神が眠る繭の星

寿甘

モンスター(脚本)

神が眠る繭の星

寿甘

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〇暗い洞窟
  ――地下20メートル付近。
ジェスタ「思ったより広いし、降りやすいね♪」
ジュ―ロ「そうだな」
ジュ―ロ「でも、地下1000メートルはかなり遠そうだ」
ジェスタ「それは仕方ないね」
ジェスタ「横に1000メートルはすぐだけど、縦に1000メートルはね」
ジュ―ロ「それにしても、結構な広さがあるけど本当に二人組じゃないといけないのかな」
ジェスタ「あら、私と二人きりじゃイヤ?」
ジュ―ロ「い、いや、そういうことじゃなくて」
ジェスタ「あははっ、分かってるよ」
ジェスタ「本当に戦闘が発生したら、仲間はもっといて欲しいもんね」
ジュ―ロ「それもそうだけど、戦争とかじゃ大人数で戦ってるだろ?」
ジュ―ロ「本当に仲間を一人しか認識できないのかな?」
ジェスタ「それねー、どうもダンジョンの中だけらしいよ」
ジュ―ロ「そうなのか?」
ジェスタ「うん、ダンジョンの中は色々と地上とは違うみたい」
ジェスタ「だからサレジオさんが調べてるってわけ」
ジェスタ「私達の仕事は、けっこう重要なのだ!」
  人間の認識にも影響を与える『地上との違い』
  ダンジョンに潜っているペアは結構な数いるはずだが、なんだか重大な責任を負ったような気になってしまう。
  緊張感が高まると、表情に現れたのだろう。ジェスタが質問してきた。
ジェスタ「・・・ジュ―ロは、なんでこの仕事に志願したの?」
ジュ―ロ「えっ?」
ジェスタ「軍が退治したって言っても、モンスターが出てくるようなところに入りたがる人はそんなに多くないのよ」
ジュ―ロ「・・・大した理由はないんだ」
ジュ―ロ「世界が滅ぶって言われているのに、俺はいつもと同じ仕事をして、家に帰るだけの日々を過ごしてた」
ジュ―ロ「そしたら、知り合いが調査隊に応募したって言ってきてさ」
ジュ―ロ「俺はこのままでいいのかって思ったら、自然と応募してた」
ジュ―ロ「ただ周りに流されてるだけなんだ、俺」
ジェスタ「いいんじゃない、それで」
ジュ―ロ「えっ!?」
  ジェスタの短い言葉は、予想と違うものだった。
ジェスタ「私は何ヶ月か調査隊の事務仕事をやってきたけど、なんかねー」
ジェスタ「応募してくる人って、すっごい使命感に燃えてる人ばっかりで」
ジェスタ「やる気満々でダンジョンに入っていく背中を沢山見てきたんだけど」
ジェスタ「・・・みんな死んじゃった」
ジュ―ロ「・・・っ!!」
ジェスタ「やる気が空回りしちゃって、無茶をするのよ」
ジェスタ「だから、変に意気込まない方がいいんだって」
  ジェスタの場違いなほど陽気な態度は、不安を打ち消すために演じていた、いわゆる『から元気』というやつだった。
  内心怖いと思っていたのは、俺だけじゃなかったようだ。
  そう思うと、逆に緊張がほぐれてきたように感じる。
  仲間意識が芽生えたのだろうか?
  少しだけ打ち解けて、たわいのない話をしながらしばらくダンジョンを降りていくと──
ジュ―ロ「なんだ!?」

〇魔物の巣窟
  ──モンスターだ。
  映像でしか見たことのない異形の怪物たちが、俺達のいる地点より一段下の広間をうろついていた。
  軍が退治したというが、そもそもモンスターはダンジョンからやってくるのだ。
  ──おかしいと思っていた。
  軍というものは、大人数で戦うから強いのだ。
  三人以上で行動できない場所では、軍の強みはそれほど多くはない。
  もちろん、戦いのプロなのだから俺のような素人よりはずっと強いだろう。
  でも、その程度でなんとかなるなら人類はモンスターに脅かされたりはしないのだ。
???「・・・・・・」
  そのモンスターの群れに、異質なものが見えた。
  人間の少女にも見えるその異形は、突然モンスター達を攻撃する。

〇暗い洞窟

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