すぐ泣く彼氏。

イチ

すぐ泣く彼氏。(脚本)

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〇部屋のベッド
小鳥遊「しくしく」
  私の彼氏はすぐに泣く
  映画を見ても
小鳥遊「えーんッ」
  小説を読んでも
小鳥遊「わーんッ」
  漫画を読んでも
小鳥遊「ひーんッ」
  子供がお使いにいったりするのを見ても
小鳥遊「グジグジッ」
  なんでそんなに泣くの?と聞いても
小鳥遊「そんなのわかんない〜」
  と言い
小鳥遊「ねぇ、ハグしてぇ〜」
  と、甘えてくる
  ズルい
  可愛いすぎるじゃないか!

〇海岸線の道路
  前からそんなに泣いてたっけ?
  うーん、思い出せない
小鳥遊「天気いいねぇ」
小鳥遊「・・・」
  あ、ヤバい
小鳥遊「て、天気良すぎて泣きそ〜」
  ダメだこりゃ
小鳥遊「危ねッ!」
小鳥遊「何、今の車!」
小鳥遊「大丈夫だった!?」
烏「ふーん」
烏「例の彼女?」
小鳥遊「烏!?」
小鳥遊「もう俺に関わんなっつっただろ」
烏「彼女、お前の過去の事、知ってんの?」
小鳥遊「ちょ、余計な事言うなって」
烏「小鳥遊は1万人の不良グループ」
烏「鳳凰会の初代総長なんだぜ」
小鳥遊「お前!いい加減にしろよ!」
烏「こんな腑抜けになっちまって」
小鳥遊「グッ!」
烏「ハッ」
烏「殴り返してこいよ」
烏「喧嘩最強のお前が、不戦の誓いとはな」
烏「ふん」
烏「またな」
烏「彼女も気をつけろよ」
小鳥遊「・・・」
小鳥遊「ごめん」
小鳥遊「家で話す、ね」

〇部屋のベッド
小鳥遊「ごめ〜ん」
小鳥遊「怖かったよねぇ〜」
  話を要約するとこうだ
  私と付き合う前まで不良グループにいて
  ヤンチャしていたという
  そしてさっきの烏と言う男が副総長で
  小鳥遊が勝手に辞めた事を快く思っていない、というのだ
小鳥遊「嫌いになったよねぇ?」
小鳥遊「うぇ〜んッ!」
  ホントにコレで総長だったのか?
小鳥遊「ん?」
小鳥遊「烏?」
烏「今から埠頭に来い」
烏「これでお終いにしてやるから」
小鳥遊「おい!勝手に」
電話「ツーツー」
小鳥遊「ごめん」
小鳥遊「俺、ケジメつけてくる!」
  え?
  大丈夫?
  何?烏、とか言う人!?
烏「悪りぃけど、アンタにも来てもらうよ」
  え、ちょっと!

〇船着き場
烏「待たせたな」
小鳥遊「ちょ、お前!なんで彼女!?」
烏「この女のせいで鳳凰会辞めたんだろ!」
烏「この女がいなければ鳳凰会はまた上手くいくんだ!」
小鳥遊「何言ってんだ!」
烏「今、鳳凰会は千手観音を見つけて 総長にしようと揉めてる」
小鳥遊「千手観音、伝説の喧嘩師──」
小鳥遊「そんなの都市伝説だろ」
烏「それにすがるくらい鳳凰会はめちゃくちゃなんだ」
烏「それもこれもお前が勝手に辞めたからだろ!」
烏「頼む!」
烏「鳳凰会に戻ってくれ!」
小鳥遊「悪ぃ、烏」
小鳥遊「俺はもう戻れない」
烏「この女がどうなってもいいのかよ!」
小鳥遊「彼女は俺が守る」
小鳥遊「俺なら好きなだけ殴れ」
烏「くっ」
燕「話終わった?」
烏「燕?」
烏「どうしてここに」
燕「説得失敗みたいっスね」
燕「でも最強の小鳥遊も喧嘩できねんじゃ いらねーっしょ?」
燕「おら」
小鳥遊「くっ」
燕「マジか!」
烏「おいやめろ!」
燕「あ、コレが例の彼女?」
燕「1万の不良のトップが」
燕「その座を捨ててまで惚れた女か」
燕「これで千手観音でも釣ってみるか」
燕「お前、車に乗れ!」
小鳥遊「おい!ふざけんな!」
烏「──これが今の鳳凰会なんだよ」
烏「悪ぃ」

〇車内
燕「へへ、悪く思うなよ」
燕「でも、なんでお前みたいな女に小鳥遊さんも」
燕「──」
燕「いや、たしかに可愛いかもだけど」
燕「──」
燕「てか、結構可愛い」
燕「──」
燕「めちゃめちゃ可愛いじゃねーか!」
燕「やべぇ、手出さねぇ自信ねぇ!」
燕「はぁはぁ」
燕「な」
小鳥遊「お前、自分が何してんのか分かってる?」
燕「嘘だろ、追いついたのかよ」
小鳥遊「この人を好きになっていいの」
小鳥遊「俺だけなんだけど」
燕「は」
燕「カッコつけやがって!」
燕「殴りも出来ねぇお前が助けられんのかよ」
燕「あ」
烏「いい加減にしろよ、燕」
燕「烏さん」
燕「なんでそこまで小鳥遊さんを」
燕「──」
燕「ふん」
燕「2人がかりでも、もう遅えけどね」
烏「あ?」
燕「もう、鳳凰会1万の中なんだわ、ココ」

〇海辺
烏「お前ら!ここで何を!」
燕「祭だよ」
烏「祭?」
燕「総長の座を懸けて殺し合いすんだよ」
燕「1番になった奴が次の総長だ!」
燕「こんだけ派手に暴れれば」
燕「千手観音が現れるかもしれない」
燕「ふふ」
燕「ついでにこの女も副賞につけるか!」
燕「まずは」
燕「元総長、」
燕「全員でかかっていいっすか?」
小鳥遊「お前ら」
燕「不戦の誓い、破るのかぁ?」
燕「あぁ、ダセェ」
燕「俺ら」
燕「ダセェ総長いらねんだわ!」
小鳥遊「・・・」
小鳥遊「ごめん、巻き込んで」
烏「すまん、小鳥遊」
烏「彼女の為に喧嘩しないって決めてたのに」
小鳥遊「ちょ、お前また余計なこと!」
小鳥遊「うん」
小鳥遊「心配しないで」
小鳥遊「これでも元喧嘩最強」
小鳥遊「君に命を捧げる」
烏「かっけぇ」
小鳥遊「お前が惚れてどーすんだよ!」
雀「まだぁ?」
梟「俺ら鳳凰会3強、少しは楽しませろよー」
鴨「死なないでね、総長?」
鴨「いや、元総長!」

〇海辺
  ──
  はぁ〜
  なんでこうなるんだろ
  もう
  いやだなぁ
小鳥遊「危ないよ!下がって!」
小鳥遊「へ?」
雀「ぐぇ!」
梟「ぐはっ!」
鴨「ウゲッ!」
「つ、強ぇぇ〜」
小鳥遊「ど、どゆこと?」
「おらぁー!!」
  キリないなぁ
  ・・・
  しょうがない
「ギャーッ!!」
燕「な、なんだこの女!?」
燕「全員のしちまった!」
燕「手ェ何本あんだよ!」
燕「た、たすけ、」
燕「か、怪物──」
小鳥遊「1人で、1万を?」
西園寺「姉御!」
小鳥遊「誰?」
西園寺「アンタが例の彼氏?」
西園寺「鳳凰会に姉御は渡さないよ!」
小鳥遊「え?」
西園寺「千手観音はうちらの頭なんだからな!」
小鳥遊「千手観音?」
小鳥遊「うちらの頭?」
小鳥遊「え?何? ちょ、手ェ引っ張って──」
西園寺「ちょ、姉御!また逃げるんっすか!」

〇朝日
小鳥遊「あはは」
小鳥遊「まさか君が千手観音でレディースの頭だったとはねぇ」
小鳥遊「あ、ごめん」
小鳥遊「あいつらが勝手に頭だと決めてるだけか」
小鳥遊「はぁ〜」
小鳥遊「でもなんか笑いすぎて」
小鳥遊「涙出てきた」
小鳥遊「──」
小鳥遊「ねぇ」
小鳥遊「ハグしてぇ〜」
小鳥遊「ぎゅ〜」
小鳥遊「え?」
小鳥遊「嫌いにならないの?って?」
小鳥遊「なる訳ないじゃん!」
小鳥遊「君の事考える度に涙出るくらい」
小鳥遊「好きなんだよ」
  ん?
  それって?
小鳥遊「漫画読んでも」
小鳥遊「映画見ても」
小鳥遊「考えるのは」
小鳥遊「君の事だけ!」
  私はその言葉を聞いて涙が込み上げてきた
小鳥遊「あ」
小鳥遊「泣いてるな〜」
小鳥遊「ハグしたげる!」
小鳥遊「ぎゅ〜」
  やっぱりズルい
  好きすぎて涙が出る
小鳥遊「あは」
小鳥遊「ぎゅ〜」
小鳥遊「俺も泣きそ」
小鳥遊「でもさ」
小鳥遊「どんだけ強くたって」
小鳥遊「守るのは俺の役だかんね?」
西園寺「姉御〜」
烏「小鳥遊〜」
小鳥遊「やべ、あいつら来た!」
小鳥遊「逃げよ!」
  手を引かれながら見た
  朝日に照らされた彼の顔が美しすぎて
  また泣きそうになった
  ──
  と思ったら
  彼はすでに泣いていた
  はぁ〜
  可愛い
  おわり

コメント

  • まさかの二人とも強かったとは(笑)
    それにしても可愛いなぁ、彼。ラストのセリフ可愛すぎて悶えちゃいました〜ああ、こんなふうに愛されたい♡
    色んな意味で最強のカップルだなぁと思いました。お幸せに✨✨

  • かわいい彼ですね、母性が働くというか何とかいうか。好きになった人の過去が現在と違いすぎると、中々受け入れるのが難しいかもしれませんが最終的にうまくいってよかったです。

  • すごくおもしろかったです。
    彼がふにゃっとかわいくて和みました!
    そんな彼に守られるのも悪くないですよね。
    強くても、好きな人に守られるのは格別ですから。

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