苦手な人が八百屋さん

長谷川ハカル

読切(脚本)

苦手な人が八百屋さん

長谷川ハカル

今すぐ読む

苦手な人が八百屋さん
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇スーパーの店内
美咲「やだなー、やっと仕事なれてきたのに店長の親戚がスケットなんて」
マナ「いいじゃん!店長いわく、イケメンの大学生らしいよ!楽しみだなあ!」
店長「今日から三咲さん、マナさん宜しく頼むよ。甥っ子のこと。1週間だけのスケットだと思って仲良くしてあげて!」
マナ「店長!もちろんですよ!イケメンには優しいんです。私達」
美咲「ちょっと、マナ!私はそんなことは!」
店長「なんであれ、頼りにしてるよ。特に三咲さん。シフトが1番一緒だからね。そろそろ開店だから来るかな。宜しくね!」
美咲「あー、苦手なのになあ、、、、話すのが」
マナ「大丈夫!仕事だと割りきって! あっ、ついに甥っ子さんのお出ましみたい!」

〇スーパーの店内
陽太「初めまして!店長の甥っ子の陽太(ようた)です!宜しくお願いします!」
美咲(わっ!私が1番苦手なタイプだ。本当にあの静かな店長の甥っ子なの?)
マナ「陽太くん宜しくね!私がマナでこっちが三咲、2人とも陽太くんより2つ上だね。開店したから陽太くんは三咲の品だしを手伝って!」
陽太「はーい !三咲先輩よろしくお願いしまっす!」
美咲(しまった!今日はマナはレジ担当だった。 気がめいるな~)
陽太「三咲さん、宜しくお願いします!て言っても叔父さんの八百屋は小さい頃から来てるので、俺の方が詳しいんで!俺が先輩かな!」
美咲(おいおい、最初からマウントとり始めたよ。1週間、長いなあ。早くパートさん戻ってきて〜)
陽太「じゃ、俺が段ボール開封してくので三咲さんは並べんの宜しくね!」
美咲「え...はいはい」
美咲(店長の甥っ子だし。今ここクビになったら先がないし。1週間、頑張るしかないか)
美咲「陽太君だっけ?1週間よろしくね」
陽太「三咲さん、宜しくっす!」

〇駅前ロータリー(駅名無し)
お客さん「あら!三咲ちゃん!新しいバイトさん?イケメンじゃない!」
陽太「店長の甥っ子の陽太でっす! お客さん、美人すね!今日はキャベツが安いからオススメですよ!」
お客さん「あら!まあ!夕食はロールキャベツに変えちゃおうかしら!」
美咲「陽太君!お得意様なんだから、失礼よ!申し訳ありません!今日はお買い得の野菜がたくさんあるのでゆっくり見ていって下さい」
陽太「ロールキャベツは、たんぱく質もとれて野菜もたくさんで消化にも良いですから、美人のお客様にはぴったりだなーって思ったんす!」
お客さん「あらあら!こんなおばあちゃんに美人美人なんて言われたら、夕食はロールキャベツに決まりね!」
美咲「陽太君!」
お客さん「三咲ちゃん、いいのよ。たまには、ほめられるのも悪くないわ!楽しい買い物ができたわ」
陽太「ね~!人生は野菜と同じでいろんな彩りがなくっちゃ!お買い上げありがとうございます!」
お客さん「あら、うまいこと言うわね!また来るわ、三咲ちゃん、陽太くん」
陽太「ありがとうございましたあ~!」
美咲「ありがとうございました!」
美咲(1週間のがまん、がまん)
陽太「いやー、売れた売れた!あはは!」

〇スーパーの店内
美咲「はあ」
マナ「三咲!1週間おつかれ~!」
  一週間後......
美咲「ああ、やっと一週間終わった...」
マナ「陽太君のおかげで売り上げは、2倍になるし!新規のお客様はつくし!って、あれ?三咲なんかやつれた?💦」
美咲「そりゃね、売り上げはいいし、愛想はいいし、仕事はできるし、話はうまいし。バイトとしてはいい子だったよ、私は部下でしたあ!」
マナ「あはは!三咲が部下か! まあ、いい子で良かったじゃない!あとは、お店閉めるだけだから、私はお先!」
美咲「またあ?店長がいないからって!」
陽太「マナさんらしいっすね!俺らも店閉めて帰りましょ!帰り道、駅まで一緒ですもんね~!」
美咲(一週間、この子の調子に振り回されたな)

〇月夜
陽太「三咲さんて、就職落ちて叔父さんの八百屋に正社員として入ったんすよね?」
美咲「はあ?陽太君は一流大学みたいですね!」
陽太「そんなに怒らないで下さいよ!俺、うらやましいんです!」
美咲「羨ましい?」
陽太「俺の親父、叔父さんと違ってちょー厳しくて大学も親父の一存で決まって、就職先も親父の志望なんで人生楽しくないっす!」
美咲「笑いながら楽しくないとか言う人はじめて見たわ!」
陽太「ガキの頃から叔父さんの八百屋に遊びに来て、将来は絶対に八百屋になるって決めてたんです」
美咲「...何で八百屋さんなの?陽太君の偏差値ならどんな未来もあったでしょ?」
陽太「叔父さんの仕事見てたら八百屋が好きになっちゃって」
美咲「八百屋さん、重労働だしお客様のクレームも意外と多いし、デスクワークより大変なところもあるよ?」
陽太「そうなんすよね~!親父に八百屋になりたいって言ったら見下げた顔して、もっと上を目指せって殴られました。兄弟なのに...」
美咲「そうだったんだ...」
陽太「そんな悲しい顔しないで下さいよ!就活前に叔父さんに無理言って一週間バイトだけど、俺の夢は叶ったんですから!」
美咲「八百屋さんになんで就職したかったの?」
陽太「野菜は彩りが美しいし、春夏秋冬店内の色や香りが変わる職場で、いろんな人生のお客様が来るなんて、こんな楽しい職場ないっす!」
美咲「そんな事考えて仕事してたんだ...」
陽太「そうです!だから三咲さんは俺の夢を叶えているんです!あっ!駅ついちゃいましたね!お疲れ様でした!」
美咲「あ、お疲れ様!陽太君、よく頑張ったね!」
陽太「三咲さんに初めてほめられました!三咲さんの夢は俺が就職して叶えてみせます!」

〇月夜
美咲(私の夢を叶えてくれるか)
美咲(私は陽太君の夢を叶えてたんだね また来週から頑張るか!)

コメント

  • 美咲さんの陽太君に対する印象ががらりとかわったと感じるラストシーンがとてもよかったです。一緒に働きながら見た彼の姿と、彼の八百屋の仕事への熱意がピタッと重なって、男性としても人間としてもキュンとしたでしょうね。

  • 自分の夢がある人って輝いてますよね。
    彼にとって八百屋は単に野菜を売るだけでなく、愛情を持って野菜やお客さんに接する場所なんだなぁと思いました!

  • 彼の仕事ぶりからすると仕事に対する情熱とか意気込み楽しさが伝わってきました。本当になりたかった仕事は楽しかったでしょうね。

コメントをもっと見る(5件)

成分キーワード

ページTOPへ