〇空
アデライーデ（そうか、ドミニクさん達もずっと頑張っていたんだねぇ・・・）
アデライーデ「凄いねぇ・・・ アタシもひるんでいられないよねぇ・・・」
　　魔力をわずかに練り上げて、戦言を地上のドミニクへと届ける
アデライーデ「ソイツは、貰うよッ!!!!」
　　ミスリルに渡された『装置』を操り、アデライーデは落下を減速から加速へと移行する
　　──その『装置』は、遠くから見れば片刃剣の姿をしていた
　　鉈の様に先端が幅広く平らで、刃の部分から鉤の様な突起が幾つも出ているのが特徴的だが、確かに剣の姿であった
　　だがソレは剣と言うには、はばかられるものだった
　　何故か？──

〇海岸の岩場
ドミニク将軍「戦言？ 上かっ！」
　　アデライーデの声に上空を振り返ったドミニクは──
ドミニク将軍「ぅわああぁっ!!?」
　　自らの頭をかち割ろうと振りかぶられた剣に驚き、腕で頭を守ろうとした
イスランド兵１「なにを!?」
　　だが、ソレをしたのはドミニクだけではなく、少し離れた位置の兵達も同じ様に自らの頭を庇っていた──
　　一振の剣で、何人もの頭を一度ではかち割れないハズなのに──何人もの兵達が、自らの頭にソレが迫って来ると錯覚した
　　ソレは──その装置は兵達にそう錯覚させる程に──大きかった

〇空
　　アデライーデが振りかぶったのは──
　　否、ぶら下がっている装置は、とにかく大きかった
　　その剣としての姿、柄に相当する部分の大きさだけでアデライーデよりも太くて長い
　　その柄を直接握るには、ミスリル程に巨大な手が要るだろう──
　　だがその巨大な柄からはごく小さな、人が握るに丁度良さそうな取っ手が無数に出ており、アデライーデはそのうちの二つに掴まる
　　人の掴める部分は魔力の伝達による操縦機関となっており、今アデライーデがソレを操ると──
　　巨大な装置が、捻れた
　　装置の刀身部分には、横に等分する様な切れ目が有った
　　そこが、上下で違ってズレたのだ
　　形状が変化した為に、装置が落下で受ける風の当たりが僅かに変化し、それに合わせて軌道が修正された
　　その軌道は、落下の先は大型ドーカの真正面
　　そして、その巨大装置はドーカの頭を兜割りする様に落下して──
アデライーデ「──延びろッ!!」
　　その直前に分解する
　　──壊れたのでは無い
　　壊す為に、その牙を剥いたのだ