あきれた!」
礼音「3。礼音がスキ と色っぽく言う」
礼音「さあ!どれだ!! 全部でもいいぞ!」
桃花「ばっかじゃないの?」
桃花「なんで私が惚れてる設定なのよ!」
礼音「え?違うの」
礼音「違わないと思うけど?」
桃花「はあ?」
桃花「とっとと引っ越せ!」
礼音「言うと思った」
目が合うと2人は笑い合った
〇マンションの共用廊下
月末の夜。桃花帰宅。
礼音「おう!今帰り?」
桃花「うん。そっちは? 荷物運び終わったの?」
礼音「ああ。全部」
荷物がなく、がらんとした礼音の部屋に
二人で入る。
〇高層階の部屋
荷物が無くなった部屋をみつめる二人。
桃花「こんなに広かったのね」
桃花「寂しくなるな・・・」
礼音「今日は素直だね」
会話が続かない・・・
桃花「時々は顔、見せなさいよ。」
礼音「毎日行くよ。」
桃花「毎日?」
礼音「そう、毎日」
桃花「出来る訳ないじゃない。遠くなるのに?」
礼音「でも、毎日。」
また、沈黙・・・
桃花「そろそろ行かないと。 遅くなるわよ」
礼音「そうだな」
そう言いつつ
桃花は礼音の服をつかんでいる。
礼音「なんだよ。」
礼音「そこ!素直になるところ!」
礼音「行かないでって 言ってみれば?」
少しの沈黙
桃花「じゃあ、もうちょっとだけ・・・いい?」
礼音「よく出来ました!」
礼音は桃花の頭をクシャクシャっとして
肩を抱いた。
余韻に浸る二人・・・
桃花「大丈夫だから。もう行って。」
2人は部屋を後にした。
〇マンションの共用廊下
マンションの廊下。桃花の部屋の前。
礼音「じゃあ、行くね」
桃花「うん、元気で」
礼音。両手を広げる
素直にハグに応じる桃花
礼音「なんだよ~柄にもなく・・・」
まさかのハグに嬉しさを隠せない礼音
桃花「・・・。本当に元気で。」
礼音は、桃花の背中を
ポンポンとたたくと・・・
礼音「じゃあな!すぐにまた遊びに来るから!!」
礼音は立ち去った
桃花「あれ?変だな。涙が」
礼音の背中を見送る
桃花「礼音・・・」
小さい声で 名前を呼ぶ。
礼音には聞こえていない・・・
桃花「礼音!」
すると礼音はエレベーターに向かって
行かず・・・
桃花の隣の部屋の扉を
開け入っていった。
パタン!扉が閉まる
桃花「・・・?え?」
そのドアの前に駆け寄る
〇会議室のドア
桃花「え???」
桃花「え~~~!!」
桃花「どういう事?」
桃花、急いでその部屋の扉を
ガチャリと開ける
〇散らかった部屋
礼音「ようこそ! 俺の新しい家で~す!!」
桃花「は???」
桃花、部屋の中を覗き込むと、
いつもの見慣れた部屋が・・・
桃花「ナニコレ?礼音の部屋? 前と一緒じゃない!!」
あっけにとられる桃花
礼音「ささっ!立ち話もあれだから。 座ったら?」
礼音「それともさっきの続き・・・する?」
両手を広げる礼音
ジロリと 礼音を睨む桃花
桃花「どういうこと?礼音」
礼音「ここちょうど空いたばかりで」
礼音「陽当たりもいいんだよね~。 前の部屋シャワーの調子もイマイチだったし。」
礼音「だからこっちがいいかな~って」
桃花「そんなこと聞いているんじゃないの」
礼音「はあ・・」
桃花「最初っから引っ越す先、ここだって 何で言わないわけ?」
礼音「桃花、聞かなかったよね?」
桃花「聞かなかったけど・・・ 聞かなかったけど!」
桃花「あーーーもう!!最初っから言いなさいよ。 ここだって!!」
礼音「俺、一言もウソを言っていないよ!!」
桃花「ウソは言ってない! でも肝心なことも全然言ってない!!」
桃花「ワザとでしょ?これ絶対ワザとでしょ!!」
桃花「私の色んな感情を返せ!! 何日もモヤモヤさせたことを謝れ!」
桃花「うっかり泣いちゃったじゃないの!!」
桃花「頭にきた!!礼音なんて知らない」
部屋を走り去る桃花。
慌てて追いかける礼音
〇会議室のドア
ガチャガチャ
礼音「桃花~ あれ?鍵かかってる!!」
礼音「おーい。桃花~。怒ったのか?」
返事がない
礼音「桃花~。 ちょっとしたサプライズだよ~」
ピンポンピンポンとチャイムを押す礼音!!
礼音「顔を見せに来たから 開けてよ~」
ちょっと焦って、さらにチャイムを押す
礼音「毎日来るって言ったよね~」
礼音「またお隣同士、仲良くやろうぜ!! 桃花? 桃花?」
だんだん焦ってくる礼音。
ドアをたたく
礼音「取り合えず、ここ開けようか?桃花?」
全く返事が無い
この日、このドアは開くことはなかった。
2~3日メールもスルーされた礼音だった。
どうやって仲直りしたのかは
ひ・み・つ
なんだか甘酸っぱい気持ちになりました。
離れていくと思ったら…悲しくなりますよね。
でも、実際はやっぱり近くにいて良かったですね。
可愛らしい二人でほんわかしました、好きだから素直になれなかったりするんですよね、なぜか。じれったさが何だかまたよかったです。
くすぐったかったです!お互いに素直じゃないけどそれを楽しんでいるところが相性バッチリなんだろうな。どうやって仲直りしたか想像が膨らみます。