エピソード2(脚本)
〇明るいリビング
──鳥のさえずりが聞こえる
東雲 太陽「母さん、おはよう」
東雲(母)「おはよう」
東雲(母)「太陽、まだいたのね」
東雲 太陽「息子にまだって・・・」
東雲(母)「何言ってんのよ」
東雲(母)「あなたね、今何時かわかってるの?」
東雲 太陽「7時ぐらいだろ?」
東雲(母)「はぁ・・・ 寝込みすぎて時間感覚がずれたのね」
東雲(母)「11時よ」
朝のさえずりだなんて言った覚えはない
昼にだって鳥はさえずるのだ
東雲 太陽「は!?嘘だろ!? 母さん起こしてくれよ・・・」
東雲(母)「私、さっき帰ってきたばかりだもの」
東雲(母)「それに、柚月が起こしたみたいだけど」
東雲 太陽「俺が柚月の声無視するわけねぇだろ!!」
東雲(母)「机見なさいよ」
お兄ちゃんへ
おはよう!
きょうは私も寝坊しちゃいました
ノックしたんだけど起きなかったみたいだから先に学校いくね
学校行けそうだったら、ココアだけでも飲んで行くんだよ!
無理しないでね
いってきます
柚月より
東雲 太陽「うっ・・・」
机を前に目を抑える太陽
本日の朝食
・トースト
マーガリン付き(柚月が好きな味)
・ココア(柚月は珈琲飲めないから)
おまけ
・柚月の手書きメモ
東雲(母)「やだ、太陽泣いてるの」
東雲 太陽「柚月が俺の為にトーストを焼いてくれて」
東雲 太陽「寝坊してたのに、朝の準備忙しいはずなのに俺の分まで用意してくて・・・」
東雲 太陽「体調も気遣いながら、俺の部屋までノックしてくれてたのに気づけなかった・・・!!」
東雲 太陽「手書きのメモまで・・・」
東雲 太陽「なのに俺は・・・ 俺はァア!!」
東雲 太陽「直接『いってらっしゃい』って言えなかったぁぁあああああぁあ・・・・・・」
東雲(母)「いつも言ってないじゃない」
東雲(母)「一緒に家出るんだもの」
東雲(母)「それとも、毎朝途中まで一緒に登校するのは辞めたの?」
東雲 太陽「一緒に登校も出来なかったぁああぁあ!!!!」
東雲(母)「もう元気ね 早く学校いきなさい」
総じて発言へはスルー
この母、太陽のシスコンを見ても動じないのだ
東雲 太陽「いってらっしゃいって言われたんだから行くに決まってるだろ」
東雲(母)「じゃぁ、早く食べちゃいなさい」
東雲(母)「なんてったって、柚月ちゃんが作ってくれたんだもの」
──・・・
東雲(母)「あら、ココアもあるじゃないの 柚月ちゃんのココア美味しいのよねぇ」
東雲(母)「お母さんもせっかくだから欲しいわ ちょうだい」
東雲 太陽「ダメ」
東雲(母)「ケチね」
東雲(母)「私がこの時間にいるのは久しぶりなの 柚月ちゃんのココアはレアなの 寄越しなさいよ」
東雲 太陽「母親が息子の奪ってんじゃねぇよ なんなら俺も作ってあげることはあってもココアを飲めることはレアなんだよ」
東雲(母)「譲ってくれれば良いのに」
東雲(母)「まあいいわ」
東雲(母)「食べるついでに、私に珈琲淹れて」
東雲 太陽「俺、絶賛遅刻中なんだけど」
東雲(母)「何時に行ったって遅刻に変わりはないわ 早く淹れて」
東雲 太陽「わかったよ」
この母にして、この息子である
東雲 太陽「あ!!!!!!淹れるからココア取んなよな!?」
東雲(母)「はいはい」
東雲(母)(柚月ちゃんが可愛いのは私の娘なのだから 当然だけど)
カップに手を伸ばす母
東雲 太陽「母さん!!」
東雲(母)「ごめんなさいね〜」
東雲(母)(私の息子もまだまだ可愛げがあるわねぇ)
娘を可愛がり、息子をからかう
愛情表現は違えど子供たちを愛しているのが東雲家の母である