ヴァイオリンの先生

萬円(まんまる)

エピソード1ヴァイオリン教室のおじいちゃん先生に代わって新しく来た先生は……(脚本)

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〇住宅街
  私は音大の1年生、齋藤みゆき。
  祖父も両親もがオーケストラの音楽一家に生まれました。
  小さい頃からピアノとヴァイオリンを習わされ
  お友達と外でどろんこ遊びをすることも、鬼ごっこをすることもなく、ひたすら音楽一筋に育てられました。
  みんながデートをする年頃になっても、学校と家とヴァイオリン教室の往復だけ。
  幼稚園から大学まで、女子校だから、
  男の子と付き合ったこともないし・・・
  恋愛なんて・・・・・・
  私には関係ない話なんだろな・・・・・・
  と思っていました。

〇豪華な客間
  ヴァイオリン教室の先生がご病気になり、入院されて・・・・・・
  その代わりに、急遽、新しい先生が来られました。
  光聖夜(ひかるせいや)先生。
  私より7歳年上です。
  お若いのに音楽にはとても厳しく、海外のコンクールにも名をはせるほどです。
  物静かですが、何か熱いものを持っていそう。
  光先生のヴァイオリンを弾く指は・・・・・・
  細く長く
  華麗でなめらかで、
  指だけ見ていると
  男性であることを忘れてしまいます。

〇走行する車内
  次のコンクールに向けて、長年使っていた私のヴァイオリンを修理に出さなくてはなりませんでした。
  光先生のお知り合いで長野でヴァイオリン工房をされている方がいらしゃるということで、そちらにお願いすることになりました。
  次の週末に車で訪ねることにしました。
  長野は不慣れな私のために、光先生は、同行して下さることになりました。

〇渋滞した高速道路
  車に男性を乗せるのは、初めて。
  光先生は、あまり喋らない。
  音楽かけてごまかそう。

〇田園風景
  都会を抜けると、気持ちの良い景色になりました。

〇山並み
  長野の山道を通っていた時のことです。
  坂道が続き、
  車から煙が出て・・・・・・
  オーバーヒートしてしまいました。
  車のことはあまり詳しくないので、ついつい整備を怠っていた私のせいでした。

〇村の眺望
  あたふたと途方に暮れる私に代わって、光先生は、テキパキと対処をしはじめました。
光聖夜「車を端に寄せてとめて!エンジンを切って!」
  光先生は、慌てる様子もなく、車内にあったミネラルウォーターを持つと、外に出ました。
  ボンネットを開けてエンジンルームに風を通すと
  横から覗き込んだ私に
光聖夜「危ないから離れて!」
  私を車から遠ざけました。
  ジャケットを素早く脱ぐと、
  それでラジエーターキャップ包み、
  そうっとキャップを開け、
  ミネラルウォーターを注ぎました。
光聖夜「もう大丈夫だよ!」
  その光景に思わずキュン!としてしまいました。
  ジャケットを脱いで、初めて見る光先生の
  胸の厚み・・・
  腕の太さ・・・
  あの 細い指からは想像もできない。
  逞しく、
  頼もしい男性を
  そこに見てしまいました。
  光先生の落ち着いた行動とは反対に、私の心はドキドキと高鳴るばかりでした。

コメント

  • 確かに繊細なイメージから力強い男らしさを感じたらきゅんとしてしまいそうですね!
    車がオーバーヒートしたときの対処法なんて、どこで学んだのだ…。

  • 自分が全く知らない分野を、さらっとこなす男性って本当にかっこいいですよね。全く好意を持たない男性だとしてもキュンとしてしまうと思います。これからの2人の展開に期待です。

  • 音楽だけが取り柄の彼女が、音楽だけが取り柄の彼だと思っていたら大間違いでした。彼のテキパキとした行動や逞しい体型に驚き、もうこれは初恋でしょう。

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