44 お手入れ(脚本)
〇基地の広場
ジャゴッ!!──ギャギャッ!!!──ギャン!!!!
ゴッキャン!!!!!!
日が暮れて間もない夜──テルトラット砦の外で超重量の金属が跳ね回り、恐ろしい程の轟音が鳴り響く
その轟音に砦の兵達は──
砦の壁の上から興味深気に視線をとばす
彼らが呑気でいられるのは、この魔女の行動は事前に通達がなされたものであり、二人の将軍が安全を宣言したものであったからだ
見物人の中には勇士達の者達も居たが、アデライーデの操る大蛇號の恐ろしい重量と機動に青ざめた顔をしている
オスカー「アレも、フリードリヒ級の化け物だってのかよ・・・」
アデライーデ「・・・・・・」
ギャンギャン!!──ドッゴン!!!
ジャッカォン!!!!
ジャガン!!!!!!
フリードリヒ「・・・・・・」
アデライーデ「アタシに何か用かい?」
フリードリヒ「これといって特別な用は無いんだけれどもね、そんなモノを振り回しておいて、興味を持つなって言う方が無理があるよ」
アデライーデ「こんなもの、ただの練習用さね それに今はドーカを切って不具合がおきていないかを確かめてるだけだよ」
フリードリヒ「うん?」
アデライーデ「ミスリルの血でコーティングしていても、ドーカの体液を大量に浴びれば溶けたりするかも知れないからねぇ・・・」
フリードリヒ「ミスリルの血・・・って、そのドラゴンの血を使っているって事なのかい?」
アデライーデ「なんだい、魔女の魔法を知らないのかい? どれも自分の血や髪を使うものばかりだよ ・・・気持ち悪いかい?」
フリードリヒ「い、いや、気持ち悪くなんか無いよ ・・・ただ、血を取られてドラゴンは怒ったりしないのかい?」
アデライーデ「小さい頃からずっと、アタシやババアが血を抜く所をみて育ったからねぇ、慣れたもんさ」
フリードリヒ「そういうものなのかなぁ・・・?」
アデライーデ「さて、アタシの試験動作はこんなもんさね」
アデライーデが大蛇號の柄を近付けて渡すと、それをミスリルは人間が剣を掴む様に受け取り──
ドヒュッ!!──
──と、爆風の如き風切り音を鳴らし大蛇號を振るう
ワイヤーを最大に展開したそれは魔女の操る間合を遥かに越え、ミスリルの身長の3倍を越える先までその威を届け──
大地より突き出た大岩の先端を打ち上げる
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