幼なじみと私とケーキ

チカっち

本編(脚本)

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〇繁華な通り
私「凪!」
  待ち合わせ場所にしていた、ケーキ屋さんの近くに立っている人影に呼びかけた。
  彼の名前は凪。中学になって離れ離れになってしまった幼なじみ。
  高校が同じになって、久々に一緒にご飯を食べに行くことになったのだ。
私「ごめんね、待たせちゃった?」
凪「ううん、大丈夫。今来たところだから」
  そんなことを言っているが、心配性の凪のことだ。いつも通り早く来たに違いない。
  と思いながらも、私達はケーキ屋さんの列に並んだ。
  このケーキ屋さんではカップル割引を行っている。
  異性同性構わず、カップルということを自己申告すれば1部のメニューが割引されるのだ。
  恐らく、この割引を狙ってる人は多くいる。
  列には2人組みや家族連れが多く並んでいた。
  それにしても列が進まない。
  急ぎ足で来たので、厚底の靴に刺激されてかかとが少し痛くなってきた。早く座りたい。
  そんな気持ちを抑えて、凪と何を食べるか相談していた。
私「このケーキが1番人気なんだって!」
私「私はこれにする!」
凪「いいね!俺はこれかな」
凪「これとコーヒーとか、組み合わせたら美味しそう!」
  そんなことを話していても、列は一向に進まない。
  足の痛みが隠せなくなってきた頃に、凪がバッグから何かを取りだした。
凪「もし良かったらなんだけど・・・これ、使う?」
  スニーカーだった。
凪「今日、厚底って聞いてたから。足痛くなるかなって・・・」
凪「・・・余計なお世話だったら、ごめん」
私「凪・・・」
  喜ぶべきだろうか、悲しむべきだろうか。
  凪は、3年間の間に同い年の女の子のことを気遣えるほど成長していたのだ。
  そして私も、そんな凪にときめいてしまうほど成長していたのだった。
私「ありがとう、凪!」
  しかし、これをきっかけに凪に対しての謎の意識が芽生えてしまい・・・
  結局ケーキ屋さんに入るまで、一言も話せなくなってしまったのであった。

〇テーブル席
  店内に入ってからは、またケーキの話やお互いの中学校生活の話などをしていた。
私「それでね、その子が言ったんだよ!」
私「「あー!あった、バッグの底にあったー!」ってね!」
凪「あー、よくあるよくある!」
凪「探したと思ったバッグの底から見つかるやつ、俺もよくやらかしてたな〜」
  そんな話をしていると、背後からいきなり声が聞こえた。
お客さん「や、山田さん!」
モブ「ず、ずっと前から好きでした」
モブ「付き合ってください!」
モブ3「はい!喜んで・・・!」
  店内がわあっと盛り上がった。
モブ2「まあ、大胆ね!」
モブ6「た、田中さん・・・その・・・」
モブ6「私達も、そろそろ結婚しない?」
モブ2「えっ!?」
  なんと、1人が告白した瞬間、まわりのカップルが勢いに乗ってサプライズし始めたのだ。
モブ9「まあ〜!若いっていいわね〜」
モブ8「俺も、結婚記念日に普段とは違うものをプレゼントしてやろうかな・・・」
モブ5「彼女、ここのケーキ好きって言ってたな・・・」
  店内が少しずつ、カップルの話題で盛り上がってきた。
  もちろん、そうでない人もいた。
  カップルを偽ってここにいる私達も例外ではなかった。
私「・・・なんだか、ロマンチックだね」
私「でも私だったら恥ずかしくなっちゃうかも・・・」
凪「俺も言われた本人になったらちょっと恥ずかしいかもな・・・」
私「でも、みんなの前で告白できるほど愛してるってことだよね」
私「凄いなあ・・・」
  そんなこんなで満腹になった私達は、ケーキ屋さんを後にした。

〇ゆるやかな坂道
  帰りは、凪が家まで送ってくれることになった。
  家まで女ひとりは危ないと判断したのだろうか。どちらにせよ、少し安心した。
私「この道、一緒に歩くの久しぶりだね〜」
凪「あの頃はこの坂がすごく長く思えて嫌だったなあ・・・・・・」
私「えっ!そうなの!?」
  帰り道でも他愛ない話をしていた。
私「着いたね」
私「・・・じゃあ、また学校で」
凪「・・・なぎさ」
  初めて、下の名前を呼ばれた。
なぎさ「ど・・・」
なぎさ「どうしたの、急に?」
凪「お前、昔から恥ずかしがり屋だったよな」
凪「だから、あそこでは言わなかったんだけど」
なぎさ「それって、ケーキ屋さんの・・・?」
凪「ああ」
凪「なぎさ、俺と付き合ってくれ」
  帰り道。
  私は幼なじみに告白された。
なぎさ「──」
凪「中学の3年間、会えないままで熱が冷めたらもう会わないって決めてた」
凪「でも、3年間、お前のことが忘れられなかったんだ」
凪「返事はすぐじゃなくてもいい、絶対に付き合えとは言わないから」
凪「でも、出来ることなら・・・」
なぎさ「・・・はい!」
凪「え・・・」
なぎさ「これからも、よろしくお願いします!」
凪「なぎさ・・・」
凪「ありがとう・・・!」
  高校生活、青春の1ページ。
  私に、恋人が出来ました。
  お相手は、幼なじみの凪。
  人のことを気遣える、いい人です。
  これからも色んな壁が待ち受けているかもしれないけど、私たちならきっと──
???「ガチャ──」
お母さん「なぎさ〜、帰ってるなら入りなさ・・・あら?」
お母さん「あら〜!凪くんじゃない!久しぶりね〜!」
私「なっ・・・」
凪「な・・・なぎさの・・・」
「お母さんっ!??!」
お母さん「あら?2人ともどうしたの?そんな顔して・・・」
お母さん「あらなぎさ!顔真っ赤じゃない!」
お母さん「ってことは・・・お母さんが邪魔しちゃったのね!ごめんなさいね〜」
なぎさ「お・・・お・・・」
なぎさ「お母さ〜ん!!なんてタイミングで出てきちゃったの〜!??」
  ・・・・・・これからも、頑張ります!

コメント

  • とても気の回る幼馴染彼氏っていいですね。それにしても、カップル割引のケーキ屋さんでの空気感はステキですね。ケーキよりも甘い雰囲気で。

  • 3年も想いをあたためて確信してからの告白、嬉しいでしょうね。告白場所も彼女のはずかしがりやの性格をわかったうえでの場所で愛を感じました。お母さんの絶妙なタイミング!というハプニングはありましたが、幸せが溢れていました。

  • みんなそこで便乗する~って感じで笑ってしまいましたが、彼が彼女の気持ちをうまく読み取っているのがほほえましかったです。最後のお母さんも素敵でした。

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