恋は卒業式の後で(脚本)
〇木造校舎の廊下
私「(先生、待ってるかな? あれから一年半か。)」
私「(あの時の先生の顔。思い出しただけでにやけてきちゃう。)」
制服の花を揺らしながら、廊下を歩く。
そう、あれは一年半前のこと!
〇本棚のある部屋
先生「今日はとても楽しかった!タピオカっておいしいんだね!」
先生「あちこち連れて行ってくれてありがとう!」
私「・・・」
先生「どうしたの?」
私「あっ、ごめんなさい」
私「そうですね。おいしかったですね」
私「・・・」
先生「・・・」
先生「大丈夫?話聞くよ?」
私「・・・」
じっと先生の目を見る「私」
先生「(これは・・・!! なんだ、かわいいことで悩んでるじゃないか)」
目をつむり顔を近づける「先生」
手で先生の顔を押し返す「私」
私「違います!そうじゃなくて!」
私「真剣な話なんです!」
先生「え!何!?」
私「今日、デートの途中・・・」
私「梨花に偶然会ったじゃないですか?」
先生「そうだね。隣のクラスの子だっけ?」
私「先生 ことの重大さに気付いてないですよね?」
私「私たちの関係が学校にばれたらどうなるか分かってます?」
先生「祝福してくれるかな?」
私「クビですよ!クビ! 学校の先生が生徒に手を出すのは 社会的にはタブーなんです!!」
先生「そっか!! それは困るよ!」
私「本当に分かってなかったんですね・・・」
私「どおりで休み時間に平気で話しかけてくるし、授業中によく当ててくるし――、」
私「最近は校内放送で呼び出してくるわけですね!!」
先生「だって──」
先生「お話ししたいし・・・」
私「この前、友達に疑われてごまかしたんですよ?」
私「このままだと噂になるのも時間の問題です!」
先生「そうだよね。僕のためにありがとう。 ごめんね」
「・・・」
私「なので・・・」
私「別れましょう・・・」
先生「ええ! ちょっと待って!!!!」
先生「そんな・・・いやだよ・・・」
先生「ばれないように気を付けるから!!」
私「落ち着いて下さい。 最後まで話を聞いて・・・」
私「嫌いになったわけじゃないの」
「・・・」
私「先生は気を付けても同じことをすると思うんです」
私「なので、一度関係性を変えて、けじめをつけましょう・・・」
私「先生はほんとにいい先生だと思うから、クビになってほしくない」
私「だから、私が卒業するまで待ってほしいな」
先生「・・・」
先生「そうだ 確かにその通りだ・・・」
先生「ただ、卒業までとなると・・・後・・・」
私「大体1年半ですね!」
私「私への愛が『本物』なら待てますよね?」
先生「・・・」
先生「・・・」
先生「分かった!待つよ!」
〇教室
先生「・・・」
『現在』
先生「遅いなぁ」
ガラガラ
私「先生! お待たせ!」
私「先生 ごめんなさい。待たせちゃって」
私「でも、一年半も待てたんだから、このくらい平気じゃないですか?」
「私」の目を見ない「先生」
先生「そんなことないよ。 卒業式は何時間も前に終わったのに・・・」
私「そりゃあ、私にだって友達がいますもん」
私「卒アルに名前書き合って、思い出話してたら2,3時間はかかります」
「・・・」
私「でも、待っててくれてありがとう!!」
「先生」、やっと「私」の目を見る
先生「いいえ。 『本物』ですから当然です」
「私」、先生が卒業証書を入れる筒を持っていることに気付く。
私「私の筒、先生が持ってたんですね 失くしたと思ってました」
先生「うん。僕たちらの時間が再開する大切な瞬間だから直接渡したくて」
私「へ~。先生もエモいことするんですね。結構うれしいかも」
先生「少しでも思い出に残るような日にしたかったんだ」
私「でも、勝手に人のものとるなんて・・・」
先生「ごめん、ごめん」
「・・・」
先生「それで、その・・・」
先生「これで・・・ 僕らはまた恋人同士だよね?」
私「──!! 意外とはっきり聞くんですね?」
私「はい。そうです 先生が変わらず私のことが好きならですけど」
先生「好きだよ 愛してる」
少しずつ近づく二人
「・・・」
「・・・」
先生「えーと・・・」
先生「改めて卒業おめでとう!!」
証書を入れる筒を差し出す。
私「ありがとうございます!」
「私」、丁寧に両手で筒を受け取る
「カラン」
筒の中から音がする
私「?」
私「先生 何か入ってますよ?」
先生「開けてみてごらん」
「私」、筒をひっくり返す
何かキラキラしたものが飛び出してくる
私「!!」
私「先生・・・これ──!!」
先生「愛してる 結婚しよう」
私「──!!」
私「うれしいです!」
私「私のこと・・・ ここまで思っていてくれたなんて・・・」
先生「僕と幸せな家庭を築こう」
「・・・」
私「でも・・・ダメです・・・」
先生「ええ!」
私「だって私大学生になるんですよ?」
私「確かに 結婚できる年齢ですけど、」
私「学生の間は勉強に集中したいなと・・・」
「・・・」
私「なので! 結婚は、また卒業の後で!!」
先生「そんなぁ・・・」
中々キザなことをしますねぇ!
何はともあれずっと想い続けている二人は運命の相手なんだろうなぁと思います。
大学生になっても気持ちが変わらないことを祈ります…。
あの筒に指輪入れてるなんて、先生エモいですね!笑
ですが、しっかり者のヒロインの、ちょっと小悪魔な感じも良きでした。
素敵なキュンをありがとうございました(^^)
先生が天然ピュアピュアすぎて、どっちが先生でどっちが生徒なのかわからないような関係性なのもまた、おもしろかったです。先生お預けくらってかわいそうだけど、なんだか素直に待っててくれそうだな〜。