犬系年下男子の素顔は、オオカミでした!?

白羽莉理

犬系年下男子の素顔は、オオカミでした!?(脚本)

犬系年下男子の素顔は、オオカミでした!?

白羽莉理

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〇部屋のベッド
梨木 唯「すぅ・・・すぅ・・・」
戌井 風斗「唯さん、起きてください。朝ですよ」
梨木 唯「・・・ん、もうちょっとだけ・・・」
戌井 風斗「もう、唯さんは・・・」
戌井 風斗「そんなに可愛い顔で寝てると」
戌井 風斗「食べちゃいますよ?」
  そのとき、私の唇は柔らかいものに塞がれた──
梨木 唯「ちょっ、急に何を!?」
戌井 風斗「唯さんが起きないからですよ」
戌井 風斗「まだ眠ければ、もっとしますけど?」
梨木 唯「いや、ばっちり起きたから!」
戌井 風斗「それは残念です」
戌井 風斗「俺はもっとしたかったのに・・・」
梨木 唯「も~、朝から人をからかわないの」
梨木 唯「てか、あれ? なんか焦げ臭くない?」
戌井 風斗「あ、朝ご飯作ってる途中でした!!」
梨木 唯「目、離しちゃダメだよ!」
戌井 風斗「ごめんなさい! すぐ見てきます!」
戌井 風斗「あ、今日はデートですから、ちゃんと起きてきてくださいね!」
梨木 唯「わかったってば」
梨木 唯(風斗は、やっぱおっちょこちょいだなぁ)
梨木 唯(まあ、そんなとこも可愛いんだけど)
梨木 唯(思えば、風斗と付き合ってもう3ヶ月かぁ)
梨木 唯(告白された日は、びっくりしたよね──)

〇ビジネス街
  3ヶ月前
戌井 風斗「梨木先輩が好きです!」
戌井 風斗「俺と付き合ってください」
梨木 唯「え、私、戌井くんより6つも年上だよ?」
梨木 唯「冗談だよね?」
戌井 風斗「本気です!」
戌井 風斗「俺はまだ新人で、仕事で迷惑かけっぱなしですけど」
戌井 風斗「先輩に相応しい男になってみせますから」
戌井 風斗「先輩のそばにいさせてください!」
梨木 唯「戌井くん・・・」
梨木 唯「私の方こそ、よろしくお願いします」

〇部屋のベッド
梨木 唯(ふふ。まあ、未だに頼もしさはたりないけど)
梨木 唯(可愛くて、ほっとけない大事な存在だよ、風斗は──)
梨木 唯「さて、そろそろデートの準備しなくっちゃ」

〇テーブル席
梨木 唯「風斗のお気に入りのお店ってここかぁ」
戌井 風斗「はい、学生時代からよく来てて」
梨木 唯「さすがスイーツ好き」
梨木 唯「そういえば、風斗の学生時代ってどんなだったの?」
戌井 風斗「え!? そ、それは・・・別に普通ですよ」
梨木 唯「ん? しどろもどろになってどうしたの?」
戌井 風斗「いえ、何でもないです!」
戌井 風斗「それより、ケーキの話しましょ♪」
梨木 唯(なんかはぐらかされた・・・?  話しにくいことでもあるのかな?)
梨木 唯(いや、風斗に限って、秘密なんてないない♪)
戌井 風斗「俺、これを唯さんと食べたかったんです!」
戌井 風斗「見た目も綺麗で、すごく美味しいんですよ!」
梨木 唯「確かに綺麗!」
梨木 唯「でもそれより、風斗の目の輝きの方がすごくて、ふふ」
戌井 風斗「あ、俺、子供っぽかったですか!? つい・・・」
梨木 唯「私は風斗の無邪気なとこ、いいと思うよ?」
梨木 唯「可愛いしね」
戌井 風斗「で、でも・・・」
梨木 唯「それより、甘いものに目がない風斗がすすめるケーキ早く食べたい!」
梨木 唯「ほら、いただこ」
戌井 風斗「はい!」
  私も風斗も、ケーキを一口頬張った
梨木 唯「わぁ、美味しい!」
戌井 風斗「ですよね!」
戌井 風斗「あ、唯さん」
梨木 唯「なあに?」
戌井 風斗「ちょっと動かないでくださいね──」
  風斗は私の方へ身を乗り出すと、私の口元に手を伸ばした
戌井 風斗「口にクリームついてましたよ」
  風斗はそう言って、指についたクリームをぺろっと舐めた
梨木 唯「ちょっ、人前で何を!?」
戌井 風斗「ダメでした?」
戌井 風斗「プライベートでは唯さんのお世話がしたいんです」
梨木 唯「うぅ、もう・・・」
梨木 唯(風斗、天然でこういうことするから、心臓持たないよ・・・!)

〇川沿いの公園
梨木 唯「ケーキ美味しかったね」
梨木 唯「そろそろ帰ろっか」
戌井 風斗「はい──」
戌井 風斗「って、うわ!」
戌井 風斗「カフェにスマホ忘れちゃったみたいです!」
梨木 唯「え!? 風斗、ほんとそそっかしいんだから」
戌井 風斗「すみません・・・」
梨木 唯「はやく取りに戻らないと!」
戌井 風斗「すぐ行ってくるので、唯さんはここで待っててください!」
梨木 唯「うん、気をつけて!」
梨木 唯(風斗、心配だなぁ)
梨木 唯(今朝も目玉焼き焦がしたし)
梨木 唯(風斗より年上な私がしっかりしなくちゃ!)
柄の悪い男「ねえねえ、お姉さん一人?」
梨木 唯「え・・・何ですか?」
柄の悪い男「暇なら俺と遊んでよ」
梨木 唯「いえ、私、連れがおりますので」
柄の悪い男「どこにもいないじゃん」
柄の悪い男「ほら、行こうよ」
梨木 唯「ちょ! 腕離してください!」
梨木 唯「怒りますよ!」
柄の悪い男「あぁ? 俺に向かってその口のきき方はねぇよな!?」
梨木 唯「ひっ!」
柄の悪い男「いいから、黙ってついてこい!」
梨木 唯「や、やめて!」
梨木 唯(ヤバイ! 誰か! 誰か!!)
戌井 風斗「俺の彼女から、手を離せ!!」
梨木 唯「風斗!!」
柄の悪い男「何だよ、お前!?」
戌井 風斗「離させねぇとシバくぞ、オラァ!!」
梨木 唯(え、この人、本当に風斗!? 人格違くない!?)
柄の悪い男「あ、あんた、よく見たら・・・」
柄の悪い男「昔、この界隈を牛耳ってた──」
柄の悪い男「暴走族の総長じゃねぇかよ・・・!!」
梨木 唯(そ、総長!?)
戌井 風斗「わかったなら、とっとと失せろ!」
柄の悪い男「ちっ!」
戌井 風斗「唯さん、大丈夫ですか!?」
戌井 風斗「俺が一人にしたばっかりに・・・すみません」
梨木 唯「大丈夫だけど、それよりも!!」
梨木 唯「暴走族の総長って何!?」
戌井 風斗「黒歴史なので、必死に隠してきたんですが」
戌井 風斗「俺、学生の頃荒れてて、暴走族を仕切ってたんです・・・」
梨木 唯「うそ・・・」
梨木 唯「もしかして、それで学生時代の話はぐらかしたのね・・・!?」
戌井 風斗「その通りです・・・」
戌井 風斗「こんな男嫌ですよね・・・」
戌井 風斗「すぐに唯さんの前から消えるので──」
梨木 唯「待って!」
戌井 風斗「え?」
梨木 唯「そりゃ、普段とギャップありすぎて驚いたけどさ」
梨木 唯「風斗は私を守ってくれたじゃん」
梨木 唯「初めて・・・頼もしいと思ったよ」
戌井 風斗「じゃあ俺、嫌われてないんですか・・・?」
梨木 唯「もちろんよ」
梨木 唯「・・・だって、風斗のこと好きだもん」
戌井 風斗「もう・・・唯さんはすぐに煽るんだから──」
戌井 風斗「俺の秘密を知った上でそう言うなら、覚悟してくださいよ?」
梨木 唯「え──」
  私の言葉を遮って、風斗がとびきり甘いキスをする
梨木 唯「ちょ、風斗!」
戌井 風斗「俺、総長やってた頃から、狙った獲物は逃がさないので」
戌井 風斗「唯さんのことも、絶対離しませんからね♪」
梨木 唯「う、うぅ・・・」
  私の彼氏・風斗は、可愛い犬系だと思っていたのに、とんでもないオオカミでした
戌井 風斗「さ、帰りましょっか」
戌井 風斗「手、繋ぎます?」
戌井 風斗「それとも、お姫様抱っこがいいですかね!?」
梨木 唯「や、やめて!!」

コメント

  • 犬系かと思いきや……のギャップにキュンキュンしました!そそっかしくて可愛いげがあるところもまた良きですね😆
    読んでいてニマニマが止まりませんでした(笑)
    素敵な作品をありがとうございました!

  • ギャップがたまらないです!思わずキュンとしてしまいました!
    普段は優しいのに、いざとなったら強いだなんて…。
    中々いないとは思いますが、こんな人に出会ってみたい〜!

  • たよりないなぁと思ってたのなら、このギャップはたまりませんね。いざというときに女性を守れる強い男性というのは、やはりとっても魅力的です。

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