東谷さんが読めない

はの

読切(脚本)

東谷さんが読めない

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〇文化祭をしている学校
司会「さあ、タプノベ学園祭名物「魂の叫び」!」
司会「続いて叫ぶのは、この方!」
司会「今年のミスターコンテストチャンピオン!」
司会「西山くうううううん!」
「うおおおおお!」
西山「二年一組!西山です!」
司会「さあ、西山くんが「魂の叫び」を届けたい相手は、いったい!?」
西山「・・・」
西山「二年三組!あずまっち!」
東谷「え」
司会「女子ということは・・・まさか!」
西山「あずまっち!」
西山「いや、あずまたにさん!」
東谷「・・・」
西山「初めて会った時から、ずっとずっと好きでした!」
西山「ずっとずっと、貴女だけを見ていました!」
西山「俺と・・・付き合ってください!!」
司会「告白だあああああ!」
「うおおおおおおおお!!」
東谷「・・・」
西山「・・・」
東谷「西山くん」
西山「はい」
東谷「私の名字、「あずまや」だから」
西山「ゑ?」
司会「ゑ?」
「ゑ?」
東谷「東西南北の東に、渓谷の谷と書いて、「あずまや」って読むの」
東谷「「あずまたに」さんと、どうぞお幸せに!」
西山「・・・」
司会「・・・」
西山「あ・・・」
西山「ああああああああああ!?」

〇教室
南雲「クソワロタンバリンシャンシャン」
東谷「全っっっ然笑えない!」
南雲「だろうね」
東谷「小一から十年の付き合いよ?」
東谷「名前間違えるって酷くない?」
南雲「皆、あずまっちって呼んでるからねー」
東谷「しかも、あんな大勢の前で・・・」
南雲「ほぼ全校生徒が聞いてただろうねー」
東谷「はあ、最悪」
南雲「同情はするよ、あずまたにさん」
東谷「あずまや!」
南雲「あはははは」
東谷「ぷっ」
東谷「あはははは」

〇体育館の裏
西山「エマージェンシー」
西山「緊急事態だ」
北原「お前馬鹿だろ」
西山「助けてくれ」
北原「お前馬鹿だろ」
西山「ああ、俺は馬鹿だ」
西山「元気と顔しか取り柄がない」
北原「・・・」
西山「だから助けてくれ」
西山「どうすればあずまっちの機嫌を直せる?」
西山「どうすれば告白をやり直すことができる?」
西山「俺じゃあ思いつかねえんだ・・・」
北原「知るか」
北原「・・・と言いたいところだが、親友からの頼みじゃあな」
西山「北原!」
北原「まず、あずまっちはお前が馬鹿だということを知っている」
西山「おう!」
北原「だから、名前を間違えたことも、実はそこまで怒ってないんじゃないかと思う」
西山「そ、そうなのか!?」
北原「ああ」
北原「お前、そのくらい馬鹿だから」
西山「なるほど!」
北原「大勢の前で間違えられたから、恥ずかしさも手伝ってカッとなったって感じだろうな」
北原「だから、まずは誠心誠意謝れ」
北原「とにかく謝れ」
北原「謝り続ければ、あずまっちも許してくれる」
西山「わかった!」
北原「で、もう一回、想いを伝えろ」
西山「わかった!」
西山「でも、もう「魂の叫び」は終わっちまった・・・」
北原「大丈夫だ」
北原「場所は、俺が用意してやる」
西山「北原!」
北原「今度は、間違えんなよ?」
西山「ああ!!」

〇文化祭をしている学校
東谷「学園祭楽しかったねー!」
南雲「だねー」
東谷「明日の片づけは憂鬱だけど・・・」
南雲「授業つぶれるからいいじゃないか」
東谷「そうだけどさー・・・ん?」
南雲「どうしたの?」
東谷「校門の周り、やけに人集まってない?」
南雲「どれどれ?」
南雲「本当だ、何かあるのかな?」
東谷「そんな話は聞いてないけど・・・」
西山「・・・」
東谷「げっ」
西山「あずまっち・・・」
西山「いや、あずまやさん」
西山「昼は、本当にすみませんでした!!」
東谷「・・・」
西山「どんな罰でもうける!!」
西山「許してください!!」
東谷「罰って・・・」
東谷「はあ・・・」
東谷「もういいよ、怒ってないよ」
西山「ほ、本当か!?」
東谷「本当本当」
東谷「だって西山くん馬鹿だから」
東谷「漢字読めなくても仕方ないかなーって」
西山「あずまっち・・・」
西山「ありがとう!!」
東谷「お礼言うんかい!」
西山「ああ!俺は馬鹿だからな!」
東谷「ぷっ」
東谷「あはははは」
東谷「西山くんらしいなあ」
東谷「わ!?なになに?」
司会「さあ、タプノベ学園祭名物「魂の叫び」!」
司会「まさかの延長戦だ!」
東谷「!?」
司会「叫ぶのは、この方!」
司会「今年のミスターコンテストチャンピオン!」
司会「西山くうううううん!」
「うおおおおお!」
西山「二年一組!西山です!」
東谷「・・・っ」
西山「あずまやさん!」
西山「いや、あずまやみらいさん!」
東谷「・・・」
西山「初めて会った時から、ずっとずっと好きでした!」
西山「ずっとずっと、貴女だけを見ていました!」
西山「俺と・・・付き合ってください!!」
東谷「・・・」
西山「・・・」
東谷「西山くん」
西山「はい」
東谷「私の名前、「みく」だから」
西山「ゑ?」
司会「ゑ?」
「ゑ?」
東谷「現在過去未来の未来と書いて、「みく」って読むの」
東谷「「みらい」さんと、どうぞお幸せに!」
西山「・・・」
司会「・・・」
西山「あ・・・」
西山「ああああああああああ!?」
南雲「クソワロタンバリンシャンシャン」
北原「お前馬鹿だろ」

コメント

  • めっちゃ笑いました!最高です!

  • めっちゃ笑わせていただきました!
    「読めない」のは漢字でしたか!
    おバカだけど前向きな西山くんのキャラ設定、最高でした!
    こんな彼と付き合ったら、毎日楽しそうですね!
    あともう一回アタックすれば、3度目の正直となるはず……。読了した今、こっそりエールを送っておきます。西山くん、頑張れ!

  • 思い込みって怖いですよね〜。私も、芸能人の名前の読み方間違えてて大恥かいた経験あります(笑)日本語って、漢字って難しい。でも、英語の名前だったとしたら、そもそも正しい発音できないんじゃないかと思ったりもする。

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