本編(脚本)
〇映画館のロビー
とある休日の映画館──
彼氏(?)「おまえなにバカなこと言ってんだよ!」
彼女(?)「バカはそっちじゃん、バカ!」
ほとんどひと気の失せた上映終了後のシアターの入り口で、
高校生くらいのカップルがなにやら言い争っている。
痴話ゲンカかな?
ならば、ぜひともよそでやってもらいたいものだ。
これから場内の掃除にいくのに、ひじょうに邪魔である。
彼氏(?)「あんなひょろっとしたアイドルなんかに見惚れやがって」
彼氏(?)「俺の方が数億倍カッコいいっつーの!」
彼女(?)「そっちこそ、セクシー女優に鼻の下デレーっと伸ばしてたじゃん!」
彼女(?)「うわ、ありえない、超絶キモい」
ああ、そういう類いのケンカなのね・・・。
今すぐ爆発しろ。
彼氏(?)「俺はデレッとなんかしてない!」
彼氏(?)「確かにあの女優は胸も尻もデカくて、」
彼氏(?)「あのぽってりした唇なんかめちゃくちゃエロいとは思ったけど・・・」
彼女(?)「あー!」
彼女(?)「言っちゃった」
彼女(?)「えっちな目で見たって認めた!」
彼氏(?)「おまえだって目ハートにしてたじゃん!」
彼氏(?)「あんな優男のどこがいいんだよ」
彼女(?)「優男じゃないもん!」
彼女(?)「今すっごく人気のアイドルグループのセンターなんだから」
どうでもいいけど、早く終わらせてくれないかな。
次の上映まで時間なくなっちゃうよ。
彼氏(?)「みっともなくポーッとすんなよ」
彼氏(?)「あんな男より俺の方が断然いい男だからな!」
彼女(?)「は? なに言ってんの?」
彼女(?)「そんくらいわたしが一番知ってるっつーの!」
彼女(?)「こっちも言わせてもらうけど」
彼女(?)「わたしあの女優より、ウエストは細いからね!」
彼氏(?)「知ってるわ、んなこと」
彼氏(?)「おまえは細すぎんだよ」
彼氏(?)「もう少し太れ」
彼氏(?)「心配になんだろ」
彼女(?)「心配はわたしのセリフなんですけど」
彼女(?)「いっつも色んなところで女の子に声かけられて」
彼氏(?)「別に興味ねえよ、そんなの」
彼氏(?)「つーか、あんな女優より」
彼氏(?)「おまえの方がよっぽど可愛いに決まってんだろ!」
彼女(?)「そっちだって無駄に整った顔してんじゃないわよ」
彼女(?)「あんたのせいで映画に全然集中できなかったじゃない」
彼女(?)「こんなのが幼馴染だなんて最悪!」
彼氏(?)「俺だってなぁ!」
彼氏(?)「おまえみたいな可愛いの塊みたいなやつが幼馴染なんて、気苦労しかねえよ」
彼氏(?)「隣で目キラキラさせやがって」
彼氏(?)「眩しいんだよ!」
彼女(?)「うっさいバーカ!」
彼氏(?)「バカっつー方がバーカ!」
「バーカ、バーカ!!」
カップルはふんとそっぽを向いたあと、ようやく去っていった。
あ、手は繋いでいかれるんですね。
あはは
爆 ぜ ろ
〇商業ビル
もしこれから映画を鑑賞されるという方がいたら、
ぜひとも頭の隅に留めていただきたい。
上映後は速やかにご退場を。
入り口付近でのご歓談は、別のお客様のご迷惑にもなりますので、お控えくださいますよう。
痴話ゲンカはどうぞ、映画館の外で、
二人きりで、
ゆっくりと、
お楽しみくださいませ。
・・・あれ?
そういえば今の二人、幼馴染って言いました?
・・・
永遠にやってろ。
なんでしょう、この痴話ゲンカは、、、お互いの好きすぎる感情を攻撃的にぶつけてるバカップルですね。しかも幼馴染ってことは付き合ってないってことですか?色々とツッコミたくなりますが、まずは”他所でやってくれ”ですね。
ケンカじゃなくて新手ののろけかっ!途中からとっても微笑ましくニタニタしながら見てました。個人的に、作者さん?掃除係さん?のツッコミがツボでした。こういう作品大好きです。
喧嘩の内容がすごいですね。
お互いのことを褒めてばかり!笑
これって聞いてるこっちから見ると、イチャイチャの延長ですよね。
でも、幸せなカップルでいいと思いました!