読切(脚本)
〇学校の校舎
佐々木 杏介「どこにいたんだよ真衣。 探し回っちゃったじゃないか」
高梨 真衣「どこって、今日は保健室の掃除当番だったから、掃除してただけだよ」
佐々木 杏介「そうか・・・。 でも、そういうことは、先に言っとけよ。 あんまり心配かけるなよ」
高梨 真衣「し、心配って・・・」
心配されるのが、うれしいような、困ったような・・・。
でも杏介くんの心配性(?)は日増しにエスカレートしていきました。
〇一軒家
朝の登校時も・・・
佐々木 杏介「おはよー! 一緒に学校行こうぜ!」
高梨 真衣「う、うん」
〇教室の教壇
お昼休みの時間にも・・・
佐々木 杏介「よー、真衣。 友だちとメシ食ったら、ちょっと付き合ってくれよ」
高梨 真衣「う、うん。別にいいけど・・・」
〇渋谷のスクランブル交差点
放課後に、友だちと渋谷へ遊びに出かけた時も・・・
佐々木 杏介「よー、オレも参加していい?」
高梨 真衣「杏介くん、どうしちゃったの? 今日は友だちと遊ぶって言っておいたでしょ!!」
佐々木 杏介「だって、ずっと一緒にいたいって、思ってるから・・・」
高梨 真衣「今日は友だちと遊ぶの! また、明日ね!」
友だち「ま、真衣ちゃん。 杏介くんに、あんなこと言っちゃって大丈夫?」
高梨 真衣「いいの! まるで心配性のお父さんみたい。 いやになっちゃう!」
〇渋谷のスクランブル交差点
でも、杏介くんを振り切って友だちと二人きりになった後・・・
ナンパ男「カノジョたち、可愛いねえ。 オレの友だちも向こうにいるから、一緒に遊ぼうぜ」
高梨 真衣「え、困ります」
ナンパ男「ちょっとだけでも付き合ってよ。 ね、いいでしょ?」
見知らぬ男が私の手首をつかんだ、その瞬間・・・
佐々木 杏介「おい、この娘はオレの彼女だ。 ちょっかい出すなよ!!」
ナンパ男「なんだ。男づれか。 チッ・・・」
高梨 真衣「杏介くん!? なんでまだいるの!? と、とりあえず、助けてくれてありがとう」
佐々木 杏介「どーってことないよ。 オレがいて、良かっただろう?」
高梨 真衣「う、うん・・・まあ」
高梨 真衣「夕方から、ずっと私の後をつけていたのかな。 なんだか、ストーカーみたい・・・」
佐々木 杏介「さ、もう帰ろう。 友だちの家、それから真衣の家の順に送ってあげるよ」
友だち「いえ、私は1人で帰れますから。 真衣ちゃん、またね」
高梨 真衣「うん。なんか、今日はごめん。 また今度ね」
佐々木 杏介「2人きりか・・・。 だったら、このままデートしようか?」
高梨 真衣「・・・いい。今日は帰る」
すると杏介くんは、私の瞳をまっすぐ見つめながら言いました。
佐々木 杏介「あのなあ、真衣」
高梨 真衣「なに・・・?」
佐々木 杏介「うぜえと思ってるみたいだけど、オレ真衣のことが好きだから、こうしてるんだ」
高梨 真衣「うん・・・」
佐々木 杏介「本当に、真衣が好きなんだ。 これだけは、わかってくれ」
それから杏介くんは、私のほっぺに優しくキスをしてくれました。
〇まっすぐの廊下
翌日、学校に行くと、京介くんは欠席。
すると、なぜか見知らぬ生徒たちが、次々と私のもとへやって来て・・・
見知らぬ生徒1「へえ、おまえが高梨 真衣か。 たいしたことないな」
見知らぬ生徒「あんたなの? 調子に乗って、いい気になってる女って!」
見知らぬ生徒3「あなた、高梨 真衣さんでしょ? 先生が呼んでるよ。 ついて来て」
私は言われるまま、その子のあとをついていってしまいました。
〇中庭
高梨 真衣「ここ、工事で立ち入り禁止になってる場所でしょ?」
見知らぬ生徒3「うん、いいのいいの。 オッケー、連れてきたよ!」
見知らぬ生徒1「おっ。へっへっ。 来た来た」
見知らぬ生徒「あんた、何かカン違いしてない? 杏介が本気であんたを好きになるはず、ないでしょ!!」
見知らぬ生徒3「こういうバカには、体に言い聞かせなきゃ、わからないんじゃない?」
見知らぬ生徒「そうね。体に言い聞かせてやろう。 今日、京介は休みだから、誰も助けに来てくれないよ」
〇中庭
佐々木 杏介「おーっと、待った! オレならここにいるぜ」
高梨 真衣「きょ、杏介くん!?」
佐々木 杏介「真衣、今まで黙っててゴメン。 おまえに悪さしようとするヤツら、やっと見つけ出すことができたぜ」
佐々木 杏介「おい、おまえら! また真衣にちょっかい出したら、今度こそボコボコにしてやるからな!!」
見知らぬ生徒「あ、あわわわわわ・・・!!」
佐々木 杏介「噂で聞いたんだ。 オレが真衣と付き合い始めたことが、気に食わない連中がいるって・・・」
高梨 真衣「もしかして、ストーカーしてたのって・・・」
佐々木 杏介「そう。あいつらから真衣を守るためだった。 でも、真衣を恐がらせたくないから、黙ってたんだ」
高梨 真衣「そうだったんだ。 杏介くんがストーカーなんて、変だと思ったんだ」
佐々木 杏介「オレそんなダセえ男じゃないし。 でも犯人がわからなかったから、友だちに頼んで、見張ってもらってたんだ」
高梨 真衣「じゃあ、今日はわざと学校サボったの?」
佐々木 杏介「うん。これ以上ストーカーしてたら、真衣に嫌われそうだったから」
高梨 真衣「そうだったんだ。 ありがとう、杏介くん!!」
佐々木 杏介「あいつら、オレのファンクラブの一員なんだ。 まったくモテる男はつらいぜ」
〇通学路
それから杏介くんは、私を家まで送ってくれました。
佐々木 杏介「じゃあ、また明日な。真衣。 愛してるぜ」
高梨 真衣「私・・・も」
佐々木 杏介「これからも、ずっとオレが守ってやるから、安心しろよ」
高梨 真衣「うん」
ストーカーの正体は、私を守ってくれる王子様でした。
なんだか、まだ夢の中にいるみたい・・・
佐々木 杏介「愛してるぜ。真衣!」
彼はまさにナイトですね! イケメンでも大事な人への配慮を徹底的にできる男性なんて憧れ中の憧れです。こんな人と付き合ってしまうと他の誰とも付き合えなくなる!
いい愛され具合に、読んでてにまにまが止まりません!笑
ストーキングをしていた謎も解けて、もう彼女は無事でいられそうですが…彼はやっぱりずっとそばにいるんだろうと思います。
何というイケメン彼氏!カッコ良すぎやしませんか?笑
こんなカッコいい彼氏がいたら、もう一生幸せに暮らせそうですね。羨ましい限りです。