君の目線に届くまで

京サリ

君の目線に届くまで(脚本)

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京サリ

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〇シンプルな一人暮らしの部屋
あかね「かんぱーい!」
あかね「ぷはーっ!」
あかね「やっぱ昼間っから飲むビールは最高だねぇ」
たくや「人ん家に何しに来たんだよ・・・」
あかね「成長した幼馴染の姿を見に来ようと思って」
あかね「背伸びたねー」
たくや「わざわざ俺に会いに来てくれたの?」
あかね「まあ明日この辺で友達に会う約束してるし」
たくや「ついでかよ」
あかね「でも成長した姿見に来たのは本当」
たくや「・・・!!」
たくや(あかねの友達ありがとう!!)
あかね「ビールサイコー!」
たくや「・・・」
たくや「あのさ・・・せめて服はちゃんと着ろよ」
あかね「え?着てんじゃん」
たくや「そうじゃなくて、」
たくや「ほら、寒くね?まだ春だよ」
あかね「へーきへーき、たっくんは寒がりだなあ」
たくや「だからそうじゃなくて!」
たくや「何?他の男の前でもこうなわけ?」
あかね「そーんなわけ無いじゃーん」
あかね「男の前で無防備な格好なんてしませんよ」
たくや「はあ・・・俺も男なんだけど?」
あかね「たっくんはたっくんじゃん、たっくん坊や」
たくや「もう22ですけどね」
あかね「はあー若いねえ、あたしゃはもう25ですよ」
たくや「大人の3歳なんて大差ないじゃん」
あかね「いーや違うね」
あかね「22歳は四捨五入したら20だけど」
あかね「25歳は30だもん、10歳も違う」
たくや「でも81と84になったら大差ないじゃん」
あかね「あはは」
あかね「そうかも」
たくや「だろ?」
あかね「でもその頃には私はたぶんもう死んでるよ」
たくや「・・・そういうの、好きじゃない」
あかね「ごめんごめん、とりあえず飲も!」
たくや(さり気なく高い方くれるの、ほんとずるいよなあ)
あかね「かんぱーい!」

〇住宅街の公園
  14年前
あかね(小学生)「あんたあたしのこと好きでしょ」
たくや(小学生)「は、はあ!?何いってんだよお前!!」
あかね(小学生)「お姉さんにホントのこと言ってみ?」
たくや(小学生)「べ、別に好きじゃねーし」
あかね(小学生)「あはは!!」
あかね(小学生)「うん!知ってた」
たくや(小学生)(・・・なんも知らねえくせに)
たくや(小学生)「バ、バカにしてんのか!?」
あかね(小学生)「べっつにい」
たくや(小学生)(好きとか言えるわけねえじゃん)
あかね(小学生)「私はたっくん好きだけどね」
たくや(小学生)「え!?」
あかね(小学生)「だって幼馴染じゃん?」
たくや(小学生)(そういうことか)
たくや(小学生)「からかうなよ!」
あかね(小学生)「あかねちゃんは優しいので」
あかね(小学生)「子供をからかったりしませーん」
たくや(小学生)「・・・あかねも子供じゃん」
あかね(小学生)「でもたっくんより背高いし」
たくや(小学生)「・・・まだ3年生なんだからしょうがないだろ」
あかね(小学生)「私は来月で中学生だもんね」
あかね(小学生)「制服楽しみー!」
たくや(小学生)(あかね・・・制服・・・)
たくや(小学生)(・・・絶対かわいい)

〇街中の階段
  5年前
あかね「それがふわふわでめっちゃ美味しくて!」
彼氏「あかねちゃんはほんとにパンケーキが好きだね」
たくや(高校生)「あかね!?」
あかね「おお!たっくん!学校帰り?」
たくや(高校生)「まあ、そうだけど・・・」
彼氏「あかねちゃんのお友達?」
あかね「うん!幼馴染のたくや」
あかね「そんでこっちは私の彼氏」
たくや(高校生)「彼氏ぃ?」
たくや(高校生)「あかねのくせに」
あかね「おこちゃまと違って私は大人なので」
たくや(高校生)「・・・」
たくや(高校生)「こいつズボラだしガサツなんでやめといたほうがいいっすよ」
あかね「はあ!?ちょっとあんたなに人の彼氏に余計なこと言ってんの」
たくや(高校生)「はいはいお幸せに」
彼氏「はは、あかねちゃんは愛されてるなあ」

〇住宅街
たくや(高校生)(なんだよあかねのやつ)
たくや(高校生)(彼氏できたくらいで浮かれてんじゃねえよ)
たくや(高校生)(あんな金髪のどこが良いんだよ)
たくや(高校生)「俺も髪染めようかなあ」
あかね「高校生は染めちゃいけません」
たくや(高校生)「わ!?びっくりした」
あかね「なんであんなこと言ったの」
たくや(高校生)「べ、別に、事実を言っただけだし」
あかね「何に怒ってるのか知らないけど」
あかね「私の彼氏に変なこと言ったら許さないから」
たくや(高校生)「・・・わかったよ」
あかね「で、なんであんなこと言ったの」
たくや(高校生)「・・・心配だから」
あかね「心配?何が?」
たくや(高校生)「・・・あんな金髪大丈夫かなって」
あかね「あはは!!なにそれお父さんみたい!」
たくや(高校生)「おとう・・・!」
あかね「大丈夫だよ、ちゃんといい人だから」
たくや(高校生)「・・・よかったな」
あかね「ありがと」
たくや(高校生)「・・・」
あかね「・・・」
あかね「たっくんあたしのこと好きでしょ」
たくや(高校生)「・・・」
あかね「・・・幼馴染だもんね」
たくや(高校生)「・・・」
たくや(高校生)「・・・当たり前じゃん」
あかね「あんたは大事な家族だよ」
たくや(高校生)「・・・」

〇シンプルな一人暮らしの部屋
たくや(あれはマジで辛かったな・・・)
たくや「あかね」
あかね「なにー?」
たくや「俺ん家来てて彼氏とかおこんねーの」
あかね「うん、彼氏いないし」
たくや「・・・そっか」
あかね「唐揚げラス1もらっていい?」
たくや「え、あ、ああ」
たくや「・・・」
たくや「あかね」
あかね「なんだよー」
たくや「週末出かけない?」
あかね「お出かけ?何すんの」
たくや「水族館行ったり、桜見に行ったり」
あかね「なにそれデートみたい」
たくや(調子狂うなあ)
あかね「いいよ」
あかね「たまには羽でも伸ばしますかあ」

〇桜並木
  土曜日
あかね「きれーっ!」
あかね「近所にこんなキレイな場所があるんだね」
たくや「だろ?俺のお気に入りなんだ」
あかね「ありがとね」
あかね「気を使ってくれて」
たくや「そんなんじゃないよ」
たくや「俺が一緒に見たかっただけだから」
あかね「なにそれ」
あかね「あたしのこと好きでしょ」
たくや「・・・」
たくや「うん。好きだよ」
あかね「知ってた」
たくや「俺も」
  完。

コメント

  • ラストシーンでやっと二人の思いが通じ合った感じですね。
    10代の頃の歳の差は大きいですが、もう気になる歳じゃないですよ。
    幸せになってほしいです!

  • 幼馴染という関係は、友達以上恋人未満とよく言われますが、私のこと好きでしょと言う彼女の言葉にどんな気持ちがこもっているのか。彼もやっと分かったのかな?

  • 恋愛関係も人付き合いの一つとしたら、やっぱり昔から知り合っている人の方が安心するし心許せますよね。恋に発展するかどうかは別として、この二人には15年前すでにその予兆があったのですね!

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