ファミレスと言う名の会議場(脚本)
〇ファミリーレストランの店内
上川「俺今度こそ絶対告白する!!」
松山「お前そのセリフ何回目だよ。もう聞き飽きたよ」
上川「今度こそ本気だから。完璧なプランも練った」
上川「今日お前を呼んだ理由は他でもない、このプランにおかしい所がないか最終確認して欲しい」
上川「お前にしか頼めないんだ」
松山「今まで何度も相談乗ってきただろ。もう勝手にしろ」
上川「そう言うなよー、俺達親友だろ?」
松山「気持ち悪いこと言うな」
上川「──おごる」
松山「よし親友の上川君。俺に任せたまえ」
上川「・・・お前割とそういうところあるよな」
松山「あ?聞かねぇぞ?」
上川「嘘です松山様ありがとうございます」
松山「わかれば良いんだよ。でもこれで最後だからな。んで?その完璧なプランってのは?」
上川「──心して聞けよ。まず今度の休みに映画に誘う。昨日アイツ映画観たいって言ってたから絶対に来る」
松山「あぁ漫画原作のやつだっけ」
上川「そう、少女漫画のやつ。可愛いよな」
松山「キモいな。でもお前あの時「つまんなそう」って言ってたじゃん」
上川「うん、でも誘う。これ『意外性』な?分かる?」
松山「わかんねぇよ。絶対アイツも「なんで?」って言うぞ」
上川「そこがポイントなんだよ。あえて「なんで?」って思わせる」
上川「そうすることで「もしかして映画じゃなくて私と出かけるのが目的?」って」
松山「思わねぇだろ」
上川「なんで言い切れるんだよ」
松山「何度も言ってるよね?お前ら見てると全然恋愛っぽくないって」
松山「本気で仲良いのは分かるけど、同性の友達ですか?って位に仲良くなり過ぎ」
上川「・・・それは、わかってるよぉ・・・」
松山「変な声出すなよ」
上川「・・・になるとは思わなかったんだよ」
松山「えっ?なに?」
上川「好きになるとは思わなかったんだよ!!」
松山「うるせぇよ、デカい声で恥ずかしいこと言うな。俺まで恥ずかしい奴だと思われんだろ」
上川「最初はただ気が合うやつだなって。でも気が付いたら好きになってたんだからしょうがねぇだろぉ・・・」
松山「はいはいもうその言い訳ここ半年で50回は聞いてる」
上川「俺そんなに言ってねぇよ、20回位だろ!!」
松山「俺は同じこと50回は聞いてるんだよ」
上川「どういうこと?ねぇそもそも松山君はどうしてそんなに冷たいの?──まさか実はお前もアイツのことを」
松山「ねぇよ」
上川「即答かよ。馬鹿にすんなよ!俺の好きな相手だぞ」
松山「俺が馬鹿にしてるのはお前だけだよ」
松山「アイツは良い奴だし顔も可愛いと思うけど、俺の中で完全に友達だからそういう気は全くない」
上川「──俺を馬鹿にしてることは一旦置いといて」
上川「マジでお前にその気がなくて良かった。お前もアイツのこと好きだったら相談できないもん」
松山「じゃあさ、誠心誠意相談乗っても行動に移さない相談相手を持つ俺の身になれる?」
上川「今回は本気だから、俺を信じて。続き話しても良い?」
松山「──どうぞ」
上川「当日は映画館の前で待ち合わせして11時25分からの映画を観る」
上川「事前に観やすい席買っといて発券も済ませておくことでスマートな俺をみせる」
松山「お前から誘うんだから普通だろ」
上川「ねぇ最後まで聞いて?」
上川「映画が終わったら近くのカフェでランチ。あの映画館の近くのいつも混んでる店ね」
上川「予約しといてスムーズに入店。ここでもスマートな俺をみせる」
松山「お前スマートに取り憑かれてんな・・・」
松山「──そういえばアイツこの前『イケメンにエスコートされてみたい』って言ってたっけ」
上川「・・・今更顔はどうしようもないけど段取り位はたてられるから・・・」
松山「ははっ、真面目に考えてるじゃん」
上川「本気なんだよ!!そこで映画の感想を言い合う」
上川「アイツと恋バナした事ないから、恋愛映画の感想の流れで少しでも話して意識・・・させる・・・」
上川「その後はモールで買い物したりブラブラして、暗くなってきたら近くの公園に移動。そこで──」
上川「告白する」
松山「──いいんじゃね?」
上川「定番過ぎって切り捨てられるかと思ってた」
松山「まぁド定番だけど、定番って万人に受けるから定番になるんだろ」
松山「告白するのが目的なんだから下手なことするよりよっぽど良いと思うわ」
上川「ヤダ、カッコいい」
松山「マジで気持ち悪いからやめてくれる?」
上川「ごめんなさい」
上川「──ということで、今から電話して約束を取り付けようと思う」
松山「あー、電話?」
上川「そう、電話。文字だと細かいニュアンス伝わりにくいじゃん。だから電話の方が良いかなって」
松山「一理あるけどだったら明日直接誘えよ」
上川「・・・今の勢いを大切にしたい」
松山「ビビってんじゃん」
松山「いつもとは違う真剣な顔で誘ってそれでも来るって言うなら脈アリそうだし、本気ならその方が良いと思うけど?」
上川「──そ、うですね。わかった。明日誘う。でも遠くで見守っててよ!?」
松山「マジでアイツの話してる時のお前気持ち悪いわ。しょうがねぇな、わかったよ」
松山「とりあえず俺の飲み物なくなったから淹れてきて?アイスティーとオレンジジュース6:4ね」
上川「おい、俺パシリじゃな」
松山「見守らないよ?」
上川「行って参ります」
────ブーッブーッ
ヤバっ、どうしよう!!
あっ、切れた
松山「そう言うことだから」
えっ!?あっ、ずっと居たのバレてた!?
松山「うん、だってココ普通に俺からは見える席だし」
松山「告白される本人が聞いてるってバレないように電話阻止したんだからちゃんと受け止めてやれよ?」
松山「もうこれ以上お前”ら”の相談相手するの辞めるから」
──あ、あの、最後まで見守っててください・・・
松山「・・・お前ら本当に似たもの同士だわ」
テンポの良い会話で、登場人物の熱量も伝わってくるようでした。恋に必死な男子って見ていてニヤニヤしてしまいますね!まさかのラストにも驚きです。
友達は自分が橋渡しの役を担わなくても自然と二人がくっつけばいいと待っていたのかもしれませんね。でも似た者同士だから、なかなか前に進まないから最終的にこういう形で応援したんですね。とっても思いやりがあって素敵でした。
両者から相談を受けてたのに、それを教えずに自分たちに気づかせてあげるって、なかなかできない、本当に友達想いのイケメンだと思います。映画デート成功するといいですね!