君と三度目のプロポーズ

乙嶋かさね

君と三度目のプロポーズ(脚本)

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〇川沿いの道
修「君を必ず幸せにします! 結婚してください!」

〇川沿いの道
  桜舞い散る川沿いの遊歩道。
  大学の同級生で恋人だった修からプロポーズされたのは、今からちょうど二年前の春のことだった。
  その年の秋には結婚した私たち。
  二年という月日が経過しても、相変わらず新婚夫婦のように仲が良い。
私「この遊歩道に来るのも久しぶりだね!」
修「そうだな」
  私は今、二年ぶりとなるプロポーズ現場を、修と手を繋ぎながら歩いている。
  今年も見事に桜が咲き誇り、辺り一面を美しいピンク色に染め上げていた。
修「君は小さい頃、ここでよく遊んだんだろ?」
私「ええ」
修「女の子なのに、ガキ大将って呼ばれてたんだって?」
修「「近所の男の子たちを、子分として従えてた」って、お義母さんが言ってた」
私「やだ、母さんってば口が軽いんだから!」
私「みんなで秘密基地ごっこをして遊んでたの 私がリーダーだったから、そう見えただけ!」
修「この子も、君みたいになるのかなぁ ちょっと心配だ」
  修は目を細めながら笑うと、私のお腹を優しく撫でた。
  私のお腹の中には、新しい命が宿っている。
私「あら、元気があるのは良いことよ?」
修「元気があり過ぎるのも考えものだ 何事も、ほどほどにが良いんだよ」
私「まあ、そうかもしれないわね」
私「そう言えば、秘密基地ごっこで思い出したわ」
私「私、以前にもここでプロポーズされたことがあったの」
  プロポーズされた相手は、遊び相手だった近所の男の子のうちの一人。
  太っちょボディーが特徴的で、ほっぺがぷくぷくしていたから”ぷくちゃん”とみんなに呼ばれていた。
私「とても優しい子だったわ」
私「他の男の子は、元気すぎる私を女の子扱いしてくれなかった」
「けど彼だけは、いつも私をお姫様扱いしてくれたの」
修「紳士的な子だったんだね」
私「ええ、とっても!」
「大好きだったことに気付いたのは、彼が引っ越して会えなくなってからだったわ」
  いつも秘密基地で会うだけの関係だったから、ぷくちゃんの本名さえ知らない。
  今頃は彼も立派な青年になって、誰かと素敵な恋をしているだろうか。
  紳士的な彼に愛される女性は、きっと幸せ者に違いない。
修「なんてプロポーズされたか覚えてる?」
  修は何か企んでいるような、少し意地悪な笑みを浮かべていた。
私「さぁ、なんだったかしら? 昔のこと過ぎて、あまり記憶が・・・」
修「「僕のお嫁さんになってください!」じゃなかった?」
私「えっ、ああ、そうだわ! そう言われた!」
修「でも君は「私はパパみたいに細い人と結婚するから無理!」って答えたんだ」
私「えっと、あの・・・なんで修が知ってるの?」
修「さあ? どうしてでしょう?」
私「もしかして、もしかしなくても・・・ あなたがぷくちゃん!?」
修「正解! ようやく思い出したか」
修「俺は努力して痩せて、君に好きになってもらえるよう頑張ってたのに」
修「忘れてたなんて・・・傷つくなぁ」
  拗ねたように、ぷうっと口を膨らませる修。
  それを見て、幼少期の記憶が朧気ながら蘇る。
  ぷくちゃんの顔を思い出しながら、修の顔をじっと観察する。
  確かに、ぷくちゃんを細くして歳を取らせたら、修のようなイケメンに成長するかもしれない。
私「ごめんなさい! 今まで気が付かなくて!」
  私が咄嗟に謝ると、修はぷっと吹き出して大声で笑いだした。
修「冗談だよ、怒ってないから安心して!」
私「でも、どうして今まで隠してたの?」
修「別に隠してたつもりはないよ 聞かれれば答えるつもりだったし」
私「そう・・・」
修「一昨年ここでプロポーズしたとき、さすがに君も思い出すかなって思ったんだ」
修「でも君からの反応はなかった」
私「だって、あのときは修からプロポーズされたのが嬉しくて、それどころじゃなかったもの!」
修「まあ、普通そうなるわな」
修「俺も君からYESって言って貰えて、過去のことなんてもうどうでも良くなってたし」
私「でも、一度プロポーズを断られた相手に、どうしてまたプロポーズしてくれたの?」
修「そりゃもちろん、君のことが大好きだからに決まってんだろ」
  修は優しい表情で笑うと、私と繋いでいた手を離す。
  そして、私と向かい合うようにして跪くと、私の左手を掬い上げた。
修「お転婆で、やんちゃで・・・」
修「でも実はお姫様に憧れてる、笑顔がキラキラ眩しい君のことが、ずっとずっと大好きだった」
修「それはこれからも変わらない」
  修はそう言うと、結婚指輪が輝く私の左手にそっと口づけを落とした。
私「~~~っ!!」
修「あはは、顔が真っ赤だな!」
私「修のせいです!」
修「そうだな」
修「じゃあせっかくだから、もう一度プロポーズしよう!」
私「えっ、また!?」
修「ああ! これからも何度だってしてやるからな!」
  にこっと笑ったあと、修はわざとらしくゴホンと大きな咳払いをした。
修「生まれてくる子供と一緒に、温かい幸せな家庭を築こうな」
修「「お姫様はいつまでも幸せに暮らしました」って最後には言えるような、幸せな家庭をさ!」

コメント

  • 幸せな感情が満ち溢れた、素敵な物語ですね。こんなに一途なダンナ様との関係は最高に思えます。さらに数十年経っても幸せが続いていそうですね!

  • わー、素敵なストーリーですね!
    ヒロインの理想の男になるために頑張った彼、でも再会の時に言わなかったのはイキだなぁと思いました。今度は三人でこの道を歩くのかなぁ、なんて考えて幸せな気持ちになりました。
    二人が幸せな家庭を築けますように✨

  • 長い年月が過ぎても気持ち変わらずお互いでいるって凄いことですよね〜。
    しかも子供の頃の約束…自分はほぼ覚えてないです…。こんな約束はしたことありませんが笑

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