暗いところでよく見える

gatako

エピソード1(脚本)

暗いところでよく見える

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〇ネオン街
マサト(あー緊張する。5年ぶりだし・・・会いたいような会いたくないような・・・)
  今日はプチ同窓会。別れた元カノもやって来る。別れてからは意識してしまって友達に戻れなくなってしまって、そのまま卒業。
マサト(店は、ここか。地下なのか。なんかお洒落な店だな・・・)

〇おしゃれな受付
マサト「え、ここに全部荷物を預けるんですか? スマホも?」
受付「はい。こちらは時間も外部からの連絡も気にせずに、お集まりになった皆様と楽しむことをコンセプトにしておりますので」
マサト(スマホもか・・・サキと連絡先交換と思ったんだけど、そういう決まりなら仕方ないか・・・)

〇ジャズバー
マサト「すまん、仕事がなかなか終わらなくてさ」
「お、来たな」
「遅いよ、マサトー」
マサト(あー、相変わらず可愛いな、サキ。スカートだし・・・5年ぶりだし。 駄目だ・・・顔がにやける)
イオリ「マサトは、そこに座ってー。 じゃあ、揃ったところで乾杯しよう」
  サキの隣とか・・・。意識しちゃって、全然そっちを見れないっつーの・・・。
  来てから割と時間経つけど、全然サキと話せないな。顔を見る事すら出来ん・・・。どうしよう・・・
コウヘイ「皆、頑張ってるよな。頑張ってると言えば、マサト。今日、サキ、スカートなんだぜ?万年ジャージだったサキが」
サキ「ちょ!スカートいじりはもういいよ!昔の、うちとは違うんだから!」
マサト「本当だ。スカート」
  あれ、サキなんかつまらなそう?・・・やっぱり、わざわざ元カレに今更会いたくないよな・・・。
  こうしてサキとほとんど話せないまま時間が過ぎていった・・・。

〇黒
マサト「あれ? なんだ? 停電?」
  突然、照明が消えて真っ暗になった。暗闇が苦手なサキが心配で、サキの方を向いた瞬間、無言で抱きついてきた。
???「館内の皆様にお知らせします。雷により電気系統に故障が発生しました。復旧まで、その場を動かないようにお願いします」
  サキは俺の左肩を手で強く握っていた。少し震えているようだ。でも、かなりの力で肩を握っているので正直少し痛い。
コウヘイ「本当真っ暗だな、なんか灯りになるもんとかなーの?・・・おわっ」
マサト「コウヘイ、ここ機材も多いし床にコードも這ってるから、危ないからあんまり動くなよ」
リン「こう暗いと何も出来ないねぇ。下手に飲み物も飲めないし。そう言えば、サキ、暗いところ苦手だったよね?大丈夫?」
サキ「怖いぃぃ」
マサト「・・・たい」
サキ「え?」
マサト(あ、声出てた)
マサト「か、肩が・・・」
  サキだけに聞こえるように小さい声でそう言った。
サキ「あ、ごめ!」
  サキが自分の体を離そうとした時、しまったと思った俺は無意識にサキを抱き寄せていた。
マサト「わーーー俺、何してんだよ!!! サキを抱きしめてる!!!」
イオリ「サキ、静かだけど大丈夫? 怖かったらマサトに手でも握ってもらいなさいね~」
マサト「・・・アホか」
  冷静に返しつつも一人パニックになっていた。手どころか・・・俺、抱きしめちゃってるし。
  他のやつらはこんな中でも盛り上がってるけど、サキは無言で俺の胸の中にいた。こんなに、細かったっけ?サキ。
マサト「・・・嫌じゃない?」
  急に抱きしめて嫌がってないかと不安になって言うと、サキは小さく頭を振る。
マサト(やばい・・・すげー可愛いんだけど。ずっと、こうしていたい・・・)
???「館内の皆さま。電気系統の修理が終わりました。5分ほどで点灯いたします。この度はご迷惑をおかけしました」
テツ コウヘイ「おお、復旧するぞーーー!」
  アナウンスを聞いて、抱きしていた手を緩めて、サキの肩を掴んで体を離す。だけど、まだ離れたくなくて、サキの頬に触れる。
  頬に触れた瞬間サキの体が震える。驚かせてしまったようだ。サキの頬は柔らかく、そして少しだけ熱かった。
  サキは、頬にある俺の手の感触を確かめるように、少しだけ頭を手にもたれかけ、サキの手が俺の手に重なる。
マサト(電気付いたら、終わっちゃうのか。まだ、離れたくないな、俺)
  自然に体が動いて俺は、サキにキスした。このまま離れたくなくて、この暗闇がずっと続けばいいとすら思っていた。
  別れてからも好きで、別れてから意識してしまって上手く話せないまま卒業してしまった。でも、ずっと心の中にサキがいた。
  キスしてしまった後に、ハッと我に返って、恥ずかしさで、サキをまた抱きしめた。
マサト「や、やっちまったー!!! キ、キスしちまった・・・俺、何してんだよ・・・」
マサト「・・・ごめん、嫌だった・・・よな?」
  小声でサキに尋ねると、サキは、小さく頭を振る。愛しさと、安堵感と幸福感を感じて、またサキを強く抱きしめた。

〇ネオン街
  店を出たら雨も酷くて、そのまま解散になった。偶然にも俺とサキが同じ方向で、俺がサキを送ることになった。
マサト「じゃあ、俺達、こっち方向だから。また皆で集まろうぜ」
  この出来事が実は、俺達をくっつけるためにやつらに作られたものだとは、この時の俺とサキは全く知らなかったのである・・・。
リン「やー、うまくいきましたかね」
イオリ「本当、世話のやける二人よねー。両思いなのお互いだけがわかってないって言う。鈍感なのか、逆に器用なのか・・・」
コウヘイ「まぁ、結果。うまくいったんじゃない? なんか良い雰囲気だったしね」
テツ「じゃあ、俺達は作戦成功ってことで飲みなおそうぜー」
「さんせーい」

コメント

  • 優しいお友達ですね!友情バンザイ!停電中に『手を握っても〜』と友人が言ったのはアシストのつもりだったのですね!ああ、青春だなぁ!笑
    暗闇の中で、二人が気持ちを露わにしていく描写にとてもドキドキしました。
    思い続けていたふたりが結ばれて良かったです(^^)

  • 友だちのパワーってすごいですよね!このストーリーを読んで自分の友だちに会いたくなりました(笑)別れた後でもずっと気持ちがある、、、本当に愛し合っていたんでしょうね、素敵です。

  • 暗闇の中って、視覚がダメなぶん他の感覚が鋭敏になるのですよね。そんな中で、抱き寄せたりキスしたりって、一層ドキドキしますよね。ラストはニヤリとしてしまいました。

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