〇荒廃した教会
桐谷凍夜「さてと、じゃあ俺はアイテムでも回収しにいくかね」
「えっ・・・ もう行っちゃうの」
シスター「一人でいるのは寂しい」
桐谷凍夜「一人が寂しいなら化け物がいるだろ」
桐谷凍夜「あいつらに相手してもらえよ」
シスター「化け物じゃない！天使！」
シスター「あの子たちは私の天使なの！」
桐谷凍夜「天使ねえ・・・ 俺には悪魔にしか見えねえが」
シスター「ねえ凍夜・・・ 今回は私もついてくよ」
シスター「私がいた方が心強いでしょ・・・？」
桐谷凍夜「まあ確かにそうだけど」
桐谷凍夜「あんまり俺とお前が繋がってるってことを他人に知られたくないんだよな」
シスター「え・・・それってどういう」
桐谷凍夜「いや、このゲームって何度も繰り返すだけあって情報戦の側面が強いからさ、切り札は大事に取っておきたいんだよ」
シスター「あっ・・・そういうこと」
シスター「分かった」
シスター「私は凍夜の切り札・・・ 前に言われた通り、ここで身を潜めておくよ・・・」
桐谷凍夜「さんきゅな」
桐谷凍夜「時間までには一回戻ってくるわ」
シスター「・・・♡」

〇荒廃した街
桐谷凍夜「・・・」

〇荒れた倉庫
風見陽「ふぅ」
風見陽「あっ凍夜・・・」
桐谷凍夜「響は？」
風見陽「倉木くんなら大丈夫だよ」
風見陽「私が囮となって化け物から守ってやったのだ！」
桐谷凍夜「そうか、良かった」
桐谷凍夜「でもお前一人でどうやって倒した？」
風見陽「え・・・それはまあ、アイテム」
桐谷凍夜「・・・」
桐谷凍夜「薄々感じてたんだが、お前そっち側だろ」
風見陽「えっ、何で？」
桐谷凍夜「何でってそのままの意味だよ」
桐谷凍夜「以前から化け物がお前を襲わないような気がしていて、今回の流れでそれを確信した」
風見陽「・・・」
風見陽「じゃあ仮にそうだったとして、何か不都合でもあるの」
風見陽「私実際、今まで２人を助けてるわけだけど」
桐谷凍夜「・・・」
桐谷凍夜「お前のことだから上手く俺らから信用稼いで、最後にそれを利用するんじゃねーか」
風見陽「・・・」
風見陽「私って凍夜にそんなふうに思われてるんだ」
桐谷凍夜「だってお前賢いし」
風見陽「賢い人は裏切るみたいなその考え方、賢くないよ」
桐谷凍夜「お前がバカだったら安心できるんだけどな」
風見陽「・・・」

〇荒廃した街
　　バカは信用できるが
　　賢い奴は信用できない
　　「賢い」は「この世の仕組みを理解している」とも言い換えられ、
　　「この世の仕組みを理解している」は搾取する側であることを意味する
　　この世は同じレート帯に初心者と熟練者が放り込まれているようなもので、
　　スコアを伸ばす上で初心者狩りが最も賢い戦略であることを熟練者たちは理解している
　　強い奴が弱い奴を狩る
　　元々この世界にゲームバランスなんてもんは存在しねーんだよ
桐谷凍夜「そういや・・・響は大丈夫かな」
桐谷凍夜「あいつバカだから・・・ 誰かに利用されてねーと良いけど」

〇寂れた村
アリス「♪」
アリス「あっ、お兄ちゃん〜」
倉木響「よぉアリスちゃん！」
倉木響「他の２人は？」
アリス「んー？まだ来てないよー？」
倉木響「そうか・・・」
？？？「倉木さん〜アリスさん〜」
綾瀬天紀「お待たせしました」
ジャム「おお！キュートな方たちですネ！」
アリス「綾瀬お兄ちゃんおはよ〜」
倉木響「ん？その人は・・・？」
ジャム「私、ジャムと申しまーす」
ジャム「職業はパン屋デース！ よろしくお願いしまーす！」
アリス「わあい！アリス、パン好き〜」
倉木響「俺は倉木響。高校生です」
アリス「パン屋さんも一緒に鬼退治するの〜？」
ジャム「ホワッツ？鬼退治？」
綾瀬天紀「ジャムさんはここに来る途中に会いました」
綾瀬天紀「我々と同じように繰り返してるらしいです」
ジャム「鬼退治とは日本の昔話ですか〜？」
アリス「鬼をやっつけるんだよ〜！ 鬼はね〜、化け物を操るの！」
倉木響「鬼ってのは俺たちが勝手にそう呼んでるだけですけど」
ジャム「おお！良いですね！ 私も鬼退治したいです！」
綾瀬天紀「そういえば前回聞きそびれたのですが、倉木さんには他に仲間がどうとか・・・」
倉木響「ああそれなんですけどね・・・」
倉木響「俺には２人高校生のダチがいたんですが、前回のループではぐれてそれっきりなんですよ」
綾瀬天紀「なるほど ではその御二方ともいつか合流しましょう」
綾瀬天紀「・・・ところで、マカロンさんの姿がまだお見えになっていないようですが」
ジャム「マカロン〜？焼き菓子デスか？」
倉木響「マカロンの姉貴はまだ来てないですね」
アリス「アイテム拾ってるんじゃないかな〜」
アリス「マカロンちゃん、アイテムの場所いっぱい知ってるし」
倉木響「おお、それは心強い」
綾瀬天紀「我々も最低限のアイテムは集めておきますか この集落にもいくつか落ちているので」
ジャム「イェース♪」

〇古びた神社
　　がさごそ
マカロン「・・・」
？？？「お〜い、そこの姉ちゃん〜 何やってんだ〜」
マカロン「・・・」
ルーイ「開始早々アイテム集めか〜 ったく精が出るねぇ」
ルーイ「それ『対象：人間以外』なら俺のアイテムと交換しねえ？」
マカロン「アイテムを拾った場所までセットで教えてくれないとその取引成立しないけど」
ルーイ「カッハッハ！細けえ女だなぁ」
ルーイ「俺はんなもんいちいち覚えてねーわ」
マカロン「細かいところに目を向けないと生き残れないんだけどね」
マカロン「『対象：人間以外』を欲しがるってことは君は「人間側」なのかな？」
ルーイ「んなもん当たり前だろ 俺をゾンビ共と一緒にすんじゃねーよ」
マカロン「ゾンビ？」
ルーイ「ゾンビはゾンビだろぉ 今もてめえの後ろにいるぞぉ？」
見すぼらしい男性「・・・」
マカロン「この人がゾンビなの？」
見すぼらしい男性「・・・」
　　きゅいーーーーん
マカロン「!」
ルーイ「ひゃっはっは」
ルーイ「おめー、そのアイテム俺によこせ」
マカロン「・・・」
化け物「きゅいーん」
見すぼらしい男性「ああ・・・」
見すぼらしい男性「くぅ・・・」
ルーイ「あ？」
ルーイ「んだてめぇコラ」
マカロン「やっぱりあんたには効かないか・・・」
マカロン「あんた、化け物側の奴と組んでるの？」
ルーイ「組んでるだぁ？ 戯けたこと言ってんじゃねーよブスが」
ルーイ「そいつは俺の奴隷だわ」
ルーイ「どこをどう見たら俺とそいつが対等に見えんだよぉ？」
マカロン「・・・」
ルーイ「あぁ？ナメてんじゃねーぞクソアマァ！ あと俺は「あんた」じゃなくてルーイ様だかんなぁ！」
　　きゅいーーーーーーん
「きゅいーん」
ルーイ「あ？」
ルーイ「てめー勝手に呼んでんじゃねーよジジイ」
見すぼらしい男性「うぅ・・・」
見すぼらしい男性「ちが・・・ワシじゃ・・・」
ルーイ「うるせえ」
マカロン「・・・」
ルーイ「ったくめんどくせぇなあ こんなにいっぱい呼びやがって」
？？？「──」
ルーイ「あ？なんだあいつ」
？？？「敵発見──」
？？？「排除を開始します──」
　　ミッション「敵を殲滅せよ」
　　
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　　生存者210名