34 どんぐりはどんぐりを嗤う(脚本)
〇先住民の村
アデライーデ「──へぇ、力ずく、ねぇ?」
アデライーデ「出来るって、思うのかい?」
フリードリヒ「・・・ええ、何とか」
アデライーデ「ククッ、大した自信だねぇ──」
アデライーデ「──あぁ、もしかして、アレだけでアタシの手の内を読んだ気になっているのかい?」
フリードリヒ「なんと、他にも魔女さんの技を教えてくれるのですか?」
アデライーデ「そうさね、もう少し教育してあげるのも面白そうだけれども──」
フリードリヒ「・・・・・・」
アデライーデ「・・・・・・」
フリードリヒが、腰の剣へと右手を──
アデライーデ「いいよ──今回の件は任せるとしよう」
フリードリヒは、まだ右手を降ろさない
アデライーデ「アンタと潰し合っても、ドーカが喜ぶだけだろうし──」
アデライーデが半歩後ずさり、やっとフリードリヒも肩の力を抜く
フリードリヒ「──感謝します、魔女さん」
アデライーデ「それに──」
その、一瞬の虚をつくように──
──と、はしる衝撃
広場に覆い被さるように、巨龍が降り立った
フリードリヒ「え──な、何、だって?」
ミスリル「グルグルルゥゥ・・・」
勇士隊を順に睨め付ける巨龍の頭に、魔女はたおやかに指を添える──
アデライーデ「それに──そろそろ、この子の食事の時間なんだ」
ミスリル「カハアアァァァァッ・・・」
大きく開かれた巨龍の口からは、鉄の様な臭いが──
血に似た臭いが溢れていた
アデライーデやフリードリヒから与えられた恐怖を軽々と凌駕する絶望に、息すら忘れたかの様に静まりきる勇士隊
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