読切(脚本)
〇焼肉屋
僕「先輩!!ごちそうさまです!! 焼肉おいしかったです」
先輩「あんたは本当に美味しそうに食べるね〜〜」
俺と先輩は大学時代のサークルで知り合った
いつの間にか、
「ああ、俺この人が好きだ」
って確信してたんだ
でも、こっちの気持ちになんて、
気づいてないよね
今日俺は決めたんだ
先輩に、今日この気持ちを伝えるって
〇開けた交差点
僕「俺、もうお肉しか食べなくていいや」
先輩「ははは。やっぱりあんたは面白いね この後どうする?2軒目いく?」
僕「もちろん!」
そうして先輩が向かおうとした先は──
〇大衆居酒屋
先輩「ここでいっか」
だめだ、だめだ
ここに入ったらロマンチックなムードじゃなくなってしまう
僕「せ、先輩!! 公園散歩しませんか?」
〇川沿いの公園
いつ切り出そう
そう思って僕は公園のベンチに腰をかけた
僕「先輩、社会人になってからも こうやって会ってくれて ありがとうございます」
先輩「まあ、いいってことよ あんたはさ、本当に私のこと好きだからね」
僕(え・・・・・・気付かれてた?)
冗談っぽくいった
その一言を僕は聞き逃さなかった
僕(、、、なんて答えるのが正解かな)
〇公園のベンチ
パターン①
僕「はい、俺、実は前から先輩のことが好きでした」
先輩「え・・・・・・なんで真顔になってんの?冗談だよ」
だめだ、困惑している顔が予想できる
パターン②
僕「そ、そんなわけないじゃないですか〜〜」
先輩「だよね──」
だめだ、冗談になっちゃう
今日こそ気持ちを伝えようと思ってたんだ
絶対に、正面から伝えるぞ
〇川沿いの公園
僕「先輩、俺、最近ずっと考えていたんです 先輩のことが好きです」
僕「先輩から連絡が来ると、 1日が本当に元気になれるし、 頑張ろうって思えるんです」
僕「だから、先輩のことが好きなんだと思います 多分」
先輩「ちょ・・・多分って」
僕「最後まで話を聞いてください」
僕「でも、その感情を噛み砕いて、 掘り下げていったら、 これは恋愛としての好きの他に親愛としての好きっていうのも含んでいます」
僕「先輩は、とても素晴らしい女性です この気持ちは信仰なのかもしれないです」
僕「僕は先輩が好きですが 付き合いたいわけでもないんです 困らせたくないんです ただ先輩には幸せでいてほしいだけなんです」
先輩「う・・・・・・うん?撹乱してきた」
僕(言いたいことを全部言ったぞ! どうだ!この告白は)
先輩「じゃあ、付き合いたくないってこと?」
僕「なんでそうなるんですか! 可能であれば付き合いたいですよ!! 先輩だって気づいてるじゃないですか」
先輩「知ってた。でも・・・」
先輩「君の場合は恋に恋してるだけだよ」
僕「そんなことないですよ」
先輩「近づいたら嫌なところとか面倒くさい部分も見えてくるじゃん? 私、もう恋愛とか面倒くさいんだよね」
僕「なるほど 遠くから見ると荘厳な富士山も、近づいていると不法投棄だらけってことですか」
先輩「え?」
僕「僕はそれでも先輩と一緒にいたいです 登らないで眺めているだけじゃ嫌なんです」
僕「頂上まで完登して、 眺めのいい景色を見下ろしたいです」
先輩「一回すごい大きな山を登ったけど、 標高が高すぎて山頂からは何も見えなかったよ 雲だけ」
僕「それでも、達成感を得られたじゃないですか」
僕「僕は、どんな先輩でも好きです 僕に見せて欲しいです 恋人にしか見せられない、先輩の一面を」
僕「僕と付き合ってください」
先輩は小さな声で、はい、と言った
こうして、僕と先輩は恋人になった
どんなに思いを巡らすよりも、
はっきり言ったほうが、
よかったのかもしれない
憧れの存在を富士に例えたところにとても共感しました。確かに、恋人未満なら生活感なども感じずに、いいところどりな付き合いができますよね。でもその壁を取っ払って一歩進んだ二人、うまくいってほしいです。
場所やシチュエーション、会話の展開など色々と思いを巡らすよりも、真っ直ぐ言葉にするのが一番ですね。この主人公の告白は気持ちがいいものですね!
彼は勇気を出して先輩に告白したことに素晴らしさと感動の気分になりました。会話も富士山を例題に例えるところなんか流石に思いもつきません。