読切(脚本)
〇テレビスタジオ
MC「今 人気絶頂のアイドル! 風早理央(かぜはやりお)さん スタジオに登場でーす!」
風早理央「みんなのこと、愛してるよ」
「きゃああああーっ♡」
MC「いやーこの観覧席の声よ! すごい人気ですね風早さん 噂では50音どの言葉から始めても女性を胸キュンさせられるとか」
風早理央「ええ、そうですね。 どうぞ△△さん、 なにか一つ好きな五十音、言ってください」
MC「え、いいの? じゃあ『る』!」
風早理央「ルールルルー♪ あーいーしーてーるー♪」
「きゃあああーっ♡」
MC「テキトーじゃねーかっ!」
風早理央「あはははは」
・・・・・・
〇ライブハウスの控室
番組終了後
控室にて
風早理央「ふえええっ もう無理です 甘利(かんり)さん! 僕に胸キュンキャラは無理!」
甘利美月「泣き言いわない! あなたをデビュー当時から見てきた私にはわかる! あなたは面白胸キュンキャラで売っていかなきゃ駄目よ」
甘利美月「現に今のキャラになってからは、 CDの売り上げは100億万枚! ストリーミング再生も1000兆回を突破したわ!」
甘利美月「このままアイドルやめるなんて許さないわよ」
風早理央「で、でも・・・ 胸キュンのセリフとか行動とか・・・ は、はずかしいし・・・」
甘利美月「はずかしいもなにもない!」
風早理央「は、はい!」
甘利美月「いい? あなたの顔は国宝級・・・いえ、世界宝級なの」
甘利美月「その顔だけで世界のトップに立てるところを、ちょっとボケたセリフのギャップがドツボにハマるのよ。自信を持ちなさい」
風早理央「は、はいぃ・・・」
風早理央「あ、あの・・・、そうだ次の番組での胸キュン行動なんですけど・・・」
甘利美月「あぁ、視聴者から募集した 『彼氏にされたいシチュエーション』を再現する番組ね」
風早理央「今回僕は『壁ドンして囁く』で・・・」
甘利美月「・・・?」
甘利美月「・・・! ああ、不安なのね そうね、練習しましょうか」
風早理央「すみません・・・」
甘利美月「むしろ積極的に練習なさい 世の女性を胸キュンさせるのは並大抵のことじゃないんだから ほら、こっちにいらっしゃい」
甘利が控室の壁際に背を預ける
甘利美月「はい、始めて」
風早理央「はい」
風早理央が近づく
風早理央「お前のこと、む、無茶苦茶にしたい////」
甘利美月「弱い!」
甘利美月「まだ照れが残ってる! もっと本気で! 私のことを本気で無茶苦茶にしたいって思いこんで囁きなさい!」
甘利美月「こんなふうに!」
甘利美月が理央の腕を強引に引っ張り場所を入れ替える
ドンッ
甘利美月「お前のこと、無茶苦茶にしたい」
甘利美月「・・・まあ、私がしたところで気色悪いだけなんだけど・・・」
甘利美月「とりあえず、気持ちよ 本気でやりなさい」
風早理央「は、はい・・・!」
風早理央「じゃ、じゃあ・・・ 本気で・・・」
ドンッ
風早理央「お前のこと、無茶苦茶にしたい!!」
風早理央「ど、どうですかね・・・」
甘利美月「・・・ん。まあ、いいんじゃないの?」
甘利美月「本番も、その調子でやりなさい」
風早理央「は、はい! ありがとうございます!」
風早理央「あ、あの・・・いつも迷惑かけて申し訳ないんですけど ・・・これからも、練習に付き合ってくれますか?」
甘利美月「・・・当たり前よ。 あなたがアイドルとして輝くためなら、 どんなことだって付き合って見せるわ」
甘利美月「・・・もうすぐ移動よ、準備なさい」
風早理央「はい! ・・・ありがとうございます!」
――人気絶頂アイドル、風早理央。
そんな彼が、マネージャーとの胸キュン練習を楽しみにしているのは
彼だけの秘密である。
彼が何度もマネジャーさんと練習したい気持ちわかります、さばさばしているけど愛情深くて美人さんなんでしょうね。二人三脚なところが何より温かく胸を打ちます。
マネージャだけが知っているアイドルの秘密、内緒の練習、なんかここからロマンスがうまれちゃいそうでうまれないようなギリギリな感じも楽しくて、もっとふたりの練習風景をみていたい気分になりました。
アイドルな彼も素敵ですが、素の彼がすごくかわいくてキュンキュンします!
最初の自信なさげな壁ドンがすごく萌えました!
ツボです!