10年越しの初デート(脚本)
〇映画館のロビー
くいくいっ
陽「っあ・・・・・・!」
美月「ごめん、待った?」
陽「いや、今来たところだから大丈夫。 ってかさ、その格好・・・」
陽「すげー似合ってる、可愛い」
陽「ねぇ、ホントにいいの? ホラー映画で。苦手じゃなかったっけ?」
美月「今は平気だから」
美月(ホントはまだちょっと苦手だけど・・・ 陽兄ぃはホラーが好きなはず、だから)
陽「そっか ・・・それは残念。 怖がってたら手握ろうと思ってたのに」
陽「──覚えてる? 10年前の夏祭りの夜。 お前の婆ちゃん家、オバケが出るって噂の道通らないと帰れなくて。 その道入った途端」
陽「お前、俺の腕にすがりついてピーピー泣いちゃってさぁ。 手握ったらすぐ泣き止んで、その後は寝ちゃって。あれ可愛かっ──」
バシッ
陽「痛て!何、恥ずかしかった?」
陽「・・・学校でもそうだよな〜。 せっかく奇跡的に会えたのに、ツンツンして 全然こっち見てくれないし。 ──何で?」
美月「だってビックリしたんだもん! まさか、もう一度会えるなんて。 それに陽兄ぃ、すごい別人みたいで・・・」
陽「別人、かぁ。 それって悪い意味・・・?」
美月「違う!その、カッコいいって意味」
陽「ホント!? ・・・やばい、ちょ〜嬉しい」
映画館スタッフ「入場時間をお知らせをしまーす。 井戸端会議の貞子は3番スクリーンから──」
美月「あっ、もう入れるね。 行こう陽兄ぃ」
陽「・・・なぁ」
美月「息が耳にかかって・・・!?」
陽「おまえもさ、変わったよ。 あの頃も可愛かったけど、今は──。 すごい綺麗で、もっと可愛くなった」
美月(どうしよう。 私の心臓、最後までもたないかも・・・)
〇映画館の座席
きゃー!
助けっ・・・!!
美月(やばい。けっこう、怖いかも)
美月「あっ・・・」
陽「俺がいるから大丈夫」
美月(手、握られちゃった・・・。 ──ゴツゴツした大きな手。 10年前と全然ちがう)
美月(なんだろう、すごくホッとする──)
陽「・・・おまえの手、気持ちい。 小さくて柔らかくって、すべすべで──」
陽「すげ〜安心する。 ──ずっと触れてたい」
美月(そんなこと言われたら意識しちゃうよ。 ・・・ずるい、私ばっかりドキドキしてる)
・・・陽兄ぃのバカ
〇見晴らしのいい公園
○○渋谷 屋上庭園
陽「っ・・・うっ。 貞子、あいつ粋なことしやがって・・・。 マジ漢だな。 最後のシーン、ヤバくなかった?」
美月「・・・うん。 貞子が自分の身をていして、井戸端会議の怨念を鎮めて――。 最後に親指を立てながら、井戸に沈んでいくなんて」
「・・・泣ける!」
陽「・・・なぁ。 ありがとな」
美月「え? ・・・どうしたの突然」
陽「おまえ、ホントはまだホラー苦手だろ?」
美月「えっ!? べ、別にそんな──」
陽「俺がホラー好きなの覚えてて、付き合ってくれたんだろ。 ──すげぇ嬉しいよ」
美月「・・・えへへ、バレちゃった。 やっぱり、陽兄ぃに隠しごとはできないね」
陽「まぁな! ずっと、おまえのこと見てたし!」
陽「・・・あっ!!」
美月「それって、どういう・・・」
陽「・・・ここで言うつもりなかったのに。 もっと2人きりになれる場所でって──」
陽「でも口が滑っちまったし、しょうがないよな」
陽「・・・おまえが好きだ。 ──10年前からずっと」
陽「たった1ヶ月の短い期間だったけど── おまえと過ごした夏が、ずっと忘れられなかった」
陽「一緒にスイカを縁側で食べたり、線香花火したり。 神社のあるてっぺん山まで登ったりもしたよな。 ──それと夏祭り」
陽「笑った顔も怒った顔も。 頑張り屋で、でも泣き虫で・・・。 おまえの全部が好きなんだ。 それは今も変わらない。 ──いや、」
陽「前よりもっと、ずっと・・・大好き」
陽「・・・だから。 俺と、付き合ってください」
美月「・・・は、い」
陽「えっ!!!? ・・・うそ、ホントに?」
美月「──私もずっと、忘れられなかった。 ・・・陽兄ぃが好き、大好き」
陽「・・・やったぁ! やばい、めちゃくちゃ嬉しい!!」
陽「・・・ふぅ。 緊張とけたら、なんか腹減ってきた!」
陽「近くに隠れ家っぽいカフェがあるんだけど、そこ行ってみない? ご飯も美味しいし、後はネコ型パフェってのが人気らしくて」
美月「行く!! 私、猫もパフェも大好きなんだ〜」
陽「──知ってる」
陽「じゃ、行こっか!」
陽「・・・あ。 大事なこと言い忘れてた」
陽「これからは陽兄ぃって呼ぶの禁止な。 ──陽って呼んで?」
か、顔が近い・・・!!
よ、陽・・・?
陽「──うん、よくできました」
陽「もう、ただの優しいお兄ちゃんじゃいられないからな。 ・・・覚悟しろよ♪」
10年越しの恋愛なんて素敵ですね。2人とも10年も思い合っていたなんて、まさに運命ですよね。これから2人でたくさんイチャイチャできますね。笑
最後の陽君の台詞はとんでもなくキュンとさせられますね! 男の子が男性に変わった感触、それをこんな間近で感じた彼女の高揚感はすごかったでしょうね。
かわいすぎる彼ですね!
ずっと秘めた恋心が実ったなら、あれこれと心弾みますよね!
すごくキュンキュンして、二人ともかわいいです。
これからも楽しみですね。笑