江田ナルオと10人の美少女

水野 七緒

読切(脚本)

江田ナルオと10人の美少女

水野 七緒

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〇黒
???「──ナルオについて聞きたい?」

〇中東の街
証言者1「いいけど、なんで私に?」
証言者1「ああ、もしかして私が あいつの「最初の女」だったから?」
証言者1「ハハ、いい響きだよね 「最初の女」って」
証言者1「で、もって被害者第1号」
証言者1「ほんと、あいつには もてあそばれたよ」
証言者1「私のこと、大切にするって 約束してくれたくせに」
証言者1「──捨てられた理由?」
証言者1「他に、気になる女が できたからでしょ」
証言者1「たしか 年上の「癒やし系」?」
証言者1「ナルオのことは 私よりもその女のほうが 詳しいかもね」

〇森の中の小屋
証言者2「ええ、その「年上癒やし系」は 私のことですわ」
証言者2「でも、私もそれほど 長いお付き合いではありませんの」
証言者2「きっと、私では 物足りなかったのでしょうね」
証言者2「すぐに、他の女の子たちに 夢中になってしまいましたし」

〇ヨーロッパの街並み
証言者3「江田? ああ、あのクソ男」
証言者3「今更あいつのことなんて 思い出したくないんだけど」
証言者4「ダ、ダメだよ、そんな言い方」
証言者4「私たち、ナルくんに お世話になったじゃない」
証言者3「それは、あんただけじゃん」
証言者3「あたしは違う むしろ被害者」
証言者3「あいつのせいで ジョブチェンジまでさせられてさ」
証言者3「本当は、賢者志望だったのに」
証言者4「あ、あの ナルくんは、私たちのこと 嫌いになったわけじゃないんです」
証言者4「ただ、この世界は 合わなかったみたいで」
証言者4「だから 現代に戻っちゃったのかなーって」

〇女性の部屋
証言者5「──は? ナルについて聞きたい?」
証言者5「知らない、あんなやつ もうずっと会ってないし」
証言者5「ほんとムカつく」
証言者5「アタシのこと「最高の妹だ」 って言ってくれたくせに」
証言者5「すぐに他の女に 夢中になっちゃってさ」
証言者5「しかも、あんなおばさんとか ほんっと、サイアク」

〇教室
証言者6「──おばさん? 私が?」
証言者6「アハハ・・・たしかに 中学生から見たらおばさんかも もうすぐ成人式だし」
証言者6「でも、やっぱ18歳で成人って 早すぎだよね」
証言者6「そんな自覚ないもん」
証言者6「たぶん、江田も そこで迷ったんだよね」
証言者6「私のこと、子どもか大人か 考えすぎてブレたっていうか」
証言者6「いっそ、16歳くらいの設定に してくれればよかったのに」
証言者6「──あ、だから次のヒロインは 「16歳・幼なじみ」なのかな」
証言者6「いいな、うらやましい」

〇駅のホーム
証言者7「──ハイ、私が 16歳の幼なじみっす」
証言者7「たしかに 江田くんとの付き合いは 今のとこ最長っすね」
証言者7「なんだかんだで半年くらい?」
証言者7「文字数だと 12万文字くらいっす」
証言者7「──長く続いた理由?」
証言者7「ヒロインの「私」に モデルがいたせいっすね」
証言者7「本人「めちゃくちゃ筆がのる」 って嬉しそうだったし」
証言者7「けど、途中でキャラクター 変えちゃったんっすよね」
証言者7「なんか、書いてて 恥ずかしくなってきたとかで」
証言者7「そのせいで、今じゃ 私、こんな喋り方っすよ」
証言者7「絶対、前のほうがよかったのに」

〇西洋の円卓会議
証言者8「──は? あんた ナルオの知り合い?」
証言者8「だったら、あいつに 忠告してやってくれよ」
証言者8「キャラクター表くらい きっちり作れって」
証言者8「そういうの適当にするから レビューでもボコボコに・・・」
証言者8「うっ、ううっ・・・」
証言者8「でも、皆もひどいよね レビューで厳しいことばっか 言って・・・」
証言者8「たしかに私 キャラ設定が適当すぎて いつも情緒不安定だけど」
証言者8「だからって、あんな・・・」
証言者8「って、誰が泣くかー!」
証言者8「おいらは 泣き虫キャラじゃねーんだ!」
証言者8「とにかく設定表を作れ! これ以上、情緒不安定にさせるな!」
証言者8「聞いてるか、ナルオ!」
証言者8「今すぐ、お前のヒロインと ちゃんと向き合え!」

〇ブリーフィングルーム
証言者9「○×△××○・・・」
証言者9「○××△★★・・・」
証言者9「★□○××! △××★□□!」

〇中東の街
証言者1「聞いてる、ナルオ?」

〇森の中の小屋
証言者2「早く続きを 書いてくださいな」

〇ヨーロッパの街並み
証言者3「いつまで放置する気だよ!」
証言者4「あ、あの 無理のない範囲でいいんで」

〇女性の部屋
証言者5「それとも アタシのこと忘れた?」

〇教室
証言者6「アハハ、そっか 忘れられちゃったんだね、私」

〇駅のホーム
証言者7「ひどい話っすね」

〇西洋の円卓会議
証言者8「ふざけんな! おいらは許さないぞ!」

〇ブリーフィングルーム
証言者9「○×△△×★○!」

〇怪しい部屋
江田ナルオ「うわあっ」
江田ナルオ「はぁ・・・はぁ・・・ 夢、だよな・・・」
江田ナルオ「はぁぁ・・・」
江田ナルオ「ごめん、みんな 最後まで書けなくて」
江田ナルオ(やっぱ、俺に 小説なんて無理なんだ)
江田ナルオ(投稿しても、すぐに ボコボコにされるし・・・)
凜「ナールちゃん!」
江田ナルオ「凜!」
凜「どうしたの 汗びっしょりだよ?」
江田ナルオ「ちょっと 夢見が悪かったから・・・」
江田ナルオ「って、なんで お前がここにいるんだよ!」
凜「いいじゃん うちら幼なじみなんだし」
江田ナルオ「よくねぇよ!」
江田ナルオ「ここには 見られたくないものとか あるんだよ」
凜「へぇ、それって小説のこと?」
凜「知ってるよ ナルちゃんが小説書いてるの」
凜「だって私 古参のファンだもん」
江田ナルオ「・・・え」
凜「ちっちゃいころ 私が風邪で寝込んでいると」
凜「ナルちゃん、枕元で いつもいろんな物語を作って 話してくれたでしょ」
凜「あのときから ずーっとファンなんだよ」
江田ナルオ(凜・・・)
凜「で、そろそろ読ませてくれる?」
江田ナルオ「ダメだ!」
凜「どうして?」
江田ナルオ「俺、最後まで書いたことが 一度もないんだ」
江田ナルオ「どれも書きかけで そんなのが8作もあって」
凜「じゃあ、少なくとも 8作の小説を読めるんだね」
江田ナルオ「だから どれも書きかけだって」
凜「でも、あきらめたわけじゃ ないんでしょ」
凜「頭のなかには ちゃーんと皆の物語が あるんでしょ」
凜「楽しみだなぁ 江田ナルオ先生の作品を 8作品も読めるの」
江田ナルオ(楽しみ・・・か)
江田ナルオ「わかった じゃあ、もうちょっと頑張ってみる」
江田ナルオ「それで8作全部 最後まで書き上げたら そのときは・・・」
凜「そのときは?」
江田ナルオ「いや、まだ秘密だ」
江田ナルオ「とにかく頑張るぞー!」
凜「おーっ!」
江田ナルオ(8作全部書き上げたら 今度こそ 凜を10人目のヒロインに・・・)

コメント

  • 最初はタイトルが似ているあの映画のパロディなのかな、と思いましたが。証言者6〜7でナルオの正体が判明するタイミングが絶妙でしたね。リアルの凛ちゃんがあの子なので「ほ〜っ、だからか、なるほどぉ〜」となりました。

  • たくさんの女の子達をもて遊んで…!と思いましたが違いましたね笑
    違った意味でもて遊んでるのかもしれませんが…。
    一つを完成させるより中途半端が多くなるのはあるあるですね…。

  • キャラクター紹介に笑って、話が進むにつれて主人公の正体がわからなくなってきて、最後のくだりですっきりしました。意外な結末。面白かったです。

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