エピソード(脚本)
〇占いの館
まや「ここね。人気の占いのお店って」
まや「お互い顔を合わせないように、カーテンで仕切ってあるのね?ふーん」
占い師「ようこそ。こちらにお座り下さい」
占い師「カード占いでよろしいですか? 今、気になっている事はなんでしょうか?」
まや「うん?この声。 どっかで聞き覚えのある気がする」
まや「失恋するし、 好きでもない人にしつこくされるし、」
まや「スマホを水没させるし!!」
まや「何かいいキッカケはないですか?」
占い師「分かりました。 恋愛多めでみてみましょうか?」
静かにカードを切る占い師。
まや「懐かしいな。 先輩もよくこうやって占いしていたよね」
まや「思い出したら悲しくなってきちゃった」
占い師「フーム。 『再会』にヒントがありそうですよ」
まや「再会?」
占い師「さらに『年上の方』」
まや「ぐはっ! エグられる」
まや「先輩に失恋して また年上って!」
占い師「『意外な形で再会』されるようなのですが思い当たる事はありませんか?」
まや「バイト先の?あれって再会って言うのかな」
占い師「『誤解』そして『人違い』というキーワードが頻繁に出てくるのですが」
まや「え~?人違い?なんだろう? 思いつかない」
占い師「そうですか。 では、手相もみてみましょうか?」
カーテンのスキマから、そっと男性の手が出てきた。
占い師「すみません。 両手を失礼します」
占い師の手に自分の手をのせると、向こう側へ引き込まれた
まや「あれ?意外と若~い!」
占い師「あれ?おかしいな。 いい再会いに、いいお相手のように思えますが」
まや「いやいや、今私フリーです!」
まや「威張って言うことではないんですけど」
占い師「気になる男性って いらっしゃいませんか?」
まや「気になると言うか、 気に障るウザイ人います」
まや「つきまとわれてホント、迷惑してます」
占い師「その方は年上?」
まや「年上は年上ですけど。全然タイプでないし」
しばらく沈黙してしまった。
占い師「もしかして、まだ失恋されたお相手に未練が?その方も年上?」
まや「そう! サークルの先輩!」
まや「卒業式の前にラブレターを渡したら返事を貰えなかったの」
まや「それってフラれたって事でしょ?」
占い師「ええっと・・・」
占い師「お相手の方のお名前と生年月日がわかれば、相性占いも出来ますが」
まや「この紙に書けばいいの?」
占い師「はい」
書き終わると、そっとカーテンの下から、紙を差し込んだ。
占い師「あっ!」
占い師「ええっ!」
慌てる占い師。
まや「なんだか占い師さん。困ってる?」
スキマから、占い師と一瞬目があったような気がした。
まや「うん?さっきから何だろう? 何かちょいちょい引っ掛かるのよね」
占い師「あ、あの・・・」
深呼吸が聞こえてきた。
占い師「今日のお代は結構です」
まや「え?なんで?いいの?」
占い師「今日は店じまいしたいので、スミマセン。これでお引き取り下さい!」
まや「ええっ! 相性占いして貰いたかったのに~!」
まや「結果を教えてもらえないほど ひどかったの?」
〇街中の道路
まや「なんだろう?突然。 帰れって!」
まや「え~!余計にモヤモヤしてきた~」
まや「『意外な再会』『誤解』『人違い』って何?」
まや「謎が謎を呼ぶんですけど」
「ちょっと!ちょっと待って!」
まやはその声の方に振り返った。
まや「あ!!」
先輩「まや・・・ だよね?」
まや「せ、先輩!」
先輩「まやの好きな人って俺なの?」
先輩は、まやの両手を握りしめた。
まや「あ!この手! さっきの占い師の」
先輩「まさか本当にここで会えるとは。 俺ってすげー」
まや「と、言う事は」
まや「私、面と向かって告ってしまった ( ;∀;)」
まや「一回フラれてるのに」
先輩「それなんだけど・・・どういう事?」
先輩「俺って告白されてたの?いつ?」
まや「えーーー!!」
〇シックなカフェ
まや「わ!懐かしい! サークルのみんなとよく来てたカフェ!」
先輩「そうそう」
まや「ここに来ると先輩を思い出しちゃうから、なかなか足が向かなくて」
先輩「それだけど、どういう事? 俺、いつの間にお前のことフッてたの?」
まや「いつの間に?」
まや「私、先輩のロッカーに手紙入れました」
先輩「手紙ってまた古風な。 しかも、ロッカーって」
先輩「あ!もしかして赤い方ロッカー?」
まや「そう、赤い方のロッカー」
先輩「あれ、柳のロッカー!」
まや「え?柳先輩?!」
先輩「もしかしてお前 ラブレターなのに宛名書かなかった な~んて事 無いよな?」
まや「あ!」
まや「( ;∀;)」
先輩「柳のヤツ、すっごく自慢してたよ」
まや「ええっ!! 柳先輩?!ちがーう!」
先輩「もしかして、好きでもないヤツ、 バイト先で一緒って柳の事?」
まや「はい」
先輩「『誤解』『人違い』って占い通りだな!!」
まや「そんな~~。 文句言って行くところが・・・ない!」
まや「自分のせいだったなんて・・・」
先輩「連絡してもしても繋がらないから変だとは思ったけど、」
先輩「スマホ水没なんて」
先輩「お前らしい~」
まや「ぐっ!返す言葉もない・・・」
先輩「そういえば俺も」
先輩「そこにコッソリ暗号を書いておいたけど・・・気が付かなかった?」
まや「え?」
先輩「マジで気が付いてなかったの?」
先輩「それ書いたの2年以上前だけど?」
まや「ええっ?」
先輩「お前この店に来ると必ずそこに座る事、 気が付いてる?」
まや「ウソ!」
先輩が指さすところに、
相合傘と先輩とまやのイニシャルがあった
キュン♡
まや「これ・・・先輩こそ古風な」
まや「こんなの落書きに見えますけど!」
先輩「いいキッカケにはなるかなとは思ってたけど、ダメか~」
先輩「それにしても・・・ 俺も無駄な半年を過ごしてたってことだよね?」
先輩「勿体なかったな~!?」
先輩「まあ、結果オーライってことだよね? 再会って占い当たってたし」
先輩「でも、お前は騒がせたバツとして・・・」
先輩「もう一回、俺に手紙書く事」
先輩「キュンとするような手紙を 手渡しで!」
まや「えーっ!!」
先輩「それとも、今、言っちゃう?ここで?」
先輩「ね?」
おっちょこちょいなヒロイン、それに思い続けていた2人。人生ってちょっとしたことで歯車が噛み合ったりしますけど、この再会は意外でした!
彼、凄腕ですね!きっと二人の未来は安泰って占いの結果が……出るかな?なんて思ってしまいました。
素敵なキュンをありがとうございました〜(^^)
ラブレターの置き間違えから彼女の不幸が始まってしまったけど、凄腕の占い師がその間違いを正してくれてよかったですね。でもそれが意中の彼だったとは、びっくりです!
まさか占い師さんが彼とは…誰も思いませんよね。
もちろん彼女も。
でも、的中の具合がすごくて、ひょっとして彼は凄腕の占い師さんなのでは!
ラストはキュンとさせてくれました。