調査開始(脚本)
〇タワーマンション
──この世界は、もうすぐ滅亡するらしい。
ダレン「おい聞いたか、ボース大統領がまた人を集めてるらしいぞ!」
ジュ―ロ「なんだその恰好」
ジュ―ロ「また人を集めるって、今度は何が始まるんだ?」
こいつは幼馴染のダレン。
お調子者のダレンは、昔からまともな職にもつかず、儲け話に飛びついては失敗を繰り返している。
ダレン「ダンジョンの調査だってさ」
ダレン「成果を上げれば金持ちになれるぞ!」
ジュ―ロ「ダンジョンって、モンスターがやってくる場所だろ?」
ジュ―ロ「危ないんじゃないか?」
ダンジョンとは、ある時期から急に世界中で発生した、謎の地割れのことだ。
この星の内部に繋がっているらしい。
そこから現れた異形の存在──モンスターによって、多くの人類が犠牲になった。
ダレン「バッカ、危ないから儲かるんだろ!」
ダレン「魔法が使える奴はみんな『召喚計画』に行ったからな」
ダレン「俺ら一般人が英雄になれるチャンスだぜ!!」
ジュ―ロ「はあ・・・死んでも知らないぞ?」
政府の『召喚計画』で多くの魔法使いが世界中から集められた。
何をやっているのかは知らないが、滅亡を回避するのだという。
ダレン「どうせ大統領の作戦が失敗したらこの星は滅亡するんだ」
ダレン「黙って指をくわえているぐらいなら、命がけのギャンブルをするのも悪くないだろ?」
ジュ―ロ「・・・っ!!」
ダレンの言葉が胸に突き刺さる。
この世界が滅亡すると聞いた時、俺は何もしなかった。
遠くにある宗教国家グラディオーソではこの星を脱出して新天地を目指すらしい。
俺達が住むこの国ソルティオのドルーヴ・ボース大統領は、滅亡を回避するために魔法使いを集め始めた。
そんな話を聞いても、俺はどこか遠い世界の出来事のように感じながら、それまでと変わらない日々を送ってきた。
〇村に続くトンネル
ジュ―ロ「ここがダンジョンか・・・」
俺はダレンに触発され、ダンジョン調査隊のメンバー募集に応募した。
選考試験などはなかった。
すぐに調査チームの一員となって簡単な研修を受け、こうしてダンジョンへとやってきたのだ。
ダレンとは別の隊になり、俺は現地で初めて会う隊員とペアを組むよう指示された。
どんな人物と組まされるのか、不安もあるが・・・
ダレンと組むのは何だか恥ずかしい気がしたので、ありがたいとも思っていた。
ジェスタ「初めまして! あなたがペアのジュ―ロ君?」
ジュ―ロ「初めまして、そうです。あなたがジェスタさんですか?」
ジェスタ「あはは、そんなにかしこまった口調じゃなくていいよ」
ジェスタ「これから一緒に行動する仲間なんだからさ」
ジュ―ロ「そっか・・・じゃあこれからよろしくな、ジェスタ」
ダンジョンの調査は基本的にペアで行われる。
狭い内部での戦闘が発生した時に三人以上いると、間違って仲間を攻撃してしまうからだ。
人の認識能力では戦闘中に意識できる仲間は一人までだと説明された。
実戦経験のない俺にはよく分からなかったが、そういうものなのだろう。
それはそれとして、
同年代の女性と二人きりで狭いダンジョンに潜っていくという状況に、不謹慎ながら胸が高鳴ってしまう。
ジェスタ「研修で聞いているだろうけど、」
ジェスタ「私達の任務はダンジョンの奥まで行って、」
ジェスタ「そこで一人研究をしている賢者サルジオの手伝いをすることね」
ジュ―ロ「ああ、まずはサルジオのいる場所まで行くんだろ」
ジュ―ロ「地下1000メートルのところだっけ」
ジェスタ「そ」
ジェスタ「自然に生まれた地割れってわりに、ダンジョンの中は結構歩きやすいみたいよ」
ジェスタ「このダンジョンから出てきたモンスターは軍が退治してるし、」
ジェスタ「気楽に行きましょ!!」
ジュ―ロ「・・・油断はせずに行こう」
ジェスタ「はーい」
どうにも緊張感が足りないジェスタに釘を刺す。
とはいえ俺自身もピクニックのような気楽さでダンジョンの中へと足を踏み入れた。
──この時の俺達は、この先に待ち受けている地獄を想像すらしていなかったのだ。
〇暗い洞窟
ダレン「・・・あれは、誰だ?」
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設定に奥行きがあり、とても好きなものですので、ワクワク感を抱きながら読み進めていました。ジューロの運命は、そしてこの世界の秘密は、次話が楽しみになります。
ネーミングにクラシック音楽を思い出してしまいました。
ゲームのようなお話ですね。
ファンタジーの中にも設定が練られていて、読み応えがありました。
続きが楽しみです。
設定がしっかりしていて、続きが気になる作品でした!
何か特殊な能力があるのかなぁ…、とか主人公にも期待してしまう気持ちもあります…笑