Q.それは恋ですか?

佐咲 作弥

読切(脚本)

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佐咲 作弥

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〇テーブル席
  ザワ  ザワ ザワ
俺「は!? お前好きなやついんの!?」
幼馴染のアイツ「うん あ、その問題答えAだよ」
俺「マジ? ・・・・・・ほんとだ、ミスった」
俺「って、違う! なんでそんな大事なこと言ってくれねーんだよ」
幼馴染のアイツ「違わないって」
俺「問題のことじゃねーって! 今夏休みだよな!? いいの!? 俺といて!」
幼馴染のアイツ「そうだよー だからたまった宿題終わらせるために私とあんた、こうやって問題解いているんでしょ?」
幼馴染のアイツ「私がいないと、ろくに宿題を消化できない奴はだーれ?」
俺「はい! 俺です!! 大事な幼馴染様へ誠に感謝いたします!!! って、そうじゃなく!」
俺「そいつとデー・・・・・・遊びに誘わないのか?」
幼馴染のアイツ「乙女の恥じらいなめんな そんな直球じゃうまく誘えないって」
幼馴染のアイツ「もっとこう、別の理由をつけないと私も緊張しちゃうから ね?」
俺「っ!」
俺「・・・・・・甘酸っぱいな」
幼馴染のアイツ「そうでしょ? それにまだ休みはたくさんあるし、誘うチャンスたくさんあるからさ」
俺「へぇーーー? ふぅうーーーん?」
俺(おっっもしろくねぇ~~!!! 誰だよ好きな奴って! こいつとは昔からずっと一緒にいたのに、今の今まで知らなかったぞ!)
俺(どこのどいつだ! サッカー部エースの川西か? それか5組の委員長ケンゴ? それか・・・・・・)
俺(ぐわあああなんでこいつの周りにかっこいい奴ばっかいるんだよ!)
俺「よく今まで誰かに言わなかったな 俺は全然知らなかったけど?」
幼馴染のアイツ「え? あはは! その人のことが好きなんだって気持ちはあんただけに初めて伝えたわ!」
幼馴染のアイツ「・・・・・・大切なあんたに、一番に伝えたかったから」
俺「っ! ずるいって、その言い方」
幼馴染のアイツ「本音だからね」
俺(大切って言いながら、お前は──)
幼馴染のアイツ「さ、ラストスパート 頑張って宿題終わらせて、残りの夏休みいっぱい遊ぼ! ほら、夏祭りとか、花火大会に、海も!」
幼馴染のアイツ「今年もあんたと一緒に遊ぶの、楽しみなんだから」
俺「・・・・・・好きな奴と行くんじゃないのかよ」
俺(俺じゃない誰かと──)
幼馴染のアイツ「ん? ああうん、まあ、ね」
俺(こうやって一緒に過ごしていくのかよ・・・・・・)
俺(・・・・・・ほんとに、そいつのこと好きなのか?)

〇テーブル席
幼馴染のアイツ「よし、問題集おーわりっと あー、あとはもう遊ぶだけ──」
俺「終わらせない」
幼馴染のアイツ「え?」
俺「ここからは別の問題です」
幼馴染のアイツ「んん?」
俺「問題内容は『あなたはその人に恋してる? ドキドキ診断!』です!!!」
幼馴染のアイツ「それ問題じゃなくて診断、というかあんたの質問──」
俺「問題! デデン!!」
幼馴染のアイツ「必死か」
俺「Q1.あなたはその人といると胸が弾みますか?」
幼馴染のアイツ「弾みすぎて苦しいくらいね」
俺「ぐっ!」
俺「Q2.あなたはその人のことをいつ思い出す?」
幼馴染のアイツ「ふと気づいたら、かなぁ」
俺「うぅ!」
幼馴染のアイツ「これあの人がすきそうだなぁとか、ここ一緒に行ったら楽しそうだなぁとか、いつの間にか考えてる」
俺「Q3.その人としゃべるの楽しい?」
幼馴染のアイツ「すっごく!」
俺「――っ!」
幼馴染のアイツ「それだけじゃない しゃべるたびに楽しいって思えるし ・・・・・・何より、その人、私のことをよく見て聞いてくれるの」
俺「ッ・・・!~っ~~! っ、恋ですね! おめでとうございます!」
幼馴染のアイツ「ありがと!」
俺(あ~~チクショウ かんっぜん、恋してる顔じゃん)
俺「・・・・・・Q.俺のよく知っているやつ?」
幼馴染のアイツ「よく知ってるよ 知りすぎて逆にわかんないと思う」
俺「んんん! Q.もうそいつと一緒にデ、出掛けた?」
幼馴染のアイツ「何十回もね」
俺「なんじゅっ・・・・・・!」
俺「Q.いつから好きだった?」
幼馴染のアイツ「――ずっと前から」
俺「・・・・・・いつ告白すんだよ」
幼馴染のアイツ「もうすぐね」
俺「っ!」
幼馴染のアイツ「というか、これからする」
俺「っっ!!!」
幼馴染のアイツ「私夏休み中にその人に告白するって決めてたの」
幼馴染のアイツ「そういうわけで、うまく成就するよう応援してよ」

〇テーブル席
俺「――しない」
幼馴染のアイツ「え?」
俺「そいつに、告白すんのやめろよ」
幼馴染のアイツ「・・・・・・なんで?」
俺「そいつに告白したら、付き合うじゃん」
幼馴染のアイツ「まだ決まったわけじゃあ」
俺「いーや、付き合うね わかるよ、伊達にお前とずっと一緒にいた俺が言うんだから」
俺「・・・・・・絶対そいつ、お前のこと好きになるにきまってる」
幼馴染のアイツ「・・・・・・ほんとに思う?」
俺「思う あー、むかつく わがままだってわかっているけどよぅ・・・・・・」
俺「俺のほうがお前といたのに、そいつと付き合ったらもう俺とこうやっていられなくなるなんて・・・・・・」
俺「――嫌だなぁ、お前のとなり、誰にも譲りたくねぇ・・・・・・」
俺(かっこわる、でもってホントに馬鹿だ、俺)
俺(なんでこいつへの気持ち、今頃気づくんだろ)

〇テーブル席
俺「・・・・・・はぁー、わり 今の聞かなかったことにしてくれ 俺も男で、大事な幼馴染の一大決心だ」
俺「応援するから、バシッと告白キメて──」
幼馴染のアイツ「問題です デデン」
俺「は?」
幼馴染のアイツ「Q1.私とよく話すひとは誰でしょう?」
俺「え、えーあー・・・・・・俺?」
幼馴染のアイツ「Q2.私とよく遊びに出かける人は誰でしょう?」
俺「俺、だな」
幼馴染のアイツ「Q3.私が昔から知ってて、私のこともよく知っている人、誰でしょう?」
俺「・・・・・・うぬぼれかもしれないけど、俺、か?」
幼馴染のアイツ「ひどい人 こんなに話して、こんなに遊びに行って、こんなに楽しい人、あんたしかいないって」
俺「俺かぁー・・・・・・!」
幼馴染のアイツ「正解 おめでとうございます」
俺「はぁあ、おま、マジかぁ」
幼馴染のアイツ「・・・・・・私と」
俺「付き合ってください」
幼馴染のアイツ「先に言うなって」
俺「言ったもん勝ちだ あー、とりあえずさ」
俺「これから、デートしない?」

コメント

  • 自分だと気付かずに嫉妬しちゃう俺くんと、問題を出し合うやり取りが可愛らしかったです…!
    男の子も女の子もしっかりと魅力的に書かれていて良かったです…!

  • 可愛すぎるお話ですね。遠回しにしか伝えられない2人、軽口も無理してやっていることが伝わってきます。ずっとニヤニヤしながら読んでしまいました!

  • 彼の気持ちがとても可愛くて、それを知った上での彼女の対応もとても可愛らしかったです。よく知る二人だからこそ、素直になりにくいこともありますよね。

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