深町くんは伊達男

みねの・おーはし

読切(脚本)

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〇おしゃれな大学
深町くん「キラキラした学生たちで賑わうキャンパスが眩しくて」
深町くん「僕はそっと目を伏せる」

〇講義室
深町くん「人と話すのが苦手な僕は」
深町くん「一番後ろの窓際でひとりぼっち」
教授「授業を始めるぞ」
深町くん「いつもと同じ」
深町くん「変わり映えしない毎日」
教授「ではこの問題の答えは?」
教授「そこの、一番後ろの」
深町くん「えっ、あ・・・僕?」
教授「あー、名前・・・何だっけ」
学生1「あんな奴いた?」
学生2「どこにでもいそう」
学生1「ははっ!言えてる」
教授「静かに!」
教授「この問題わかる者、おらんのか!?」
深町くん「僕のことなんて誰も・・・」
鈴木さん「黒板、見える?」
深町くん「えっ・・・」
鈴木さん「あの先生、字ちっちゃいから」
鈴木さん「見えなかったら答えられないよね」
深町くん「あ、いやっ、その・・・」
鈴木さん「私も目、悪いから見えない時あるし」
鈴木さん「深町くんもそうなのかなって」
深町くん「名前・・・どうして・・・」
鈴木さん「わたし、みんなの名前覚えちゃうタイプで」
鈴木さん「勝手にごめんね・・・」
深町くん「そ、そんな!謝らないでください」
深町くん「・・・鈴木さん」
鈴木さん「深町くんも同じタイプだ」
深町くん「ふふ・・・」

〇講義室
深町くん「それから一番後ろの窓際には」
深町くん「僕」
深町くん「そして隣には」
鈴木さん「深町くん、さっきのとこ見えた?」
鈴木さん「今日ちょっと暗いよね」
深町くん「僕にノートを見せてくれる鈴木さん」
深町くん「あ、ありがとうございます」
鈴木さん「どういたしまして」
鈴木さん「でも、あんまり見えにくいならもう少し前に座ったほうが」
深町くん「・・・好きなんです」
深町くん「・・・ここの席」
鈴木さん「一番後ろの窓際って良いよね」
深町くん「本当に好きなのは、君だって言ったら」
深町くん「君はどんな顔をするんだろう」

〇講義室
鈴木さん「深町くん、また明日ね」
深町くん「さ、さようなら」
深町くん「はぁ・・・」
学生1「鈴木ってさ、どう思う?」
学生2「眼鏡の?地味よな」
学生1「と思うじゃん?俺、意外とアリかも」
学生2「簡単にイケそうってだけだろ」
学生1「人聞き悪りぃな」
学生2「まぁ狙ってみれば?」
学生1「おっし、見てろよ」
深町くん「お前らなんかに・・・」
学生1「・・・誰かいたの?」
学生2「・・・さあ?」
学生1&2「・・・怖っ」

〇階段の踊り場
深町くん「待って!!」
鈴木さん「深町くん、どうしたの!?」
深町くん「僕、言いたいことがっ!!」
深町くん「おわっ!!」
鈴木さん「危ない!!」
鈴木さん「大丈夫?」
深町くん「痛ったたたた・・・」
鈴木さん「あっ、眼鏡が!!」
深町くん「割れちゃってますね・・・」
鈴木さん「どうしよう」
深町くん「・・・大丈夫です」
鈴木さん「でも見えなかったら困るでしょ?」
深町くん「これ、伊達眼鏡なんです」
鈴木さん「どういうこと?」
深町くん「僕、コミュニケーションが苦手で」
深町くん「上手に話しも出来ないし、人と目を合わせるのも緊張しちゃうんです」
深町くん「眼鏡をかけてれば少しは自信持っていられるかなと思ったんですけど」
深町くん「全然うまくいきませんね・・・」
鈴木さん「黒板、見えにくいって」
深町くん「嘘をついてました」
鈴木さん「なんで、そんな嘘?」
深町くん「君の隣が特等席だったから」
鈴木さん「えっ!?」
深町くん「騙すような真似をしたことは謝ります」
深町くん「すみませんでした」
鈴木さん「そ、そんな・・・確かにびっくりはしたけど」
深町くん「優しいですね」
鈴木さん「・・・・・・・・・」
鈴木さん「わたしだって」
鈴木さん「誰にでも優しいわけじゃ、ない」
深町くん「えっ!?」
深町くん「伊達眼鏡はもう要りません」
深町くん「今までレンズ越しだったから」
深町くん「もっとちゃんと見たいです」
深町くん「君のこと」
鈴木さん「ふ、深町くん!?」
鈴木さん「あの、ちょっと、顔が近いような・・・」
深町くん「・・・ダメですか?」
鈴木さん「うぅ・・・」
鈴木さん「目を合わせると緊張するなんて」
鈴木さん「それも嘘なんでしょー!?」
深町くん「ふはっ!」
深町くん「そんなことありませんよ」
鈴木さん「本当ー?」
深町くん「だってこんなに」
深町くん「僕の心臓が叫んでる!!」

コメント

  • 僕が一番彼女を…!
    という、深町くんに芽生えた気持ちにキュンしました。
    男の子よなぁ……

  • 周りからは地味目だと思われてる2人だけど、実はお互いに凛とした性格の持ち主だというシンパシーを感じていたんでしょうね。水面下で育む愛って、なんだかとても魅力的です。

  • 淡い気持ちの可愛いお話でした~。
    深町くん、駆け出したのはかっこ良かったのにドジッぷりが可愛くて、思わずふふっとなりました。
    この二人、きっとこっそり愛を育んでいくんだろうなぁ。講義中の机の下で、手繋いじゃったりするんじゃないかなぁ、なんて勝手に妄想が広がってしまいました(笑)
    素敵なお話をありがとうございました(^^)

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