桜田くんの魔法のコトバ

彩京みゆき

エピソード1(脚本)

桜田くんの魔法のコトバ

彩京みゆき

今すぐ読む

桜田くんの魔法のコトバ
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇カラフル
(いつも皆の真ん中で、 キラキラ眩しい彼は、 ずっと別世界の住人だと思ってた)
安達(あの日までは・・・)

〇教室
「わあ、凄いじゃん! 入賞なんて!!」
安達「そんな、 大した事をないよ、小さい賞だしさ」
桜田「なになに? 安達っていつも楽しそうにスマホで 何やってんの!?」
安達(いきなり会話に入って来たのは、 リア充代表な桜田くんだ。 陰キャな私に何の用?)
  桜田が安達のスマホをのぞき込む
桜田「え!? イラストコンテストで入賞したの!? めっちゃ凄いじゃん!!」
安達「ちょっと勝手に覗かないでっ」
桜田「ごめんごめん。 いつも気になって見てたから」
安達「えっ・・・」
桜田「しかもこのキャラクター、 俺に似てない!?」
安達「そ、 そんなわけっ・・・ 自意識過剰だからっ」
桜田「あはは、 冗談だって」
桜田「でも安達、 すげー特技持ってんのな。 尊敬する・・・」
安達「尊敬だなんて・・・」
安達(キラキラの彼が、 本気でそんなこと思うわけない)

〇幻想空間
(それ以来、 彼は私をからかうようになった)
(イラストのモデルが本当に桜田くんだなんて、 知られちゃいけない気がしてた)

〇教室
桜田「安達っ! 安達のアカウント、イラストすげー載ってんじゃん  やっぱ凄いのなっ」
安達「そんなっ、 下手の横好きってやつだよ。 賞もホントに小さいやつだし」
安達「桜田くん、 ほんとはイラストなんか興味ないよね? 私なんかに構わない方がいいよ?」
桜田「え!? 何で?」
安達「だって、 私みたいな陰キャと話したら、 みんなに笑われるでしょ・・・」
桜田「なんかって、 何?」
安達「えっ!?」
桜田「自分のことを 『なんか』扱いを一番してるのは、 安達でしょ?」
安達「・・・・・・」
安達「・・・ 遠慮なく、 核心を突いて来るのね・・・」
桜田「あ、 ごめん、 そんなつもりじゃなくて・・・」
桜田「まあさ、 誰でもそういうとこ、 あるからさ・・・」
桜田「そういう時は、」
桜田「パッと 変わろう・・・!!」
安達「えっ・・・!?」

〇空
(そう言って桜田くんは、 強引に私を外の世界に連れ出した)
(どういう気紛れ・・・!?)

〇渋谷のスクランブル交差点

〇美容院
桜田「センパイが新人美容師やってるから、 カットモデル募集しててさ・・・」
美容師「任せて〜」
安達「えっ!?」
美容師「ハーイ、 いい感じに仕上がったね」
桜田「さすが、 パイセン」
安達「えっ・・・ ええっ・・!?」

〇渋谷のスクランブル交差点
桜田「あとは、 衣装をチェンジ!!」

〇アパレルショップ
桜田「お手頃価格なら、 こんなところ?」
安達「詳しいんだね・・・」
桜田「おおっ いいねっ」
安達「こんなの・・・ 似合うのかな・・・」
桜田「いや、 控え目にいっても、」
桜田「めっちゃかわいい」
安達「ええっ!?」
桜田「ほんの少し変わっただけでも、 何でも出来る気がしない?」
安達「うん、 そうだね・・・」
桜田「自信を持って!!」

〇渋谷のスクランブル交差点
(そんな言葉で 浮かれちゃだめ)
(そんなセリフ、 きっと桜田くんは 誰にでも言ってるんだから)
安達「今日は ありがとう」
桜田「いや、 俺も楽しかったから」
安達「何で、 こんな風にしてくれるの?」
桜田「実はさ、 俺、中学時代、野球部で坊主で 背も小さくてバカにされる事が多くてさ コンプレックスばっかりで」
桜田「変わりたいなって思って 高校生デビュー。 色々がんばったってワケ」
桜田「周りのヤツもさ、 チャラく見えても案外みんな努力してんのよ」
桜田「安達見てるとさ、 なんか他人事じゃない気がして」
桜田「気づいたら 目で追ってた」
安達「えっ・・・!?」
桜田「安達」
桜田「好きだよ」
安達「・・・」
安達「それは、 同情?」

〇渋谷駅前
(あるわけない・・・)
安達「ごめん、 信じられない」
安達「桜田くんにとって、 それはいつも軽く言える言葉かもしれないけど、」
安達「私には、軽い言葉じゃないから・・・」
桜田「安達は、 俺の何を知ってるっていうの・・・?」

〇渋谷駅前
(信じられないズルい私は、 きっと彼を傷つけた)

〇教室
クラスメイト1「わあ、安達さん凄くかわいい!」
クラスメイト2「別人みたいだけど、めっちゃいいよっ」
友達「ほんと、すごくかわいい! どうしたの?」
安達「ありがとう・・・ え?うん ちょっとした、魔法?かな・・・」
友達「王子様? ・・・なんて?」
安達「ええっ!?」
友達「あはは 正解!」
安達「まさかっ!」
安達「そんなワケない でも・・・」
安達「少しだけ変われたのは、」
安達「彼のおかげなんだ・・・」

〇教室
「でも私は、 一方的に、傷つけた」

〇まっすぐの廊下
(走れ、 走れ・・・)
安達「桜田くんっ」
桜田「安達」
安達「昨日は、ごめんなさい・・・」
桜田「ああ、 昨日はいきなり過ぎたよね・・・」
安達「桜田くんは、 私の事をバカにしたりしなかった・・・ なのに私はあんな風に言ってしまって」
安達「ほんとに ごめんなさい・・・」
桜田「ううん、 こっちこそ驚かせただろうし、 慣れてるよ」
安達「慣れてるなんて・・・ 外見だけで判断しちゃいけないって一番分かってたのは、自分だったはずなのに・・・」
安達「私 もし桜田くんが言ったみたいに 『何でも出来る』って思ったら、 桜田くんの顔が思い浮かんで・・・」
安達「黙ってたけど、 本当にイラストのモデルも桜田くんだったし・・・」
桜田「うん、 それ知ってた」
安達「えっ!?」
桜田「安達たちがしゃべってるの、 うっすら聞こえてた」
安達(うわあぁっ!!)
桜田「ねえ、だから、 ずっと見てたって事も本当だし、 イラストアカウントも実は見てたし」
桜田「俺には、 そんな好きな事をやってる安達が 眩しく見えてた」
桜田「好きだっていうのも、 本当だよ?」
桜田「安達のキラキラして見えるところも、 自信なさげなとこも含めて、 全部愛しいよ」
桜田「だからさ、 ゆっくりでいいから、」
桜田「信じてみない・・・?」
安達「・・・!!」

〇空
「はい!」
(そんな不器用で頼りないわたしは)
(桜田くんの手を取った)

コメント

  • 確かに自分の自信は自分が決めていることであって、自分だけがマイナスに感じているだけかもしれませんね。
    それに相手の気持ちも本当かどうかなんてわからないからこそ、恋愛は楽しいものなのですよね。

  • 彼がグイグイとヒロインを外の世界に連れ出してくれたのは強引だったのに、ヒロインの気持ちを考えて一度離れていく優しさを持っていたのが素敵でした(^^)
    同じ境遇だからこそ、わかり合いたい気持ちと、最後に「信じてみない?」の一言にも押し付けじゃない優しさを垣間見て、ヒロインだったら嬉しいだろうなぁ、と思います。
    胸がほっこりする、素敵なお話でした! ありがとうございました。

  • 好きな人のことってよく見てるものですから、彼の言うことに嘘はありませんよね。
    たしかに学校とかだとオタバレしないように隠したりしますよね。笑

コメントをもっと見る(6件)

ページTOPへ