パトカーのピーポーに集まっていくピーポー

鮭さん

エピソード1(脚本)

パトカーのピーポーに集まっていくピーポー

鮭さん

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〇街中の道路
  ピーポーピーポー
  パトカー、緊急出動です。
  午後3時、白昼堂々ナイフで人を刺しまくっている人がいるようです。
  ピーポーピーポー
  住宅街にサイレンが鳴り響きます。この音が、たくさんの人の耳に入ります。
  ゾロゾロ、ゾロゾロ.....
  おっと、人々がパトカーに集まって行きます。これはどういうことでしょう。
  ブーンブーン、ブーンブーン
  おっと、車たちもパトカーに集まっていきます。
  これじゃあパトカーは動けません。あっという間にパトカーは身動きが取れなくなってしまいました。

〇通学路
  パトカーが到着しなかったので、犯人は人を刺し放題です。
  グサグサグサグサグサグサリ
  あっという間に1000人くらい刺し殺してしまいました。
  1000人くらい刺し殺したら、犯人はナイフを自分の腹に刺して自殺しました。
  きっと、満足したのでしょう。

〇街中の道路
  それにしても、パトカーが素早く現場に到着していればこんなことにはならなかったはずです。
  なぜ人々はパトカーの周りに集まり、パトカーは身動きが取れなくなってしまったのでしょう。
  パトカーの周りに集まった人々にインタビューしてみました。
警官1「あなたはなぜパトカーの周りに集まったのですか?」
人々2「だって、ピーポーピーポーと呼ぶものだから」
  なるほど。どうやらパトカーに集まった人々はサイレンのピーポーを英語のpeopleと間違ってしまい、
  自分が呼ばれているものだと考え集まってしまったようなのでした。
  これは、仕方ありません。

〇大会議室
  このようなことを防ぐためには、どうすれば良いのでしょう。再発防止委員会で様々な意見が発せられました。
警察2「サイレンの音を無くせばいいのではないか」
警察3「いや、それではパトカーが信号で止まらなきゃ行けないし、到着が遅れてしまうよ」
警官1「そもそも警察を無くせばいいのではないか」
警察3「そんなことしたら、治安がめちゃくちゃになるよ」
警察2「あなた、さっきから人の意見を否定ばっかりして。あなたもなにか意見を言うべきじゃないですか」
警察3「あなたこそ、さっきからめちゃくちゃなことばっかり言って。議論する気があるのかね」
  一触即発。人々は手に汗握りました。このままだと再発防止委員会内で殺人事件が起こってしまいそうです。
  沈黙に、包まれました。と、そこで、隅っこに座っている帽子を深くかぶった男がいいました。
謎の人「サイレンの音を変えれば良いのではないですか」
警察2「おお、素晴らしい、素晴らしい」
警察3「素晴らしい、素晴らしい」
  人々は感嘆しました。救世主の登場に、大喝采、大喝采。
  パチパチパチパチパチパチパチパチ
  この方向で議論を続けた結果、サイレンの音をタンポポにすることに決まりました。タンポポは呼ばれても集まりませんからね。

〇街中の道路
  今日もどこかで、パトカー走る。
  タンポポタンポポ、タンポポポポポ。
  みんなの安全守ります。
  タンポポタンポポ、タンポポポポポ。

コメント

  • パトカーに野次馬が集まる→サイレン音のせいだ→変えよう→タンポポポポポポ……
    このロジック、最高です!このサイレン音を聞いてみたいです!

  • パトカーのサイレンがタンポポになったら、日本がおかしくなりそうですね。
    その前に滅茶苦茶おかしくなってましたが。

  • 警察官たちが本来の職務を完璧に忘れてしまっているどころか、犯人を目の前に第六感も働かなくなっている状態が腹立たしいけどおもしろかったです。

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