エピソード1(脚本)
〇大学の広場
鈴木「金曜の夜、土谷さんと二人でご飯行ったんだってな」
実咲「えっ」
鈴木「友だちがさ、個室から二人が出てくるのを見たって。 彼氏がいても、男と二人で個室に入るの平気なんだな」
実咲「ちょっと待って! あれは佐藤さんが急に来られなくなって。 個室なのもそこに案内されただけで!」
実咲「確かに『個室かぁ』とは思ったけど 食事するだけだから・・・ それに土谷さんはそんな」
鈴木「わかった。もういいから。別れよう」
実咲「へ!?」
鈴木「今までありがとな。んじゃ」
実咲「えっ・・・ちょっと待ってよ! ・・・ねぇ!」
二十歳の大学生 実咲は、大学のキャンパス内で彼氏に振られ、その場面を幼馴染みの颯太に見られてしまった。
実咲が振られてから、颯太は彼女を励まそうとショッピングや遊園地など、色んな場所に連れて行った。
〇女の子の一人部屋
颯太から実咲にメールが届いた。
金曜予定ないよな?
午後の授業休みになった。
14時駅集合
実咲(私の予定はない前提・・・ もちろんないけどっ!!)
〇駅のホーム
金曜日
実咲「今日はどこ行くの?」
颯太「ショッピングモール」
実咲「何か買うの? あっ 帽子欲しいって言ってたよね!」
颯太「あ~。 それは今度でいいや」
颯太「買い物じゃなくて・・・ ヒントは上の方の階」
実咲「・・・ああっ!映画?」
颯太「うん」
実咲「映画久しぶりだなぁ。 何観る?」
颯太「これ」
颯太はスマホの画面を実咲に見せた。
実咲「あ!CMで見たことある! へぇ~!楽しみ!」
〇映画館のロビー
映画を観終わった後、実咲は公開中の映画のチラシに目をやった。
実咲「颯太、今度これ観ない?」
颯太「おう、いいじゃん」
〇テーブル席
二人は夕食を食べにレストランに入った。
颯太「なぁ。 さっき言ってた映画、 この後レートショーで観ねぇ?」
実咲「えっ!今日!? 同じ日に2本も観たことない!」
颯太「俺も。 そういうのちょっとやってみたくね?」
実咲「・・・確かに! わぁ~!何か贅沢~!」
〇映画館のロビー
レイトショーを観終わると、実咲はお手洗いに行った。
実咲「ごめん、お待たせ!」
颯太「ううん。 あのさ、実咲・・・ごめん」
颯太「俺終わる時間勘違いしてて、 実咲の終電って・・・」
実咲は慌てて時計を見た。
実咲「・・・まじか! ひゃーどうしよう!!」
実咲「いやでも・・・ 途中までは電車あるから、そこまで お母さんに車で迎えに来てもらえば・・・」
颯太「さすがにお母さん気の毒じゃね?」
実咲「うぅ・・・ そうなんだけど・・・」
颯太「俺んち泊まれば?」
実咲「へっ!?」
颯太「それが一番いいと思うんだけど」
実咲「え・・・でも・・・」
颯太「行くぞ。 これ乗れなかったらまじでやばいから」
実咲「あ、うん!」
二人は小走りで駅に向かった。
〇男の子の一人部屋
二人は颯太の家に着いた。
颯太はタオルと着替えを実咲に渡した。
颯太「シャンプーとか好きに使っていいから」
実咲「いやいや! 後でいいから!」
実咲「颯太お先どうぞ!」
颯太「そんな遠慮要らんから。 はよさっぱりしてこい」
実咲「・・・うん。 ありがとう」
〇男の子の一人部屋
実咲「颯太お待たせっ シャワーありがとう!」
颯太「うん。 実咲はベッド使ってな。 俺は寝袋出すから」
実咲「私が寝袋で寝ます!!」
颯太「はいはい、 気持ちだけ受け取っとくわ。 おやすみー」
実咲「あ 颯太っ」
実咲(ベッドまで・・・ 申し訳ないなぁ・・・)
実咲はせめて、颯太が出てくるまで起きていようと思い、椅子に座って待つことにした。
〇男の子の一人部屋
颯太が風呂場から戻ると、実咲は机に伏せて寝ていた。
颯太「はぁ~・・・待たんでいいのに」
颯太は実咲の肩を優しく叩いて起こした。
実咲「・・・ん~?」
実咲「うわ、ごめんっ ・・・寝てた・・・!」
颯太「ううん。 ほら、風邪引くからベッド行くぞ」
実咲「・・・うん」
実咲は立ち上がり、ベッドへ行こうとするもつまずいて颯太の胸にダイブしてしまった。
颯太「おっと・・・大丈夫か?」
実咲「ごめんっ」
颯太は実咲の背中に触れた手の感触に違和感を抱いた。
颯太「・・・おまっ! まさかノーブラ!?」
実咲「へっ!?」
実咲「あ!や!えーと・・・ 私寝る時は着けない派で・・・」
颯太「そこは重要じゃねーから」
颯太「彼氏以外の男の家に泊まる時は・・・ ブラは着けろよなっ ってかそんな男の家には泊まるな」
実咲「え、いや、その・・・ そもそも男の人の家に泊まるの初めてで・・・」
颯太「元カレの家は?」
実咲「元カレも実家通いだったから・・・」
実咲「き、気を付けます! ・・・でも颯太じゃなかったら絶対着けてたと思う・・・それに泊まろうなんて思わないから!」
颯太「それは・・・ 俺が手を出さないって安心してるから?」
実咲「う、うん・・・」
颯太「ふーん」
実咲「・・・」
颯太は実咲を包み込むように抱き締めた。
実咲「・・・颯太?」
颯太「俺が好きでもない女を励ますために、色んなとこ連れ出すとでも思う?」
颯太「あいにく、そんなお人好しじゃないから」
実咲「あのっ・・・颯太っ・・・」
颯太「何もしねーから」
颯太「でも・・・これからは俺のこと、 異性として見てほしい」
颯太「・・・返事は?」
実咲「・・・うん」
〇女の子の一人部屋
実咲が颯太を異性として意識するのに
時間はかからなかった。
〇男の子の一人部屋
1ヶ月後
実咲「颯太、シャワーありがとう!」
颯太「おう。 んじゃ寝よっか」
颯太は実咲が胸の前を両腕で隠しているのに気づいた。
颯太「えっ・・・実咲。 ブラ着けてない?」
実咲「あっ・・・うん」
颯太「いや・・・付き合ってるからって 無防備にされると俺」
実咲「これはっ! 颯太に手を出してほしいっていう・・・ 合図・・・です」
颯太「・・・えっ!! あっ・・・おう・・・」
颯太は実咲にキスをした。
颯太「こわくなったらすぐ言えよ?」
実咲はコクンと頷いた。
二人の肌が触れ合うたび、二つの身体は
熱を帯びていった──。
読んでいてドキドキしてしまいました!
二人の関係性が徐々に詰まっていくところがなんとももどかしくて!最後は痒いところに手が届いた感じで!よかったです!
幼馴染みとの恋愛はドキドキだけじゃなく長年の安心感や温かさもありますね。お互い少しずつ歩み寄って異性としても中を深めていこうとしている最後の場面は微笑ましかったです。
手を出して欲しい合図がかわいかったです。
ずっとそばにいて、彼も長く待ったことでしょう。
それでも優しくしてくれる彼って最高ですね。