これって夢?好きな人と急接近!

こなつ

エピソード1(脚本)

これって夢?好きな人と急接近!

こなつ

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〇古い施設の廊下
  大学生の吉野はレポートを提出用ボックスに入れた。
  その直後、後ろから声がした。
橘「このレポート難しかったよね」
  声の主は、吉野が恋心を抱いている同じ学科の橘だった。
吉野「!!」
  吉野は橘に気付くと鼓動が早くなった。
吉野「あっ うん。 難しかったね!」
橘「吉野さん、この後授業ある?」
吉野「ううん」
  橘は嬉しそうな顔で微笑んだ。
橘「よかったら、今から映画観に行かない?」
吉野「・・・えっ!?」

〇劇場の座席
吉野(橘くんと映画館に来ちゃった・・・ これって夢??)
橘「吉野さん」
吉野「はいっ!」
橘「ポップコーン、遠慮せずに食べてね」
吉野「うん。ありがとう」
吉野(ダメッ!こんなのドキドキして 映画に集中できないよ!)
  吉野は買ったココアを一口飲んだ。
吉野「!!」
吉野「あの!橘くん!」
橘「?」
吉野「こっちがカフェラテだったみたいで・・・ 私一口飲んじゃったから、そのココア飲んでもらっていい?」
吉野「ごめんなさい!」
橘「いやいや! 吉野さんは悪くないから!」
橘「店員さんが間違えちゃったんだね」
橘「僕気にしないから、カフェラテくれる?」
  そう言って橘は手に持っていたココアを差し出した。
橘「口付けてないから安心してね」
吉野「そんなっ!悪いよ! まだ時間あるし、新しいカフェラテ買ってくるね!」
  吉野が慌てて立ち上がると、その腕を橘が掴んだ。
橘「大丈夫だから!」
吉野「でも・・・」
橘「座って?」
  吉野は小さく頷き座った。
橘「カフェラテもらっていい?」
吉野「・・・うん」
  吉野はカフェラテを渡し、橘からココアを受け取った。
  橘がカフェラテを飲む音が吉野の耳に入ってくる。
吉野「・・・」
  吉野は自分が間接キスをしているわけではないのに、なんだかとても恥ずかしくて橘の顔を見ないようにしていた。
橘「正直、 僕にとってはラッキーだったんだけどな」
吉野「・・・!?」
  吉野は驚き、横を向いて橘の顔を見た。
  すると照明が消え、予告映像が始まったので、すぐ前に向き直った。
吉野(今の・・・どういう意味!?)

〇女性の部屋
吉野「はぁ・・・夢みたいでふわふわする・・・」
吉野(好きな人と映画を観て、食事して帰る。 まるでデートみたいだった・・・)
吉野(でも・・・そんな風に思ってるのは 私だけだよね・・・)
  吉野のスマホに橘から連絡が来た。
  今日はありがとう。映画面白かったね。
  吉野さんと話せてすごく楽しかった。
  また明日ね。おやすみ
  吉野はメールを読むとすぐに頬が緩んだ。
吉野「・・・幸せ・・・」
  吉野は返事を送り、
  明日の用意をしてベッドに入った。

〇講義室
  翌日。
  吉野は教室に入り、後ろの奥の席に座った。
  段々と学生が増えてきて話し声が飛び交う中、隣の席に誰かが座った。
  吉野は横を見ると、目を見開いた。
橘「おはよう」
吉野「あっ おはよ!」
橘「隣いい?」
吉野「うん・・・!」

〇講義室
  授業が終わり、学生たちがぞろぞろと教室を出ていく。
橘「吉野さんも次、経済学だよね?」
吉野「うん」
橘「じゃあ一緒に行こう」
吉野「えっ! あ、うん!」

〇おしゃれな食堂
  吉野は食堂で昼食を取っていた。
吉野(2限目と3限目の授業、隣に橘くんがいたから胸がドキドキして苦しかったぁ・・・!)
吉野(何が起こってるのかな・・・ 昨日からずっと夢だったりして・・・!?)
  橘からメールが来た。
  昨日、水族館が好きって言ってたけど
  明後日の土曜日、一緒にどうかな?
吉野「えぇっ!?」
吉野(本当に何が起きてるの!?)

〇ショーの水槽
  土曜日の水族館
橘「そろそろお昼にしよっか」
吉野「うん。橘くん何か食べたいものある?」
橘「僕は・・・ 吉野さんが食べたいものかな」
吉野「えっ! 橘くん優しすぎるよ!」
橘「え~? あはは!そんなことないよ」
吉野「ううん! 橘くんはすんごい優しいよ!」
吉野「この間だって、『映画に付き合ってくれたお礼に』って晩ご飯ごちそうしてくれたり・・・あ!」
吉野「今日は割り勘でお願いします! そんなに優しくされちゃうと・・・」
橘「・・・されちゃうと?」
吉野「ううん! ごめんっ 何でもないです!」
吉野(わー!『勘違いしちゃいそう』とか 口走っちゃうとこだった・・・ 気を付けないと!)
橘「優しくされたら勘違いしちゃう?」
吉野「へっ!?」
橘「勘違いじゃないよ。 僕、吉野さんだから映画に誘ったんだよ」
橘「今日だって、吉野さんとデートしたいから水族館に誘ったんだ」
吉野「・・・え・・・」
橘「信じられない?」
吉野「あっ・・・その・・・」
橘「吉野さん、授業が終わったらよく図書館行ってるよね?」
吉野「うん・・・!」
橘「僕も課題やレポートを終わらせてから帰ることが多いんだけど、図書館に行ったらいつもいるなぁと思って」
橘「気付いたら目で追うようになってたんだ」
  吉野は驚きの余り、相槌を打つ余裕がなかった。
橘「吉野さんって周りに流されずに生きてるかっこよさがあって、真面目で親切で・・・」
橘「どんなことで笑うのかなとか、何が好きかなとか、吉野さんのことが気になって仕方がなくて、この間やっと声をかけたんだ」
橘「あの日、吉野さんがレポートを持って図書館から出るところを見かけて、これはチャンスと思って・・・」
  吉野はなんとか声を振り絞った。
吉野「あ、あの・・・その・・・」
橘「吉野さん、好きです」
  吉野はほっぺたをつねって夢か確かめたいのを我慢し、コートの裾をぎゅっと握った。
吉野「私・・・ずっと前から橘くんのことが好きです!」
  真っ赤な顔の吉野を、橘は愛おしそうに見つめた。
橘「吉野さん、これからよろしくね」
吉野「・・・うん! お願いします!」
  二人は照れながら、幸せそうな顔で海鮮丼のお店に入っていった。

コメント

  • なんだか懐かしい気持ちになりました!
    私もそうだったなぁと…思い出しました。
    初めてのデート?のときは何を着てくかすごく悩んだり相手の気持ちはどうなんだとか…恥ずかしい笑

  • 吉野と橘の可愛い恋愛模様にキュンキュンしてしまいますね。吉野の反応がとってもピュアすぎで、微笑ましく思いながら読んでいました。

  • トントン拍子にうまくいきすぎると夢かもなんて思っちゃいますよね。橘くんの優しさもありつつストレートでシンプルな攻めのアプローチ、好きですね。読んでいて気持ちよかったです。

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