片恋貧血症候群(脚本)
〇研究所の中
宮先輩「うーん・・・ここは?」
宮先輩「今、何時・・・ってもう朝!?」
宮先輩「って、あれ?後輩ちゃん?」
宮先輩「お、おはよう?何かあったの?」
後輩(アナタ)「・・・先輩、ここは研究室です。 そして、朝でも無いですよ。昼です。 貧血で倒れたんです」
宮先輩「あー、俺とうとう倒れた感じ?」
ワタシは、先輩の言葉に頷く。
宮先輩「うわぁ・・・ 本当にごめん・・・・・・」
宮先輩「そろそろ、何とかした方がいいよね?」
後輩(アナタ)「先輩。覚悟を決めて一目惚れ相手を 探しましょう」
後輩(アナタ)「それしか、治る方法無いですよ。 この”貧血”は」
宮先輩「だよね~。でも、俺が恋した相手 何処の誰か・・・・・・」
宮先輩「分からないんだよね~」
〇病院の待合室
片恋貧血症候群
正式名称 血流性突発的貧血症候群
18~23歳の男女数%のみに現れる
貧血症状
その症状が現れた男女は、
皆誰かに片思いしている事が、
論文で分かっている。
尚、症状は片思い相手と両想いになるか、失恋する事で治る。
〇研究所の中
宮先輩「っていう、 厄介な症状にかかっちゃったんだよね~」
後輩(アナタ)「先輩、本当に厄介って思ってますか?」
宮先輩「いや、思ってる、思ってるよ!?」
宮先輩「ただ、俺はこの症状になるまで あれが恋って思ってなくて・・・」
宮先輩「ねぇ、後輩ちゃん。 片恋相手を見つけずに、解決する方法 何かある?」
後輩(アナタ)「ないです」
宮先輩「ない。うん。知ってた」
宮先輩「後輩ちゃん この前から本当に 申し訳ないんだけど・・・」
後輩(アナタ)「いいですよ。 謎の女性X探し、手伝います」
後輩(アナタ)「ゼミの皆の為です。 やれるだけ、やりますよ」
宮先輩「えぇぇ・・・・・・ そこは、俺の為にって所じゃない!?」
宮先輩「でも、後輩ちゃん。ありがとね」
斯くして、ワタシと先輩の
謎の女性大捜索が開幕した。
〇講義室
後輩(アナタ)「先輩、まずは聞き込み調査です」
後輩(アナタ)「その人の特徴教えてください」
宮先輩「うーん。ほんの一瞬だったからなぁ」
宮先輩「確か、長い黒髪で・・・・・・」
宮先輩「身長は、後輩ちゃんくらい?」
宮先輩「何か落ち着く匂いがして・・・・・・」
宮先輩「俺の大切にしてた本拾ってくれて、」
宮先輩「いい子そうだった!!」
後輩(アナタ)「先輩・・・ワタシ、 早速見つけ出す自信失くしました」
宮先輩「うっ・・・・・・ 確かに、条件は広いけど」
宮先輩「見たらわかるよ?多分?」
後輩(アナタ)「取り敢えず、 周りの学生に聞いてみましょう」
後輩(アナタ)「あの~すみません、この女性を・・・」
学生A「ごめんなさい、自分以外に興味ないの」
宮先輩「えっと、少しいいですか? この特徴の女性を・・・」
学生B「さては、お前俺のハニーの浮気相手だな!?」
宮先輩「えぇ!?いや、誤解です~!!」
〇講義室
「・・・・・・・・・」
宮先輩「見事に惨敗だったね~」
宮先輩「次、どうしよっか?」
後輩(アナタ)「前向きですね・・・・・・ 先輩」
宮先輩「慣れてるからね~。 研究で。こういうトライアンドエラーには」
宮先輩「まぁ、こういうのが積み重なって 正解に辿りつくんだよ」
宮先輩「あと、一人きりじゃなくて」
宮先輩「後輩ちゃんという優秀な助手もいるしね」
後輩(アナタ)「・・・ホント、 無意識なのが、 質がわるいんだよなぁ」
宮先輩「ん?何か言った?」
後輩(アナタ)「何でもないです!! さぁ、新しい方法試しましょう!!」
ワタシは勢いよく誤魔化す。
先輩は、そんなワタシを
いつもの笑顔で見ていた。
〇図書館
それから・・・・・・
後輩(アナタ)「先輩!!大学美女図鑑です。 この中にいませんか?」
宮先輩「いないかなぁ。皆、背が高すぎるよ」
〇占いの館
宮先輩「後輩ちゃん!! 占いサークルに似た感じの子が 入ってくのを見た!!」
後輩(アナタ)「・・・・・・まさか、70代のおばあちゃん とは思いませんでしたね。先輩」
〇研究所の中
後輩(アナタ)「先輩。大丈夫ですか?」
宮先輩「うーん。大丈夫じゃないです・・・・・・」
と、トライアンドエラーと
貧血症状が繰り返されたが
結果は得られなかった。
〇研究所の中
宮先輩「よし、後輩ちゃん、実験しよう」
後輩(アナタ)「実験ですか?」
宮先輩「そ。なるだけ条件を合わせて、 あの日を再現する」
後輩(アナタ)「あぁ。確かに。 今まで調査だけに目が行ってました・・・」
宮先輩「俺も~」
宮先輩「思い出せないなら、 記憶を刺激するまでだ」
宮先輩「あと、俺達らしいしね」
というわけで、ワタシ達は
あの日を再現することになった。
〇学食
宮先輩「えっと、天気は晴れ、落とした本は これでっと・・・・・・」
後輩(アナタ)「先輩。何で日記に肝心なトコ 書いてないんですか」
宮先輩「あはは~。いやぁ、そん時は重要って 思わなかったんだよ」
宮先輩「まぁ、とりあえず始めよっか」
宮先輩「流れはさっき俺が説明した通りね」
宮先輩「じゃあ、後輩ちゃん。お願いね」
後輩(アナタ)「わかりました」
私はX役として再現に付き合った。
その時、記憶が刺激された
先輩じゃなく、ワタシの。
〇学食
数カ月前
後輩ちゃん「うーん、試しに付けられたけど」
エクステにより伸びた髪をいじる。
この時のワタシは、
友達の実験台にされていた。
後輩ちゃん「帰ろう。恥ずかしいし」
「うわっ/きゃっ」
宮先輩「あっ、すみません。大丈夫ですか?」
後輩ちゃん「えっ・・・・・・せっ、いえ、大丈夫です」
宮先輩「なら、良かったです。それじゃあ」
後輩ちゃん「・・・・・・バレてないよね」
後輩ちゃん「あっ、これは・・・・・・」
後輩ちゃん「あの、これ大切なものですよね。 落としましたよ」
そういえば、そうだった。
あの時のワタシは、バレたくない一心で
必死に顔を背け、さっさと逃げたのだ。
〇学食
後輩(アナタ)「つまり、先輩の一目惚れ相手は」
宮先輩「あぁっ!!」
後輩(アナタ)「えっ、なっなんですか?」
宮先輩「あの本が大切かなんて、 一部の人しか知らない」
宮先輩「でも、あの子は」
宮先輩「あれは、後輩ちゃんだった?」
宮先輩「えっでも、あの髪は?」
宮先輩「って、後輩ちゃん顔が赤いよ?」
後輩(アナタ)「ソレ、ワタシデス・・・」
宮先輩「・・・!?」
宮先輩「と、とりあえず、実験成功?」
宮先輩「・・・・・・その反応、 脈ありって事でいいの?」
結果:先輩、貧血症状改善
後輩ちゃん、彼氏ができる
面白い設定で、あらすじから読んでみたい!と思わせる魅力がありました。
特に、2人で一目惚れ相手を探す描写が見ていて楽しかったです。最後まであっという間に読んでしまいました。
わー、ハッピーエンドで良かったです!
もしかしたらヒロインがあの症状を発症してしまうバッドエンドになるのでは?とハラハラしていたので……(汗)
一目惚れと言っていた相手が自分だったとは。ラストのヒロインの嬉し恥ずかしな気持ちに思わず共感してキュンでした。
可愛らしい恋のはじまりのお話でした。二人の未来に幸あれ✨
先輩と後輩のやりとりがドラマの様で
一気に読破してしまいました!
病気を治すために、どっちに転ぶかと
最後までハラハラしてグッドエンドで
思わず笑顔になりました!
素敵な物語をありがとうございます!