騎士と呼んだあの日から

要 九十九

お姫様と騎士様(脚本)

騎士と呼んだあの日から

要 九十九

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〇謁見の間
  昔、お父さんが読んでくれた絵本
  お姫様が
  従者を連れ

〇火山の噴火
  色々な所を

〇アクアリウム
  冒険するお話

〇黒背景
  私が憧れたのは
  だけど

〇時計台の中
  さらわれたお姫様を
  救う彼を見た時

〇黒背景
  私は彼に
  目を奪われた
  その時から私の憧れは
  彼女ではなく
  彼に・・・
  ・・・
  おーい
  ?
  飯塚~
  起きろ~!

〇教室の教壇
佐藤 光将「授業終わったぞ」
飯塚 さくら「先生何でここに?」
佐藤 光将「俺の授業なんだから当たり前だろうが」
飯塚 さくら「すみません!」
佐藤 光将「お母さんの手伝いがあるんだろ?」
佐藤 光将「さっさと帰れ」
飯塚 さくら「はい!ありがとうございましたー!」
佐藤 光将「気を付けろよ」

〇商店街
飯塚 さくら(夢だけど)
飯塚 さくら(懐かしかったなぁ)
飯塚 さくら(あの絵本好きだったのに 急に続きが出なく)
飯塚 さくら「騒がしいな」
通行人A「誰か助けろよ」
通行人B「嫌よ」
飯塚 さくら「どいて!」
ゴロツキ「金出せよ」
子ども「これはだいじな」
ゴロツキ「さっさと出せ!」
子ども「でも」
ゴロツキ「お前がぶつかった 右腕がいてぇ」
ゴロツキ「警察呼ぶか?」
子ども「それは」
飯塚 さくら「止めなさい!」
ゴロツキ「あ?」
飯塚 さくら「早く逃げて」
子ども「ありがとう」
ゴロツキ「待て!」
ゴロツキ「何邪魔してんだ?」
飯塚 さくら「小さい子相手にこんなこと」
飯塚 さくら「情けない!」
ゴロツキ「俺は」
ゴロツキ「ガキのせいで」
ゴロツキ「右腕を」
飯塚 さくら「右腕が?」
飯塚 さくら「掴んでも 痛くはなさそうですが」
ゴロツキ「離せ」
ゴロツキ「うぜぇ」
ゴロツキ「殴って」
???「や、止めろ!」
ゴロツキ「次から次へと」
飯塚 さくら(震えて?)
???「逃げよう!」
飯塚 さくら「え?」
ゴロツキ「待て!」

〇土手
???「はぁ、怪我は」
???「ありませんか?」
飯塚 さくら「大丈夫」
飯塚 さくら(この人何処かで)
???「すみません!手を握ったままで」
飯塚 さくら「気にしないで それより」
???「用事があるのでこれで!」
飯塚 さくら「待って!」
飯塚 さくら「行っちゃった」
飯塚 さくら(お礼すら言えなかった)
飯塚 さくら「うん?」
飯塚 さくら「これは?」

〇女の子の部屋
飯塚 さくら「うーん」
飯塚 さくら「この人形にも見覚えが」
飯塚 さくら(何処かのお店の物?)
飯塚 さくら「それに」
飯塚 さくら「野村海斗」
飯塚 さくら「この名前も何処かで」
飯塚 さくら(あー! どれだけ考えても分かんない!)
飯塚 さくら(でもきっと知り合いの筈だ)
飯塚 さくら(探してちゃんとお礼を伝えよう)
飯塚 さくら(・・・)
飯塚 さくら(あの姿)

〇黒背景
  震えながら
  怖がりながら
  私を庇ってくれた姿
  手を掴んで
  一緒に逃げてくれた姿も
  まるで絵本の

〇女の子の部屋
飯塚 さくら(手、大きかったなぁ・・・)
飯塚 さくら「何考えてるんだ私!」
飯塚 さくら(さっさと寝よう)

〇学校の廊下
飯塚 さくら(結局眠れなかった)
飯塚 さくら(彼と何処で会ったんだ?)
飯塚 さくら(調べても人形は見つからないし)
飯塚 さくら(それに)
飯塚 さくら「野村海斗」
飯塚 さくら(何処で聞いたんだ?)
佐藤 光将「おい飯塚」
飯塚 さくら「先生おはようございます」
佐藤 光将「おはよう」
佐藤 光将「お前放課後 職員室に来い」
飯塚 さくら「え?」

〇綺麗な一戸建て
  放課後
飯塚 さくら「どうしてこうなった?」
  職員室で話を聞かれた私は
  昨日の事を全て話した
  その後先生は何処かに電話して
  私にプリントを渡して
  ここまで届けるように言ってきた
飯塚 さくら(まさかクラスメートだったとは)
  彼は初日以来学校に来ていない
  不登校だった
飯塚 さくら(道理で顔と名前に覚えがある訳だ)
飯塚 さくら(インターホンを)
野村 一二三「飯塚さん?」
飯塚 さくら「はい」
野村 一二三「先生から話は聞いたわ」
野村 一二三「入って」

〇部屋の扉
  ──コンコン
野村 海斗「ばあちゃん何?」
野村 海斗「君は」
野村 海斗「何でここに」
飯塚 さくら「初めまして」
飯塚 さくら「あっ」
野村 海斗「すみません 何かあるならばあちゃんに」
飯塚 さくら「・・・」
飯塚 さくら「プリント置いておくね」
野村 海斗「ありがとうございます」
飯塚 さくら「あと昨日は」
飯塚 さくら「助けてくれてありがとう」
野村 海斗「・・・」
野村 海斗「当然の事をしただけです」
野村 海斗「・・・」
飯塚 さくら「じゃあ今日は帰るね」

〇土手
飯塚 さくら(殆ど喋れなかった)
飯塚 さくら(人形も返し忘れるし)
飯塚 さくら(でもデリケートな問題を 私がいきなり聞くのもなぁ)
飯塚 さくら(私に出来ることなんて何もない)
飯塚 さくら(その筈だ)
飯塚 さくら(・・・)

〇時計台の中

〇商店街
  そうだ
  彼もあの時
  勇気を振り絞ってくれたんだ

〇土手
飯塚 さくら「なら私だって」

〇学校の廊下
  翌日
飯塚 さくら「先生!」
飯塚 さくら「プリントありますか?」
佐藤 光将「あるよ」
  更に翌日
飯塚 さくら「先生プリント」
  その翌日
飯塚 さくら「先生」

〇教室の教壇
飯塚 さくら「全然仲良くなれない!」
佐藤 光将「上手くいってないみたいだな」
飯塚 さくら「何で先生は」
飯塚 さくら「私を野村くんの家に行かせたんですか?」
佐藤 光将「あぁそれは」
佐藤 光将「お前なら気持ちを理解出来るかも と思ったからだよ」
飯塚 さくら「理解?」

〇男の子の一人部屋
野村 海斗(今日も来るんだろうか?)
野村 海斗(僕はどうしたいんだろう?)
  ──コンコン

〇部屋の扉
飯塚 さくら「こんばんは」
野村 海斗「こんばんは」
飯塚 さくら(私なら野村くんの気持ちを理解出来る)
飯塚 さくら(それが本当なら)
飯塚 さくら「どうして野村くんは学校に来なくなったの?」
野村 海斗「・・・僕は」
  意外にも彼は
  学校に来なくなった理由を
  少しずつ語ってくれた
  彼のお母さんは昔から体が弱く
  何度も入退院を繰り返していたらしい
  彼はその度に大丈夫だと
  自分に言い聞かせていたのだと
  だけどそのお母さんは一月ほど前に
  亡くなってしまった
野村 海斗「僕は怖くなってしまったんです どんなに親しくなってもまた・・・」
飯塚 さくら(理解出来るの意味が分かった)
野村 海斗「自分でもよく分からないんです」
野村 海斗「君が毎日ここに来てくれるのが 嬉しいと感じてもいて」

〇男の子の一人部屋
野村 海斗「だから」
飯塚 さくら「・・・」
飯塚 さくら「私もね」
飯塚 さくら「昔お父さんが亡くなったんだ」
飯塚 さくら「私から言えるのは」
飯塚 さくら「亡くなった人はこんな事望んでない」
飯塚 さくら「お母さんの事は忘れて」
飯塚 さくら「前向きに生きていこうよ」
野村 海斗「それは」
飯塚 さくら「なんて」
飯塚 さくら「言うと思った?」
飯塚 さくら「亡くなった人が どう思ってるかなんて分からない」
飯塚 さくら「だってもういないんだもん 聞きたくても聞けないよ」
飯塚 さくら「でもね」
飯塚 さくら「私がどう思ってるかは分かる」
飯塚 さくら「何処にいても」
飯塚 さくら「いつだってお父さんの事を思い出すよ」
飯塚 さくら「私はお父さんとの思い出を」
飯塚 さくら「絶対に忘れたくない」
飯塚 さくら「誰かと親しくなっても その人を失う可能性はある」
飯塚 さくら「でもそうなったらあなたの中に あった物まで全て消えるの?」
飯塚 さくら「あなたはあの時私を助けてくれた」
飯塚 さくら「お母さんの事もあった上で 選んだあの行動が」
飯塚 さくら「あなたの答えなんじゃないの?」
野村 海斗「僕は」
飯塚 さくら「後ろ向きだって構わない」
飯塚 さくら「ずっとお母さんの事を覚えて 生きていこうよ」
野村 海斗「・・・」

〇男の子の一人部屋
  彼が泣き止むのを私は待った
野村 海斗「僕にそんな生き方出来ますかね?」
飯塚 さくら「出来るよ」
飯塚 さくら「もし挫けそうになったら」
飯塚 さくら「私が守ってあげる!」
野村 海斗「な、なら!」
野村 海斗「僕の騎士に なってくれますか?」
飯塚 さくら(何で騎士? でも)
飯塚 さくら「勿論!」
飯塚 さくら「まずは自己紹介から」
飯塚 さくら「これも」

〇土手
  きっと君は覚えていないだろう
  母の手作りの人形を落として
  困っていた僕の前に君は現れた
  見つかるまで手伝ってくれても
  当然の事をしただけと言う
  その姿は母の描いた絵本に出てくる
  『騎士』
  その者だった

〇商店街
  だから僕は
野村 海斗「や、止めろ!」
  おしまい

コメント

  • わぁ!全部繋がってたんですね!
    お互いに騎士になりたかったんだ!
    亡きお母さんが繋いでくれた縁なのかなぁと感じました。
    二人がお互い助け合って、素敵な未来を歩けますように✨

  • 楽しいストーリーでした、実際、自分の前で戦ってくれてもどうしたもんだかと引いてしまううだろうなとか思いながら読ませて頂きました。

  • かっこよく戦ってくれる人は創作で結構見かけますが、実際のところは心配なので、一緒に逃げてくれる男性を女性は好むと思いますよ。
    彼は立派な騎士です。

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