異星間恋愛は難しい

三日月クロワッサン

読切(脚本)

異星間恋愛は難しい

三日月クロワッサン

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〇テラス席
アキラ「(じー・・・)」
カナ「ど、どうしたの?アキラくん」
カナ「そんなに見つめられると 照れちゃうんだけど・・・」
アキラ「あ、ゴメン」
アキラ「カナさんが可愛すぎて見とれちゃってた」
カナ「え・・・?」
カナ「ま、またまたぁ~」
カナ「もう、アキラくんってばお世辞うまいなあ」
アキラ「お世辞じゃないってば」
アキラ「俺、本気でそう思ってるんだよ?」
アキラ「カナさんが笑ってるとこも、困ってる顔も、照れてる顔も、全部可愛くて好き」
カナ「アキラくん・・・」
アキラ「そうやって、俺のこと見つめてくれる瞳も好きだよ」
アキラ「キラキラしてて、すごく綺麗・・・」
アキラ「まるで、 ドズンチョ河の水面を見てるみたい」
カナ「ん?」
カナ「どっ、ドズ・・・?」
アキラ「その唇はスペンルプッチャの花びらみたいで、つい触りたくなっちゃうし」
カナ「す、スペン・・・!?」
カナ「えっと・・・なにそれ?」
アキラ「え?」
アキラ「あれ?」
アキラ「ドズンチョもスペンルプッチャも知らない?」
カナ「ごめん、わかんないや・・・」
アキラ「あー・・・えっと・・・」
  ピピピピピピピピッ
アキラ「あ、時間デスね」
カナ「えー、もうー?」
アキラ「はイ」
アキラ「ただイマをモって3時間デートコースのお時間が終了しまシタ」
アキラ「本日もレンタル彼氏「2.75次元の恋人」ノご利用アリガとうございマす」
アキラ「お支払イはいツモ通りお振込みデお願いしマスね」
カナ「延長はできないのー?」
カナ「わたし、もっとアキラくんとお話ししーたーいー」
アキラ「申し訳ございマセん」
アキラ「この後別ノご予約が入っていマスので」
カナ「もーう、時間外はドライなんだから」
カナ「そういうトコも好きなんだけど!」

〇駅前広場
カナ「じゃあ待たね、アキラくん!」
アキラ「まタノご利用をおまちしていマス」
アキラ「・・・・・・」
アキラ「ふう・・・」
アキラ「失敗シちゃったナ・・・」
アキラ「そっか、ドズンチョもスペンルプッチャも地球にものじゃなかったっけ・・・」

〇事務所
  あはは、なるほどね
  ついうっかり
  自分の星のものでたとえちゃったかー
アキラ「はイ・・・すみマセん・・・」
アキラ「油断すルとつい出てシマって・・・」
  大丈夫大丈夫
  お客様から特にクレームも入ってないし
  ていうか、むしろ逆
  臭くて古い口説き文句がクセになるって評判だし
アキラ「そうですか・・・!」
アキラ「嬉しイでス!」
  日本語ほんとに上手くなったよね
  なんでか仕事中の方が流暢だけど、素のしゃべり方が片言なのも可愛いって人気だし
アキラ「お役に立てテうれしいデス!」
  こっちこそ、アキラくんにキャストになってもらって助かってるよ
  でも、本当にこのままでいいの?
  地球には語学学習に来てるんでしょ?
  だったらもっと都合いい仕事があると思うんだけど
  こんなこと言うのもなんだけど、
  この仕事だと覚える言葉が
  ちょっと偏っちゃうし・・・
アキラ「いいえ!」
アキラ「レンタル彼氏の仕事、スごく勉強になってマス!」
アキラ「語学学習も、最終的ナ目的は伴侶を見ツけるため!」
アキラ「そのタメに必要ナこと、たクさん学べマス!」
アキラ「ソれに、地球に来たバカりの俺を拾ってくレた店長には、恩がありマスから!」
  あー・・・あの時はびっくりしたよね
  段ボールに入ってる宇宙人なんて初めて見たから
アキラ「拾った本に、ああしてると親切な人に拾ってもらえると書いてあったので」
  うーん・・・微妙に間違ってるなあ・・・
アキラ「そ、ソうなノですか・・・?」
アキラ「とイうことハ・・・」
アキラ「店長に拾っテもらえタノは奇跡だったノでスね・・・!」
アキラ「地球の一宿一飯ノ恩ハ、体で返スと聞きマシた・・・」
アキラ「俺のコト、煮るなリ焼くなリ食べるなリ・・・お好きニどうぞ!」
  あはは、ありがとう
  でも、今でも十分恩を返してもらってるから、大丈夫だよ
アキラ「ソう、デスか・・・?」
  それよりえっと・・・ズドンちょとスベルンプッチ?
アキラ「ドズンチョとスペンルプッチャです」
  それってなんなの?
アキラ「ドズンチョは美しい河デす」
アキラ「とても澄んデいて、星の光を受けてキラキラと光りマす」
アキラ「スペンルプッチャは淡イ桃色の花デす」
アキラ「可愛ラシい花で、甘イ香リがしマス」
  じゃあ日本式に言い直すとしたら・・・
  ドズンチョは星をちりばめた夜空
  スペンルプッチャは桜の花びら・・・ってとこかな
アキラ「なるほど・・・」
アキラ「では・・・・・・」
アキラ「アナタの瞳は、星をちりばめた夜空の様ですね」
アキラ「初めてその瞳に俺が映った瞬間から、 目が離せなくなってしまいました」
アキラ「そして桜の花びらのような唇で名前を呼ばれる度、俺の心は幸せで満たされる・・・」
アキラ「こんな特別な存在は銀河中を探してもアナタしかいない」
  おー・・・
アキラ「どうデスか・・・? 俺の気持ち、伝わってマスか・・?」
  うん!すごく・・・!
  もう完璧!
  これならお客さんも喜ぶだろうから、その調子でこれからもよろしくね
アキラ「・・・はい、頑張ります・・・」

〇繁華街の大通り
アキラ(完璧・・・か・・・)
アキラ(全然そんなことナいデスよ)
アキラ(だっテ一番伝えたい人にハ、俺の言葉なンて全然届いていナイんですカら・・・)
アキラ「はぁ・・・ 異星間恋愛って、難しい・・・」

コメント

  • 彼のひたすらに真っ直ぐな姿がほほえましかったです、異星間恋愛って想像したこともなかったですがどんか感じになるのか気になりました。

  • とても読んでて楽しかったです。
    イケメン宇宙人って発想がまた良くて、まだ地球の言葉をわかってないところがあるのもかわいいです!

  • 国際結婚している私は、言語や文化の違いを肌で感じるので、異星間!とはいかないまでも、彼の思い悩むことに共感できました。言葉が多少伝わらなくとも、気持ちって伝わるものですよね。

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