異世界探偵登場!(脚本)
〇荒廃した教会
魔法の世界、イズミダス。
〇荒廃した教会
この世界は暗黒の大魔王の手により世界の終焉を迎えようとしていた。
〇荒廃した街
大魔王「ゴオラァアアア!」
〇ツタの絡まった倉庫
〇荒廃した街
大魔王「ファハハハハ!」
しかし、その時───
大魔王「ザウオォオォ!」
リスコル「今よ! カルサード!」
カルサード「死ね! 暗黒の大魔王!」
大魔王「ヴゲエェエェェッ!」
カルサード「滅びろ! 暗黒の大魔王!」
大魔王「ゴムドオォォオォォ!」
「ゴオォオォオォォォ!」
「オオォォォ!」
〇荒廃した街
「ォオォォォーー!」
〇荒廃した街
〇ヨーロッパの街並み
勇者カルサードと焔の魔法使いリスコルにより暗黒の大魔王は討たれ、魔法の世界、イズダミスに平和が訪れた。
〇ヨーロッパの街並み
〇闇の要塞
〇闇の要塞
〇大聖堂
人々は暗黒の大魔王から解放され、建物を直し平和を祝い、勇者カルサードと焔の魔法使いリスコルに感謝し、英雄とたたえた。
〇謁見の間
英雄、カルサードは王に請われ、清純の姫君、ミラニスと婚約し結婚が予定された。
〇黒背景
そして、────
そしてこれは、勇者に倒された大魔王と大魔王と共に残された者たちの物語。
〇魔物の巣窟
ゾル「おいたわしや、シア・ロナージャ様・・・ おからだをお休めして、一日も早く復活の日を・・・」
「・・お前は・・誰だ?」
ゾル「ロナージャ様!、お言葉を嬉しいです! わたしはゾルと申します!」
ゾル「使い魔の一匹ですが、、」
「・・副司令官のザドゥーガイは ・・今なにをしている・・・?」
〇薄暗い谷底
ゾル「ザドゥーガイ様は人間たちに追われて、暗黒の森に隠れております。。」
〇魔物の巣窟
「なぜ、ザドゥーガイが・・・?」
ゾル「人間たちのせいです・・・」
ゾル「人間たちは、弱い妖獣を襲い、強い妖獣には蟻のように徒党を組んで襲いかかります」
ゾル「今やザドゥーガイ様は人間の自己顕示欲の証明」
ゾル「「歴史に名を残す!」と人間たちはザドゥーガイ様を追い求めているのです」
ゾル「我が軍は敗走を繰り返し、沼地や溶岩地帯へと追いやられています」
「ゾル、わたしはどうも終わりのようだ・・・ 体の治癒よりも破傷の進行の方が早い・・・」
ゾル「そんな! おいたわしやシア・ロナージャ様!」
「・・・わたしの書庫に行って、一番奥の魔法書を持ってきてくれるか?」
ゾル「わかりました!、至急に!」
〇古書店
ゾル「魔法書はこれかな?」
ゾル「なになに、「この魔法書は望みと引きかえに命をうばうこともある」」
ゾル「・・・。」
ゾル「ロナージャ様・・・。」
〇魔物の巣窟
ゾル「お持ちしました!」
大魔王「そうか、ご苦労だったな」
ゾル「いえ」
ゾル「それよりロナージャ様のお顔の色が・・・。」
大魔王「人間共にやられたせいだ・・・。」
ゾル「ロナージャ様、その本はロナージャ様の命を奪いかねない危険な本かと」
大魔王「わかっている」
大魔王「しかし、わたしはカルサードを、人間を、殺すために復活するには、、これしかない、、」
大魔王「これしかないのだ!」
大魔王「ゴムドオォォォ! 我は復活と人間どもへの復讐を求める!」
ゾル「おお!、なんだこれは?!」
謎の女「こんにちは、わたしを召喚したのはあなたたちですね?」
謎の女「よろしくお願いします(^ ^)」
大魔王「・・・・・・。」
ゾル「・・・・・・。」
大魔王「女・・・。お前は魔道士・・・か?」
大魔王「わたしの体を治癒できる・・・か?」
謎の女「いえ、わたしは探偵ですので、魔法等は使えません」
謎の女「すみません(^ ^)」
ゾル「・・・・・・。」
大魔王「女、探偵というのはなんだ? 弓の名手かなにかか?」
謎の女「探偵はですね、調査が主なお仕事です なにかを調べたりする」
謎の女「この世界だと、、使い魔ですね」
大魔王「女、わたしは体を治癒してくれる魔道士か、カルサードを殺してくれる巨大な竜を求めている」
大魔王「使い魔は間に合っている」
ゾル「そうだ女!、間に合ってるぞ!」
謎の女「そうですかシア・ロナージャ? あなたは調べたいものはありませんか?」
謎の女「あなたを瀕死に追いやったカルサードの強さの秘密とか?」
謎の女「あなたは最強であり この世界で最大の叡知です」
謎の女「あなたは自分を倒せる者はいないと ご自身で一番知っていたはずです」
大魔王「・・・・・・。」
謎の女「おもしろいものをお見せしましょう」
〇汚い一人部屋
「誰だこれは?」
「この世界に来るまでのカルサードです」
「なに!」
「・・・・・・。」
「彼は引きこもりのニートといって、働きもせず一人部屋でテレビゲームばかりしているのです」
「・・・。・・・。」
「そのまま意味もなく、一人で年を老いているだけか?」
「そうです」
「・・・・・・。」
「・・・。生活はどうするのだ?、食糧は?」
〇L字キッチン
「それは彼の年老いた母親が身を粉にしてです」
「・・・・・・。」
〇通学路
「やがて彼の母親が老衰と気苦労でなくなります」
「カルサードは十年ぶりに家を出て母親の葬式の準備に」
「しかし、自分の面倒を見てくれていた母親の死は、同時に自分の生活の死も意味します」
「焦っていたのでしょう」
「カルサードは死に」
〇草原
「この世界に、イズミダスに、転生したのです」
〇魔物の巣窟
大魔王「・・・・・・。」
ゾル「・・・・・・。」
大魔王「ウヴアアアアァァァァアアアァ!」
〇魔物の巣窟
大魔王「クソオオオオォォオオオ!」
〇魔物の巣窟
大魔王「ふざけるなあああ!」
大魔王「わたしは、あんな男に倒されたのか!?」
謎の女「そういうことです」
大魔王「ヴアアァァアァァ!」
〇結婚式場の前
「今や、カルサードは我が世の春」
「清純の乙女・ミラニスがいながら、」
「すきあらば、英雄色を好む バチェラーパーティー」
〇魔物の巣窟
謎の女「いろいろお楽しみかもしれませんね」
大魔王「・・・・・・。」
謎の女「なぜだかわかりますか?」
大魔王「・・・・・・。」
謎の女「それは彼が「暗黒の大魔王、シア・ロナージャを倒した英雄」だからです」
大魔王「ヴァアァアアァア!」
大魔王「ァアァァア!」
大魔王「ァア・・・・・・」
大魔王「殺してやる! カルサードを絶対に殺す!殺す!殺す!」
謎の女「シア・ロナージャ、怒りから精気が蘇ったようですが」
謎の女「瀕死のあなたがカルサードを殺すことはできません、それに───」
謎の女「もし、カルサードを殺したところで、 彼は「シア・ロナージャを倒した英雄!」として、死んで神となるのです」
大魔王「ゴムドオオォォオ!」
大魔王「ムゴォォ・・・・・」
大魔王「ォォ・・・・・」
大魔王「い・・嫌だ・・。」
大魔王「こんなのは・・ 嫌だ・・。 嫌だ・・。」
大魔王「嫌だあああぁぁぁ!」
ゾル「・・・・・。」
大魔王「ゴォォ・・・」
ゾル「・・・・・。」
謎の女「シア・ロナージャ カルサードの正体を、彼を英雄とたたえる人間たちに知らせてみませんか?」
謎の女「カルサードの醜い本性を人間たちに知らしめるのです」
大魔王「・・・・・。」
謎の女「人間たちを失望させてやるのです」
謎の女「そして英雄にいられなくなったカルサードを元のみじめな世界に帰すのです」
大魔王「元の世界に帰す・・・?」
謎の女「そうです、みじめな引きこもりのニートだった世界に帰してやり」
謎の女「もう一度、みじめな世界でみじめな人生を送らせてやるのです」
謎の女「恋人どころか友達もいない世界で」
大魔王「ゴムゥゥ・・・」
大魔王「ファハハハ・・・」
大魔王「ファハハハハハハ!」
大魔王「人間たちを失望させ 友達もいないみじめな世界に帰すか・・・」
大魔王「女、それをお前ができるのか?」
謎の女「はい、炎上(醜聞暴露)も探偵の仕事です」
大魔王「フハハ・・・ いいだろう、女、お前に任せる」
謎の女「それではこれで取引成立ということでいいでしょうか?」
ゾル「女!、取引ってなんだ!? どういうことだ!?」
謎の女「取引は取引です」
謎の女「わたしには古代の魔法に精通したシア・ロナージャにしか叶えられない頼みごとがあるのです」
大魔王「女、頼みごととはなんだ?」
謎の女「そうですね、二百年の若さとか、この世界の半分とか・・・」
謎の女「そんなところです」
ゾル「世界の半分!? 女、ふざけるな!、この世界はすべてシア・ロナージャ様のものだ!」
謎の女「そうですね、だからシア・ロナージャにしか叶えられない頼みごとです」
大魔王「・・・・・。」
謎の女「どうでしょう?、シア・ロナージャ?」
大魔王「・・・・・。」
大魔王「女、カルサードをただ元いた世界に帰すのではなく、その名誉を無きものにしてくれるのだな?」
謎の女「そうです、シア・ロナージャがご満足いただけるように」
大魔王「・・・・・。」
大魔王「・・・・・。」
大魔王「わかった、いいだろう」
ゾル「ロナージャ様!」
謎の女「それでは、大魔王ことシア・ロナージャ これで取引成立ということでいいですよね?」
大魔王「ああ、よかろう」
謎の女「ふふ・・・。」
大魔王「どうした?、女?」
謎の女「いえ、何回経験しても、いつもいつも契約は特別で、不意に緊張したのです」
謎の女「まあ、お相手が暗黒の大魔王、シア・ロナージャなら、なおさらです」
大魔王「・・・・・。」
謎の女「それでは、シア・ロナージャ まだお話していませんでしたがわたしの名前は鏡響子(かがみきょうこ)です」
鏡響子「異世界探偵!、鏡響子! シア・ロナージャの依頼により! 勇者の醜聞暴露(スキャンダル)承りました!」
人間味あふれる瀕死の大魔王さん、とても共感してしまいました。なんかもう、可哀想というか可愛いというか。
大魔王との契約が取れてはにかんじゃう現代っぽい探偵さんの肝の座り具合もすごくて、面白いコンビだと思いました!
大魔王は復活するのか、勇者は元の世界に戻されてしまうのか……続きの更新、楽しみにお待ちしております!
古代の魔法書で召喚されたものがまさかの現代的な女探偵、楽しすぎる設定ですね!今後の展開が気になって仕方ないです。次話も楽しみにしています。
勇者の転生前はニートなのがまたそれらしくて!
すごくツボにハマりました!笑
それにしても、魔王がまともに見えてきて読んでて楽しかったです。