〇高い屋上
品川悠香（一番最初に教室で、私と一対一で会話したこの人が「ワキガ」や「鼻の角栓詰まりすぎのブス」は書きづらい）
品川悠香（何故なら、そういった「至近距離での印象」を匂わせるフレーズは特定に繋がると彼女は警戒するだろうから）
品川悠香（最初の時点で彼女は私がどんな人か知らない）
品川悠香（もし私が安直な人間だったら、追放されてしまう危険性があった）
品川悠香（ならば、一歩距離を置きながらも、私と本当の意味で関係性が近いと思わせるような切り口──）
品川悠香（「悲劇のヒロインぶってる勘違い女」や「中学時代いじめられっ子だったくせに高校デビューで髪を染める陰キャ」などの──）
品川悠香（憶測を絡めた陰口を綴るだろう）
品川悠香（彼女は人間観察が上手い 相手がどんな性質の人間か見抜くことに長けている）
品川悠香（だから、こういった憶測にも説得力を持たせることができる 私を知る人間の陰口だろうと思わせることができる）
品川悠香（ただ──）

〇高い屋上
西園寺ミレ「はっ・・・ あんま舐めんなよクソ陰キャが」
西園寺ミレ「お前ら陰キャはイケてる女を見るとすぐにビッチだとか言うよな」

〇高い屋上
品川悠香（「中学時代いじめられっ子だったくせに高校デビューで髪を染める陰キャ」に関してはあの子の陰口である可能性が高い）
品川悠香（となると必然的に──）
品川悠香「追放します」
品川悠香「「悲劇のヒロインぶってる勘違い女」を書いたのはあなたです」
品川悠香（──この答えに絞られる）
品川悠香（それに、この人は私が「悲劇のヒロインぶってる勘違い女に見えます？」と訊いた時だけ、反応が鈍かった）
品川悠香（少し間を開けてから、その間を誤魔化すかのように否定的な意見を返した）
品川悠香（反応的にもあれは黒い だから、当たってるはず・・・）
風見陽「・・・」
風見陽「確かに、君は勘違い女だね」
　　追放失敗！追放失敗！
品川悠香「・・・」
風見陽「だって、私の目をアイプチだと勘違いするくらいだもんね」
品川悠香「・・・バレてたんですか」
品川悠香「あなたが書いたのってどれですか」
風見陽「うーん、単なる第一印象だけど」
風見陽「私って目が良いからさ、毛穴の黒ずみとかもはっきり見えちゃうんだよね」
風見陽「ついでに腹黒さや性格のブスさも」
品川悠香「はは・・・」
品川悠香「あなたと友達になるのは怖そうです」
　　勝者！風見陽！
　　勝者！風見陽！
　　勝者にはサイバースキルを贈呈いたします！
風見陽「サイバースキル・・・どんなんだろ」
風見陽「うっ・・・」

〇黒背景
　　地の底まで堕ちた者は天を仰げるけれど
　　地上に留まる者は下を恐れて動けない
　　貴方は今、地の底にいる
　　恐怖を捨て、欲望に身を任せなさい
風見陽「・・・」
　　この力はそんな貴方の指針となるだろう

〇高い屋上
風見陽「──」
風見陽「──」
風見陽「この世界は──愉悦が足りない」
風見陽「醜さもおぞましさも──全てを享受し──愉しむだけの──」
風見陽「愉悦が──」
風見陽「愉悦が──愉悦──ゆ──」
風見陽「──」
風見陽「──」
風見陽「危ない。持ってかれるところだった」
風見陽「これ、自我が弱い人が手にしたら逆にスキルに自分を支配されそうだね」
風見陽「我が強くて助かったよ」
風見陽「・・・さて、そろそろこの周も終わるけど」
風見陽「この子たちが必死に欲しがるくらいだから、まさかこの周限定のスキルってことはないよね」
風見陽「永続的なアドバンテージ・・・」
風見陽「あんまりヌルゲーになってもつまらないけど・・・使わないのは勿体ない」
風見陽「次の周が楽しみだなぁ」

〇道玄坂
？？？「はぁ・・・はぁ・・・」
？？？「綾瀬さん、アイテムは・・・」
？？？「底をつきました・・・」
「・・・」
？？？「排除──排除──」
「きゅいーん」
倉木響「万事休すか・・・」
？？？「下がってろ！」
倉木響「えっ」
？？？「──」
倉木響「何だ!?」
花京院マサル「お前ら、俺と一緒にこの世界をぶっ壊すぞ」
倉木響「何だこの変態!?」
花京院マサル「変態？ フッ・・・それは褒め言葉か？」
花京院マサル「俺の名は花京院マサル この狂った世界の救世主だ」
倉木響「おっ・・・俺は倉木響！ し、しがない高校生だ！」
綾瀬天紀「ワタクシは綾瀬天紀 実家で無職を営んでおります」
倉木響「綾瀬さん無職だったのか!?」
花京院マサル「ガッハッハ！愉快なメンツだな！ さて・・・」
花京院マサル「まずはあの「スキル持ち」をぶっ叩くぞ！」
倉木響「スキル持ち？」
？？？「排除を続行します──」
花京院マサル「説明は後だァァァァァ！」
　　ミッション「敵を殲滅せよ」
　　
　　現在12周目
　　生存者190名