おとして、こぼれて。

RIRI

おとして、こぼれて。(脚本)

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〇マンションの非常階段
エリ「ギャー!! 待ってー!!!!」
エリ(生きていれば、カバンの中身をぶちまける日だってあると思うよ!?)
エリ(だけど、よりにもよってテスト返却日なんて・・・)
エリ「1、2、3・・・」
エリ「あれ──!?」
エリ「テスト返しされた科目数と一致しない!?」
エリ「え!? じゃあ、あと1枚は・・・」
サトル「お嬢さん、探し物は・・・」
サトル「コレ、だったりする?」
  サトルの手元でユラユラと揺れているのは
エリ「ちょっ・・・!!」
エリ「なんで、サトルが持ってるの!?」
  紛れもなくエリの答案用紙──
サトル「そんな不審者みたいな言い方、心外だなあ」
サトル「コイツの方が舞い込んで来たのに・・・」
エリ「無駄にカッコ付けないでいいから!!  早く返してよ!!!!」
サトル「んー・・・」
サトル「恩人にそんな態度でいいのかなあ・・・」
エリ「恩人!? 何、言って・・・」
サトル「エリちゃんとしては是が非でも死守したかったんじゃないの!?」
サトル「15点の結果♪」
エリ「ちょっ・・・」
エリ「耳元で言うなー!!」
サトル「まあまあ・・・」
サトル「耳元で叫ぶなんて野蛮すぎるよ、エリちゃん♪」
エリ「人の点数に口を出す方が遥かに野蛮だから!」

〇マンションの共用廊下
サトル「時にエリちゃん」
サトル「エリちゃんはテストさえ取り返せば解決って思ってたりする?」
エリ「・・・何が言いたいのよ」
サトル「あははは・・・!!」
サトル「相変わらず察しはいいんだねえ」
エリ「・・・何よ」
エリ「年上だからって、いつもいつもバカにして」
サトル「とんでもない!!」
サトル「バカになんてしてないよ」
エリ「どーだか・・・」
サトル「本当だよ」
サトル「だからこそ、エリちゃん」
サトル「隠すより、取り返すより・・・」
サトル「僕に言うべき言葉があるんじゃないかな?」
エリ「──!?」
エリ(受験勉強、検定試験・・・)
エリ(助けてもらったことは山ほどある・・・)
エリ(そして──)
エリ(サトルの教え方が上手なことも知っている)
サトル「手遅れになるまでに助けを求めろ──」
エリ(って、サトルはいつも言っていた)
エリ(今回だって、助けを求めるべきことは明白)
エリ(だけど・・・でも・・・)
サトル「・・・エリちゃん?」
エリ「既に・・・サトルに勉強を頼むべき状況ってことは理解してる」
エリ「だけど、もう少しだけ・・・」
エリ「自力で頑張ってもいいかなあ・・・」
サトル「もちろん!!」
エリ「・・・え!? いいの!?」
サトル「だって、一番大事なのはエリちゃんのやる気だしさ」
サトル「ダメだったとしても、僕がいるしね♪」
サトル「いつでも助けを求めてよ!!」
エリ「なによ、それ・・・」
エリ(もっともっと手遅れになって泣きつくかもしれないのに・・・)
エリ(・・・お人好しすぎるのよ)
サトル「ところで、エリちゃん」
エリ「──?」
サトル「マンション中の皆んなに答案用紙を見せびらかさなくてもいいんじゃ・・・」
エリ「──!!」
エリ(私たちの姿を見て、何人か迂回してたけど・・・)
エリ(私たちの会話の邪魔をしないためじゃなくて、私のテストの点数が見えてたから!?)
エリ「うわー・・・恥ずかしすぎる・・・」
サトル「えー・・・そんなに恥ずかしがるところ!?」
エリ「恥ずかしがるところだよ・・・」
エリ(点数だけじゃない・・・)
エリ(サトルの言動に振り回されてる間に・・・)
  一緒にこぼれた恋心の存在に気付いたから

コメント

  • こんなに頼りになる優しい幼馴染がいて彼女は幸せですね!兄妹のような関係からお互いが好きだと気づくまでにそう時間がかからない・・ような予感がしました。

  • かわいい二人ですね。
    テストの答案用紙に気を取られて、周りに気づかない彼女がかわいいです。
    彼の余裕もまたかっこよくて、幸せになって欲しい二人です!

  • 解答後のテスト用紙を落とすなんて最悪です。でもそれを拾ってくれた彼氏に感謝の言葉がありません。彼女はよほど恥ずかしかったのでしょうか。恋心がこぼれてしまいましたね。

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