思い出慕情

射貫 心蔵

思い出慕情(脚本)

思い出慕情

射貫 心蔵

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思い出慕情
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〇お嬢様学校

〇体育館裏

〇体育館の裏

〇体育館の裏
凡太郎「こんなところに呼び出して、なんの用?」
アネゴ「なんの用か分かるだろう?」

〇モヤモヤ
  U子の告白を蹴ったそうだね?
  かわいそうに
  あの子、あれから毎日泣き通しさ

〇体育館の裏
アネゴ「お似合いだと思って 応援してたのに・・・・・・」
アネゴ「なぜフッたのか お聞かせ願いたいねぇ!!」
凡太郎「仲間想いなんだね、アネゴ」
名もなき部下B「質問に答えな!」
凡太郎「OK、わかった」
凡太郎「好きな子がいるんだ」
アネゴ「私の知ってる子かい?」
凡太郎「いや」
凡太郎「僕はその子に 命をかけてもいいと思ってる」
凡太郎「U子ちゃんの期待に添えず、申し訳ない」
名もなき部下B「ちょっと待て! それで終わりか!?」
名もなき部下A「U子もアンタに命を捧げる覚悟だ! 考え直してくれ!」
凡太郎「僕にも選ぶ権利があると思わないのか?」
名もなき部下A「テメェ!」
凡太郎「もうよそう、時間のムダだ」
凡太郎「彼女の器量なら 他にもいい人が見つかるよ」
アネゴ「このスケコマシ野郎!!!!」

〇空

〇空

〇体育館の裏
アネゴ「誰だろうと 友達をイジめる奴は許さない」
アネゴ「覚えときな」
凡太郎「いててて・・・・・・」
凡太郎(友達をイジめる奴は許さない・・・・・・か)
凡太郎(懐かしいセリフだ)

〇お嬢様学校
  病院へ行こう

〇ゆるやかな坂道
  足が重い

〇川に架かる橋
  ちょっと気を抜くと
  失神してしまいそうだ

〇住宅地の坂道
  はぁ、はぁ、もう少し・・・・・・

〇総合病院
  ゴールは近いぞ

〇病院の待合室
  まだだ、まだ眠るなよ?

〇階段の踊り場
  彼女を心配させちゃいけない

〇大きい病院の廊下
  堂々と、男らしく──

〇近未来の病室
愛「凡太郎さん!」
凡太郎「やぁ愛ちゃん」
愛「どうしたんです、そのケガ?」
凡太郎「ちょっとドジッてさ 階段から転がり落ちたんだ」
凡太郎「そそっかしいのは今も昔も変わらないよ」
愛「お気持ちは嬉しいのですが──」
愛「姉の脳は、活動を停止しています」
愛「アナタがどんなに声をかけても 姉の胸には届きません」
愛「姉がこんなになってから、もう五年」
愛「凡太郎さん、毎日 お見舞いに来てくれて・・・・・・」
愛「嬉しい反面、アナタを 束縛しているようで、心苦しいのです」
愛「それで、その・・・・・・」
愛「姉のことは忘れ ご自分をお見つめになっては?」
愛「姉はアナタの重荷になっています」
愛「姉もきっと、申し訳なく思っているでしょう」
凡太郎「いや、ダメだよ愛ちゃん」
凡太郎「僕はまだ、借りを返してない」
愛「借り?」

〇水たまり
  デブで、ダサくて、汗くさくて
  イジメられっ子だった僕を
  彼女は守ってくれた
  「ボンちゃんをイジめる子は許さない!!」
  ってね
  彼女は僕の恩人なんだ
  感謝してもし足りないよ

〇近未来の病室
凡太郎「恋ちゃんが病で倒れた時、僕は誓った」
凡太郎「彼女にふさわしい男になろう」
凡太郎「王子様のように生まれ変わって 目を覚ました彼女をビックリさせてやろう」
凡太郎「僕は待つよ、何年でも」
凡太郎「彼女が目を覚ます、その日まで」
愛「凡太郎さん・・・・・・」
凡太郎「愛ちゃん、すまないが 恋ちゃんと二人きりにしてくれないか?」
凡太郎「大丈夫! 目覚めのキスなんかしやしないよ!!」
愛「分かりました どうぞごゆっくり」
凡太郎(やぁ恋ちゃん)
凡太郎(今日はお礼参りに遭ったよ)

〇モヤモヤ
  ホラ、こないだ話したU子ちゃん
  その友達がね、言うんだよ
  僕があの子をキズモノにしたと
  誓って言うが
  僕は一度だってそんな・・・・・・

〇近未来の病室
凡太郎「僕はずっと、君一人を見てきた」
凡太郎「ずっと君だけを・・・・・・」

〇近未来の病室
  きみ・・・・・・だけを・・・・・・

〇黒
  ZZZ

〇月夜
  ――ちゃん
  ボンちゃん!

〇月夜
恋「起きろネボ助!!」
凡太郎「どあっ!?」
凡太郎「ここはどこ? 私はダレ?」
恋「キャッ! キャッ! ボンちゃん面白い!!」
凡太郎「君は!」
凡太郎「恋ちゃん!!」
恋「ボンちゃん、久しぶり! いつもお見舞いに来てくれてありがとう!!」
凡太郎「もう病気が治ったんだね!?」
凡太郎「僕、会いたかった! ずっと君に会いたかった!!」
恋「・・・・・・」
恋「ボンちゃん悪者」
凡太郎「へ?」
恋「女の子泣かした」
凡太郎「女の子って、U子ちゃんかい?」
凡太郎「構うもんか 君が無事なら、それで」
恋「バカ!」
恋「バカバカバカバカバカバカバカバカ!!」
凡太郎「いたたた! な、なんだよぉ~」
恋「弱い者イジメするボンちゃんなんか嫌い!」
凡太郎「ぼ、僕は 君にのためにU子ちゃんとお別れしたんだ」
凡太郎「君は僕のすべてなんだ!」
恋「ブッブ~! 残念でした! 少しも嬉しくありません~!!」
恋「いいこと? 私は子供。ボンちゃんは大人」
恋「私たち・・・・・・ もう一緒にはなれないのよ」
凡太郎「そんなことあるもんか! 僕たちはずっと一緒さ!!」
凡太郎「僕は君に まだなにもしてあげられてない」
凡太郎「恩返しさせてくれよ・・・・・・」
恋「恩ならとっくに返してもらってるわ」
恋「五年間 毎日病室に来てくれたじゃない」
恋「すっごく嬉しかったんだから!」
凡太郎「でも・・・・・・僕はまだ・・・・・・」
恋「ボンちゃん 愛の言う通り、もうここへ来ちゃダメ」

〇幻想空間
  ボンちゃんを大切に想う人が
  ずっと待ってる

〇月夜
恋「彼女のところへ行ってあげて」
恋「止まってしまった私の時間に ボンちゃんが合わせることはない」
凡太郎「でも、僕は・・・・・・」
恋「この石頭!!」

〇黒
  イデデデデデデ!!!!

〇近未来の病室
凡太郎「なな、なんだぁ~!?」
  恋ちゃんが僕の頬をつねって
  絶対に動けないハズなのに!
凡太郎(わかったよ、恋ちゃん)
凡太郎(僕は、僕の道を行く・・・・・・)
凡太郎「さようなら」

〇病院の待合室
愛「凡太郎さん 姉とのお話は、もう終わったのですか?」
凡太郎「あぁ」
凡太郎「終わった」
凡太郎「もう帰るよ 急用を思い出したんだ」
愛「急用って?」
凡太郎「人を待たせてるんだ」
凡太郎「僕の想い人を」
愛「凡太郎さん!」
凡太郎「ん?」
愛「ご武運を」
凡太郎「ありがとう」
愛「・・・・・・」

〇黒
  行っちゃった
  これでいいのよ、これで
  そうよね、姉さん

〇渋谷駅前

〇繁華な通り

〇並木道

〇見晴らしのいい公園
U子「グスン」
凡太郎「使いな」
U子「いらない」
凡太郎「使えって」
U子「いらないよ」
凡太郎「使いなさい」
U子「これだけ濡れりゃ さそうがさすまいが同じこと」
U子「ほっといてくれ」
凡太郎「わからず屋」
U子「なにさ、女の敵」
凡太郎「バ~カ!」
U子「バカバカバ~カ!!」
凡太郎「ふっ」
U子「ふふっ」
「はははははははははは──」
「はっくしょん!!」
「・・・・・・」

〇空
  やっぱり傘、入れてくれ・・・・・・

コメント

  • 凡太郎も恋も、愛や他のキャラクターたちも一途で誠実ですね。みな相手を思う気持ちがとても強く、読んでいて心が洗われるようです。

  • 最終的に恋ちゃんの願いを聞いたのも彼女を想ってのことですよね。彼の男性としてというより一人の人間としての誠実さに胸を打たれます。そんな彼に思いをよせるuちゃんもきっと素敵な女の子でしょうね。

  • なんだろう、自分とは違う一途で真面目な主人公に憧れ的な気持ちを感じました。
    どうしたらこんなに自分の芯がある人間になれるのだろうか…。

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