破邪の拳 ~ニート武道家の地下格闘技トーナメント~

武智城太郎

第二四話 終章(脚本)

破邪の拳 ~ニート武道家の地下格闘技トーナメント~

武智城太郎

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〇草原
  〈天下一闘技会〉から、三か月後──
  文彦は、眼前の敵を静かに見つめている。
  腕に子猫を抱き──
  左の足首に、囚人用の鉄球を繋いで。
竹國無蔵「行くぞ!!」
  剣道の防具で身を固めた無蔵が、猛然と襲いかかってくる。
青馬文彦「今だ!」
  文彦は子猫を上空に放り投げる。
  無蔵の下段蹴りをかわすと──
  〝破邪飛行十字手刀〟(フライング・クロスチョップ)を放つ。
  そして、落ちてくる子猫を無事にキャッチする。
竹國無蔵「ゲホ! ゲボ!」
青馬文彦「申しわけありません、師匠」
竹國無蔵「ゲホッ、ついに三七番目の〈最後の試練〉もゲホッ、突破したな」
竹國無蔵「これでおまえは破邪神拳の免許皆伝じゃ」
青馬文彦「名誉ある破邪神拳の名に恥じぬよう精進いたします!」

〇総合病院

〇大きい病院の廊下

〇病室
青馬文彦「ずいぶん良くなったみたいですね」
根岸学「ああ、体調はいいよ」
根岸学「ぼくは子供のころから、逞しい肉体への憧憬がすごく強かった・・・」
根岸学「あんな卑しいものを開発したのは劣等感の裏返しだ。自分が恥ずかしい」
根岸学「退院したら、こんどこそ鍛錬を重ねて武道を修めるつもりだ」
青馬文彦「それはいいことです」
根岸学「きみはどうするんだ?」
根岸学「免許皆伝したんだろ。自分の道場を持つなら資金を提供するよ」
青馬文彦「ありがとう。でも考えがあるんです」

〇屋敷の門
竹國無蔵「ほんとに行くのか?」
青馬文彦「闘技会に参加して、お金や名誉にこだわったりするのは愚かなことだと気づきました」
竹國無蔵(ずいぶんと爽やかなイイ顔をしてるな)
青馬文彦「破邪神拳は正義の拳! 正義を実行することこそ正しい道だったのです」
竹國無蔵「それで海外放浪の旅に?」
青馬文彦「免許皆伝した者が、武者修行の旅に出るのは伝統ですからね」
竹國無蔵「・・・まあな」
竹國無蔵(いつの時代だ!?)
  文彦は、すでに準備万端の旅姿だ。
竹國無蔵「それで行き先は?」
青馬文彦「特に決めてませんが、悪党が巣くう治安の悪い町に多く立ち寄ることになるでしょう」
青馬文彦「両親には海外留学すると言ってあります」
竹國無蔵「そうか。まあ、破邪神拳魂で頑張れ」
竹國無蔵「無理せんようにな」
青馬文彦「ありがとうございます。それでは」
  一礼し、背をむけて道路を歩き出す。

〇住宅街
木下「青馬よ・・・!!」
  電柱の陰から見送っている木下は、猛烈に感動して号泣している。
木下「おまえは本物の武道家だ!!」

〇住宅街の道
  去っていく文彦の後ろ姿が、夕日の逆光で黒い影になっていく──。

〇黒
  終劇

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