フラジールから君へ

ハルメハヤタ

エピソード1(脚本)

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〇SHIBUYA SKY
  どうして・・・
  
  何がいけなかったんだろう───

〇屋上の隅
歩(あゆむ)「お前とはもう付き合えない。別れてくれ」
  ────そんなっ、 なんで・・・
莉ツ華(りつか)「先輩、しつこい女は嫌われますよ?」
莉ツ華(りつか)「アハハッ!だから嫌われちゃったのか~!」
  っく、、この女───!

〇渋谷駅前
  ついさっき、3年付き合った彼氏に振られた。後輩にあっさり奪われ、おまけに

〇オフィスのフロア
  “デキ婚”まで発表された───

〇高架下
  平然を装って『おめでとう』なんて言えるわけがない。
  
  “あんなクズ男────” と割り切れる程、私は強くない。
  きっと、ずっと引きずってしまう・・・。

〇歩道橋
  いっそ、ここから落ちたら
  記憶失くせるんじゃ・・・?
「死にますよ?」
夏依(なつい)「え!?」
イム「打ち所が悪ければ、死にます」
夏依(なつい)「っ、、あなた・・・誰?」
イム「私はイム。ただの しがないメイドです」
夏依(なつい)「っ、はぁ~」
イム「宜しければ、あなたの悩みをお聞かせ頂けませんか?必ずお力になりますので」
夏依(なつい)「っ、え えっと──」

〇メイド喫茶
  そして、優柔不断な私は
  
  半ば、強制連行された────
夏依(なつい)(メイド喫茶!?初めて入った~! てか、他にお客さん居ないけど・・・)
イム「すみません、お待たせ致しました」
夏依(なつい)「は、はい!」
イム「お悩みの内容は、移動中にお伺い出来たので 大方把握しております。早速ですが、あなたのパートナーを紹介しますね」
夏依(なつい)「え? パートナー!?」
イム「はい。彼は由月、当店一押しのルーキーです」
夏依(なつい)「え、一押し?ルーキー?・・・って」
イム「はい、どうぞお好きにお使い下さい」
夏依(なつい)「お使い下さいって、ちょっ、そんな物みたいに」
イム「みたいに、ではなく物です 彼は人間ではありません」
イム「私どもが開発した人形で【フラジール】という、脆く儚いという意を込めた名称が付けられております」
夏依(なつい)「に、人形?フラジール!?」
イム「はい、ですから自由にお使い下さい。あなたの抱える悩みは必ず解消されます」
夏依(なつい)「っ、自由にっ、、」
イム「人間ではありませんが、肌質、髪質、体のあらゆるもの全てが人間とほぼ一緒ですので、もしあなたがお望みなら」
イム「コイツはあなたを抱きますよ」
  ちょっと、この人何言ってんの!?
由月(ゆづき)「宜しく・・・お願いします」
夏依(なつい)「あ、はい。こちらこそ」
  喋った! てかイケボなんだけど
  これも設定かな~

〇公園のベンチ
  というわけで、連れ出したのはいいけど・・・
夏依(なつい)「ゆ、由月くんは今まで何人くらい相手したの?」
由月(ゆづき)「相手?それどういう意味?」
夏依(なつい)「え っと・・・」
  ────聞き方間違えた!
  これじゃあ、まるで・・・
夏依(なつい)「ご、ゴメン! 今の忘れて! 私の悩み、、てか愚痴聞いてくれる?」
由月(ゆづき)「うん、いいよ」
夏依(なつい)「実はね、私 今日彼氏に振られちゃってさ、、」
由月(ゆづき)「うん」
  長々ひたすら愚痴りタイム────

〇公園のベンチ
夏依(なつい)「というわけでアイツらを抹殺したいんだけど、どう思う?」
由月(ゆづき)「っ、止めたほうがいいと思うよ」
夏依(なつい)「じゃあ私の3年何だったのよ~ うぅっ、む゛~が~づ~ぐ~」
由月(ゆづき)「っっ、そんな泣くなって」
由月(ゆづき)「俺がいるじゃん!」
  完璧な人形だ────てか本当に人間みたい

〇女の子の部屋(グッズ無し)
  ~帰宅~
夏依(なつい)「愚痴聞いてもらえてスッキリした~!」
夏依(なつい)「それに楽しかったな~」

〇メイド喫茶
イム「お帰りなさいませ、由月くん」
由月(ゆづき)「うん」
イム「彼女はどうでしたか?満足してましたか?」
由月(ゆづき)「うん、延々と愚痴ってスッキリしたみたい」
イム「・・・それだけ?」
由月(ゆづき)「うん、次はどこか遊びに行きたいってさ」
イム「そう。気に入られたみたいで良かったわ」
イム「由月?」
由月(ゆづき)「ん?」
イム「わかっていますね? 私たちの仕事は」
由月(ゆづき)「──わかってるよ」
イム「ならいいわ」

〇観覧車のゴンドラ
  あれから、彼と何度か会っては楽しい時間を過ごさせてもらい

〇イルミネーションのある通り
  心の傷は少しずつ癒えていった────
夏依(なつい)「由月くん、今日もありがとう すっごく楽しかった!」
由月(ゆづき)「うん、俺も!」
「あれ? 夏依?」
夏依(なつい)「え、、」
歩(あゆむ)「やっぱり。こんなとこで何・・・」
歩(あゆむ)「て、誰?そいつ」
夏依(なつい)「っ、別に関係ないでしょ」
莉ツ華(りつか)「わぁ先輩だ~!」
莉ツ華(りつか)「え、ちょ、イケメン!まさか先輩の彼氏、、」
莉ツ華(りつか)「んなわけないか~アハハハ!」
由月(ゆづき)「何?この下品な女。 あとそっちの冴えないオッサン」
歩(あゆむ)「あぁ?」
莉ツ華(りつか)「ちょ、何なの?失礼じゃない!」
由月(ゆづき)「失礼なのはどっちだよ!デートの邪魔しやがって、帰れよ」
歩(あゆむ)「ハハッ!デート?夏依が?こんなガキとね~」
莉ツ華(りつか)「余程、欲求不満なのかしら?」
夏依(なつい)「っ、、」
由月(ゆづき)(あぁ、コイツらか 彼女の・・・)
由月(ゆづき)「行こう、夏依 こんな奴らに時間無駄にされたくない」
夏依(なつい)「由月くん・・・」
歩(あゆむ)「おい、ちょっと待て! 夏依はお前みたいなガキと本気で、、」
由月(ゆづき)「さっきから何なんだよ!人の彼女、呼び捨てすんな、馴れ馴れしい!」
歩(あゆむ)「っ、」
莉ツ華(りつか)「むきになっちゃって可愛い~!」
莉ツ華(りつか)「可愛いから教えてあげるけど、その女 つまらないわよ!色々と、ね」
由月(ゆづき)「はぁ?何言ってんの、この女」
夏依(なつい)「もうやめて!」
夏依(なつい)「ホントもう、イヤ」
由月(ゆづき)「夏依!」

〇公園のベンチ
由月(ゆづき)「夏依!っ、待って!」
夏依(なつい)「っ、ゴメッ、私 こんな惨めなの、、っ、見られたくない」
由月(ゆづき)「っ、」
夏依(なつい)「っ、忘れたいよ・・・もう全部」
由月(ゆづき)「っっ、」
由月(ゆづき)「────わかった」
由月(ゆづき)「俺が全部忘れさせてやる、だから もう泣くな」
夏依(なつい)「え?」
  次の瞬間、私は彼に強く抱き締められ
  
  そして──────

〇歴史
  ─消去・実行中─

〇メイド喫茶
イム「気付かれましたか?夏依様」
夏依(なつい)「え、っと ここは?」
イム「─」
夏依(なつい)「っ、あなたは誰?」
イム「正常に消去されたようですね、安心しました」
夏依(なつい)「っ、消去?何?」
イム「またのご利用お待ちしております」

〇メイド喫茶
イム「わかっていますね?私たちの仕事は」
由月(ゆづき)「──わかってるよ」
イム「ならいいわ」
由月(ゆづき)「俺たちフラジールは、負の感情を取り込む人形。取り込んだものは俺たちが壊れることで一緒に消えるから」
由月(ゆづき)「だから──」
由月(ゆづき)「だから安心して夏依」
由月(ゆづき)「君は幸せになれるよ」
  End...

コメント

  • 負の感情…確かに人間は負の感情が多いですよね…。
    特に月曜日…通勤する皆から負の感情を感じます…。
    特に恋愛が絡むと尚更…。

  • フラジール、その名前から繊細な性質なのだと思うと最後のシーンにジーンとしました。テクノロジーの発達で人間が害される部分もあるけど、こうして助けてもらえる人形の出現は喜ばしいことですね。

  • 任務とはいえとっても辛い仕事だなぁと泣きそうになりました。自分を犠牲にして大切な人の幸せを願うというのは切ないけれどとても美しいですね。

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