However hard I try,I’ll never make her fall for me

すずきひな

I’ll never make her fall for me.(脚本)

However hard I try,I’ll never make her fall for me

すずきひな

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〇整頓された部屋
遊星「アコちゃん」
遊星「ね まだ 勇星なの?」
遊星「フラれたんでしょ 勇星に」
アコ「う゛」
遊星「あれ?」
遊星「ホントなんだ?」
アコ「え゛」
アコ「・・・」
アコ「そうですけど」
遊星「じゃあさ じゃあさ」
遊星「僕にしとけば?」
アコ「は?」
遊星「いいじゃん」
遊星「双子だから」
遊星「顔 おなじ だし」
アコ「・・・おなじ じゃないよ」
遊星「ふうん けど」
遊星「気づかなかったし アコちゃん」
遊星「ほら このあいだの映画」
アコ「え!?」
遊星「勇星と ふたりで 行ったんでしょ?」
遊星「僕には ないしょ で」
アコ「・・・」
遊星「あれさ」
遊星「勇星 行ってないんだ」
遊星「あの日」
遊星「アコちゃんの 隣りにいたの」
遊星「勇星のふりした 僕」
遊星「完コピ だったでしょ!!」
アコ「・・・」
アコ「帰るね」
遊星「ごめんごめん 帰らないで」
遊星「それに ──ほら」
遊星「外 見て」

〇整頓された部屋

〇整頓された部屋
遊星「もう まっ暗だよ」
アコ「嘘 なんで!?」
アコ(さっきまで 昼じゃ)
遊星「・・・危ないよ」
遊星「朝までいたら いいじゃん」
アコ「・・・」
遊星「どうしたの 怖い顔して」
遊星「部屋にいたほうが 危ない」
遊星「──とか 思ってる?」
アコ「なんか怖いよ 遊ちゃん」
遊星「行くなよ アコちゃん」
アコ「帰るね」
遊星「アコちゃん!!」
遊星「・・・」
遊星(ねえ アコちゃん)
遊星(残酷だよね)
遊星(太陽が 沈まなくちゃ)
遊星(月は 見てもらえないんだ)

〇森の中
  ──え!?
アコ(──森? なんで?)
  遊くんの部屋は?
  ──消えた!?
アコ(それに)
遊星「雪だね」
遊星「前にもあったよね こんなこと」
遊星「山で迷って 雪にふられて──」

〇雪山
  ね アコちゃん
  うさぎ 見たくない?
  親子のうさぎ
  赤ちゃんうさぎ かわいいんだ
遊星(どこだ うさぎ)
遊星(勇星は たしか このあたりだって)
アコ「はあ はあ 遊ちゃん ごめん」
アコ「休んでも いい?」
遊星「だいじょうぶ?」
アコ「へへ」
遊星(アコちゃん ふるえてる)
遊星「ほんとごめん アコちゃん」
遊星(──最低だ)
遊星(アコちゃんに うさぎ見せたくて)
遊星(アコちゃんに 無理させるなんて)
遊星「勇星は こんなヘマしない」
アコ「えっ」
遊星「アコちゃん 休んでて」
遊星「そっこー かまくら つくるから!!」
遊星「あ ごめん」
遊星「アウター あずかってて」
遊星「汗 かいちゃうからさ」
遊星「おっ アコちゃん」
遊星「ダボっとしてるのも かわいい!!」
アコ「ばか!! 死んじゃうよ!!」
遊星「アコちゃん それくらいさせてよ」
遊星「アコちゃん こんな目にあわせて」
遊星「自分が 赦せなさすぎて」
遊星「それくらいしなくちゃ」
遊星「逆に 死んじゃいそうなんだ」

〇ソーダ
アコ「・・・あったかいね かまくら」
遊星「だね」
アコ「ありがと 遊ちゃん」
アコ「返すね アウター」
遊星「なっ 着てなよ」
遊星「運動したから まだ熱いんだ」
アコ「ほんと 嘘ばっかり 遊ちゃんは」
アコ「ふるえてるじゃん」
アコ「あのさ・・・」
アコ「くっつきたいから アウター 返すの」
遊星「くっつく・・・」
遊星「あ 汗くさいよ? ・・・いいの?」
アコ「遊ちゃん あったかい」
アコ「・・・」
遊星「・・・アコちゃん!?」
遊星「アコちゃん 寝ちゃダメだ!!」
アコ「・・・ん」
遊星(ッ ──圏外)
遊星「アコちゃん 歌!!」
遊星「聞いてて アコちゃん」
アコ「・・・ヤだよ」
アコ「遊ちゃん 超音痴じゃん」
アコ「・・・」
遊星「アコちゃん!?」
アコ「・・・」
遊星「スーーーッ」
遊星「超音痴 なめんな」
遊星「寝れるもんなら 寝てみなよ!!」

〇水の中
遊星(やべ ・・・落ちてた)
遊星(歌わな・・・)
  ──ったく
  あいかわらず 歌の個性 つよすぎ
  けど おかげで ここにこられたよ
勇星「がんばったな 遊!!」
遊星「・・・勇星!?」
遊星「悪い」
勇星「だいじょうぶか 遊」
勇星「血まみれじゃんか 指」
遊星「はりきりすぎた」
勇星「そっか おまえ この かまくら──」
遊星「勇星 それよか アコちゃん」
勇星「まかせろ」
勇星「アコ」
勇星「アコ 起きろ!!」
勇星「起きねー と」
勇星「・・・するぞ?」
アコ「・・・勇くん!?」
アコ「勇くんっ」
勇星「ありがとな アコ」
勇星「遊 まもってくれて」
勇星「あいつ ひとりだったら」
勇星「生きるのサボって くたばってたかも」
勇星「アコのおかげだよ」
勇星「じゃ 帰っか」
勇星「ほら アコ 乗れよ 背中」
勇星「きょうだけ アコの白馬に なってやる」
遊星「白馬になって どーすんの?」
遊星「そこは王子様 じゃない?」
勇星「いや オレは白馬」
勇星「きょうの王子は おまえだよ 遊」

〇森の中
アコ「・・・あったね そんなこと」
遊星「ごめん アコちゃん あの日さ」
遊星「嘘ついた」
遊星「うさぎ 見たことあったの 勇星で」
遊星「僕は 勇星から 場所 聞いてただけ」
遊星「アコちゃん 勇星ばっか 見てるから」
遊星(だから 決めたんだ)
遊星(勇星が 死んだ あの日)
遊星(僕が 勇星として 生きるって)
遊星「ごめん ほんと」
アコ「・・・」
遊星「雪 強くなってきたね」
遊星「アコちゃん 指 冷たい?」
遊星「ほら 僕のポケット」
遊星「いっしょに使お」
遊星「この先に トンネルがあるんだ」
遊星「そこで 雪 しのげるから」
遊星「それまで ね?」
遊星「しゃべらなければ 勇星だし」
アコ「違うよ」
アコ「遊ちゃんの手は 華奢だもん」
アコ「勇くんの手は 骨ばってて」
アコ「男っぽかったな」
遊星「そっか」
遊星「勇星 野球部のエースだったから」

〇森の中
  なあ 遊
  アコのこと どう思ってる?
  どう思ってるって なんだよ
  そっか 好きなんだな 遊は
  なんでそうなるんだよ
  アコのことになると おまえ
  嘘つけないだろ
  だから 答え 濁してる
  ──どうなんだよ 勇星は
  オレは──
  なあ 遊
  恋愛の欠点って
  3人で恋愛できないこと じゃね?
  なんだよ それ
  なんだろな
  で 勇星は どうなんだよ
  どうなんだよって なんなんだよ
  汚ね 逃げるな 勇星
遊星「着いた 休んでて」
アコ「え 遊ちゃんは?」
遊星「助け呼んでくる 公衆電話で」

〇岩穴の出口
アコ「遅いな 遊ちゃん」
  アコ
アコ「え」
勇星「悪い ひとりにして」
アコ「勇くん?」
アコ「遊ちゃんは?」
勇星「先 行ってるって」
勇星「電話もらったよ」
アコ「嘘」
アコ「遊ちゃーん!!」
勇星「アコ 時間がない」
勇星「行くよ」
アコ「ヤダ!! 遊ちゃん 遊ちゃん」
アコ「手 離してよ!! 勇くん」
  え!?
アコ(この手は──)

〇貴族の部屋
  アコ!!
  気づいたのか!!
アコ「・・・」
アコ「・・・ユウくん?」
ユウセイ「おかえり アコ」
アコ「手 にぎってて くれたの?」
  ──華奢な手
アコ「・・・わたし 遠い日の夢 見てた」
アコ「遊ちゃんも いたよ」
ユウセイ「──そうか」
アコ「・・・ユウくん 外 あれは 雪?」
ユウセイ「違うよ アコちゃん」

〇桜並木
  満天の
  桜ふぶきだよ

コメント

  • とても切ないストーリーでした。双子って、やっぱり似てるから好みの女性も似るのかな〜。あこちゃんにずっと寄り添ってきた遊くんのいろんな感情を想像するととても切ないですね。

  • 双子でも、一方の恋人からしたら違いをきっちり認識できますよね。そういった部分を含め、情感豊かな物語を楽しませてもらいました。

  • とても美しい三角関係だと思いました。兄妹で同じ人を好きになりながらも、お互いにリスペクトがあり、認め合っている。恋愛の欠点・・という所、この3人に関してはその通りです。

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