Flowers dance

小松朋喜

読切(脚本)

Flowers dance

小松朋喜

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〇お花屋さん
女「いらっしゃい」
レオ「部隊はそいつの脳天をぶち抜く準備はできている!奴の目的を聞き出せ」

〇秘密のアジト
  数年前
  俺はある組織を何ヶ月も張っていたが目立った動きはなかった

〇西洋の市街地
  連日の疲れでフラフラになりながら帰宅していた時彼女と出会った
女「花に興味ない?」
ロイ「悪いが・・・」
女「すごくある?」
女「癒しが必要 あなた崖から飛び込みかねない」
ロイ「俺そんな顔を?」
女「彼女いる?」
ロイ「何?」
女「セールストーク勘違いしないで」
ロイ「ああ・・・」
女「彼女にどう?花言葉は愛してる キキョウは?永遠の愛」
ロイ「あの!」
女「失礼 恋人いないのね」
ロイ「いや・・・」
女「複雑?」
ロイ「仕事で会えてない」
女「今にも死にそうな顔で嫌われた?」
ロイ「きついね・・・」
女「やめれば?」
ロイ「できない」
女「カーネーション」
ロイ「渡せと?」
女「きっと気に入る」
ロイ「すまない」
女「あげると言ってない」
ロイ「いくら?」
女「お釣り持ってないの」
女「いつもはこの先の花屋にいる お釣り用意しとくわ」
ロイ「じゃあ今」
女「次でいい」
オルガ「オルガ そう言えばわかる」
ロイ「ロイだ 必ず行く」
オルガ「来なかったら通報する」
ロイ「この花の花言葉って」
オルガ「あなたが恋人に一番伝えたい言葉よ」

〇警察署の入口

〇雑誌編集部
レオ「花言葉の本で笑ってる?ついにイカれたか?早く帰って女に癒やしてもらえ」
ロイ「別れた」

〇お花屋さん
オルガ「あら」
ロイ「意味は軽蔑・拒否・拒絶」
ロイ「引っぱたかれた どうしてくれる?」
オルガ「花の魅力に騙されたあなたが悪い」
ロイ「ああ騙された 美しさに」
オルガ「フレンチご馳走したら許してくれる?」
ロイ「だめだ」
オルガ「映画?ドライブ?」
ロイ「足りない」
オルガ「高くついたわね」

〇綺麗な港町
  彼女はすぐに枯れ切った俺の心を潤すオアシスになった

〇おしゃれなリビング
オルガ「願いが一つ叶うとしたら何を願う?」
ロイ「太陽になって君を照らす」
ロイ「夜を消し去ればその笑顔をずっと見続けられる」
オルガ「言ってて恥ずかしくない?」
ロイ「君は?」
オルガ「・・・時間を止める」
ロイ「なぜ?」
オルガ「ずっとこのままでいたい」
ロイ「今この瞬間は誰にも止められないよ」

〇おしゃれなリビング
ロイ「ただいま」
オルガ「早いのね」
ロイ「用があると切り抜けた」
ロイ「やりすぎ?」
オルガ「ベタすぎ」
ロイ「返事は・・・」
オルガ「ワイン買ってくる」
オルガ「祝い事には必要でしょ」
ロイ「なら俺も」
オルガ「だめ!」
オルガ「お気に入りのお店 あなたにも知られたくない」
ロイ「・・・そう」
  それからオルガが戻ってくる事はなかった

〇おしゃれなリビング
  数日後これが届いた
ロイ(動かない時計?)
ロイ(ふざけやがって)
  八つ裂きにしたい衝動を抑えそれを棚の奥にしまった
  捨てる選択ができないのは男の弱さだ

〇雑誌編集部
レオ「アリョーナグラズコフ 組織のヒットマンだ」
レオ「モデル並みのこいつにイチコロになる気持ちはわかるがこの手のタイプをファンになると後が辛いぜ?」
ロイ「彼女が組織の連中を皆殺しにしたという証拠は?」
レオ「奴らが大事にしている金が盗まれた」
ロイ「金に異常な執着をしている組織が脅されたぐらいで吐くものか!」
レオ「じゃあ誰が盗んだと?」
レオ「我々は金の在処を知りつつ更なる証拠を掴むためあえて組織を泳がしていた まさか警察が奴の協力者とでも言いたいのか?」
ロイ「そんな事は・・・」
ロイ(あの時・・・)
レオ「まぁコインの裏表の話だ とにかくアリョーナの行方を追うぞ」

〇西洋の市街地
  アリョーナは結婚をしていた
  少しでも彼女を信じた自分に腹が立った
レオ「逃げもせずその先の花屋で奴はか弱い市民のふりをしている」
レオ「話を聞き出し何を企んでいるか突き止めろ」
ロイ(なぜまた花屋?)

〇お花屋さん
オルガ「いらっしゃい」
ロイ(しらを切っている?いや・・・)
ロイ(何故こいつは俺に近づいた?何か理由が?)
ロイ(本心を聞き出せたら・・・ だが警察にバレずにどうやって・・・)
ロイ「食事でもどう?」
ロイ「俺が君に花を選び気に入ったら食事する!」
オルガ「何を言って・・・」
ロイ(ダリア 裏切り)
ロイ(アネモネ 見捨てられた)
ロイ(アジサイ あなたは冷たい)
ロイ「悪くないだろ?」
オルガ「あなたにはこれ」
ロイ(オダマキ 愚か者 だと!?)
オルガ「男は引き際が肝心」
ロイ「言うね」
オルガ「女には色々な顔がある 男のエゴを押し付けないで」
ロイ「君に非はないと?」
オルガ「理解し難い動物だと学びなさい」
レオ「何を遊んでる!」
ロイ(くそ! 仕方ない・・・)
ロイ「聞きたい事があるんだが・・・」
オルガ「何刑事さん」
オルガ「私が殺し屋アリョーナグラズコフ」
オルガ「私がやった抵抗はしない嫌いなの手錠」
レオ「全隊!俺がそこに行くまで奴に狙いを・・・!? 待て!奴が動くぞ!」
ロイ(サザンクロス 願いを叶えて)
オルガ「どうしたの? 早く連れて・・・」
ロイ「逃げよう」
ロイ「もういい考えるな 俺が何とかする だから」
ロイ「俺と一緒に来い!」
オルガ「キザすぎ」
オルガ「残念 あなたは2番目の人よ」

〇綺麗な病室
レオ「お前が寝てる間にホッケーのシーズンがきちまったじゃねぇか」
ロイ「俺・・・胸を撃たれて」
レオ「心臓を外してる すげぇテクニックだ」
ロイ「彼女は・・・」
レオ「バッジは預かってる」
レオ「気が済むまで休暇をとれ 納得するまで戻って来るな」

〇おしゃれなリビング
  解体するとメッセージが隠されていた

〇ヨーロッパの街並み
オルガ「結婚した後彼が組織に多額の借金をしていた事を知った」
オルガ「連中は無理矢理私をヒットマンにさせた 足を洗った私を殺しの世界に戻され精神はボロボロだった」
オルガ「そんな時あなたを見た」

〇秘密のアジト
オルガ「あなたの事を組織に言わなかった だって・・・」

〇ヨーロッパの街並み
オルガ「金の在処と大切な人の居場所を記した そのお金でどうかあの人を救って欲しい」
オルガ「お願い!」
オルガの夫「何してる!早く来い!」
ロイ「君のモノだよ 好きに使うんだ」
オルガの娘「ありがとう・・・」
オルガの夫「おい!」
ロイ「安心して これからは太陽のように君をずっと見守るから だけど・・・」
ロイ「君はママの子 誰よりも強い だから逃げずに進んで」
オルガの娘「ママ知ってるの?」
ロイ「ああ どんな花よりも美しいよ」
オルガの夫「さっさと来いと・・・」
オルガの夫「誰だ?」
ロイ「誰でもない じゃ」
オルガの夫「なんだ? 貸しなさい 壊れてるが売ったらいくらか金に・・・」
オルガの娘「触らないで!」
オルガの夫「・・・は 早く来なさい」
  これでもう
  夜は来ないよね?
  
  オルガ・・・

コメント

  • オルガは苦労人ですね。貧乏人の夫のために娘のために組織で働くということは嫌でしかなかったでしょうね。自分の命を断つしか方法がなかったのでしょうか?

  • ロイとオルガのテンポのいい軽妙な会話が、まるで良質の洋画を見ているようですね。重厚なヒューマンドラマで読み応えが抜群ですね。

  • お祝いにはワイン・・といって出て行った場面で、すでに2人の間に愛が生まれていたように感じました。彼の中に自分と似たような寂しさを感じ、癒されていた最中だったんでしょうね。

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